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お母様の持ち物
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「まずは、マーガレット様のお母様が置いていった物からしましょうか。」
と、サロメが言い、ターニャがドレスがしまわれた部屋の扉を開けた。数十着はあるのよね。お母様は、少ししか持って行ってないので、まだたくさん残っている。
「この中から、マーガレット様が気に入られた物、残したい物はありますか?譲り受けましょう。許可は得ています。特になければ、売りましょう。」
「えっ!」
「どうされました?」
「いえ…お母様、ドレスを新調するのを毎回とても楽しみにしていらしたから、売っていいと言うなんてと思って。」
「あぁ。その事ですか。もう、使われる場所もありませんからね。それよりも、使いたい人に使ってもらう方がドレスも喜びますから。」
着なくなったドレスを売るというのは、普通にある事なので、その方がせっかく作られたドレスも喜ぶか、と思った。
それに、売ったお金を借金の返済に充ててもらいたいと思った。
「売ったお金は、借金の返済に回りますか?」
「ええ。恐らく。」
「では全て、私は要らないです。お母様が選ぶ色は、私あまり着ないので…。」
「承知いたしました。では、次に宝飾品ですね。」
そうサロメが言い、またターニャが宝飾品が入っている棚を開けた。
うーん、お母様は大きな宝石がドーンと主張しているものが好きなのよね。私は小さな宝石がちりばめているものの方が好きだからやはり…
「それも、全て売って下さい。」
「よろしいのですね?」
「はい。」
「わかりました。あと、この部屋にある物で持って行きたいものはありますか?」
そう言われて、少し部屋を見渡してみる。
お母様がいないのに、この部屋に入っているのがなんだか不思議な気がした。そして、もうお母様の姿がここに戻らないのはひどく淋しく感じた。
「…あ!」
「どうされました?」
「このブローチ、いいかしら?」
これは、私がお母様に内緒で、お誕生日にプレゼントしたもの。花びらがギッシリと詰まったようなガーベラのブローチ。置いていかれたのは悲しいけれど、きっと付けていく場所もないからなのかしら。
「ステキですね。ではそれを。…そういえば、先ほど撫でていらしてましたよ。」
「えっ!お母様が?」
「はい。でも、申し訳ないから置いて行くと。…借金の少しでも足しになればと言っておりました。貴族の生活がどうしてもやめられ無かった、もう少し早くから切りつめていたら変わっていたかしらと嘆いておられました。…そうなっていれば、マーガレット様はカーティス様と出会えなかったでしょうから、きっとこれが運命なのでございます。」
と、ニッコリと笑ってくれた。
そうね、過去を嘆いても、何も変わらないものね。
「では次へ参りましょう。」
と、サロメが言い、ターニャがドレスがしまわれた部屋の扉を開けた。数十着はあるのよね。お母様は、少ししか持って行ってないので、まだたくさん残っている。
「この中から、マーガレット様が気に入られた物、残したい物はありますか?譲り受けましょう。許可は得ています。特になければ、売りましょう。」
「えっ!」
「どうされました?」
「いえ…お母様、ドレスを新調するのを毎回とても楽しみにしていらしたから、売っていいと言うなんてと思って。」
「あぁ。その事ですか。もう、使われる場所もありませんからね。それよりも、使いたい人に使ってもらう方がドレスも喜びますから。」
着なくなったドレスを売るというのは、普通にある事なので、その方がせっかく作られたドレスも喜ぶか、と思った。
それに、売ったお金を借金の返済に充ててもらいたいと思った。
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「ええ。恐らく。」
「では全て、私は要らないです。お母様が選ぶ色は、私あまり着ないので…。」
「承知いたしました。では、次に宝飾品ですね。」
そうサロメが言い、またターニャが宝飾品が入っている棚を開けた。
うーん、お母様は大きな宝石がドーンと主張しているものが好きなのよね。私は小さな宝石がちりばめているものの方が好きだからやはり…
「それも、全て売って下さい。」
「よろしいのですね?」
「はい。」
「わかりました。あと、この部屋にある物で持って行きたいものはありますか?」
そう言われて、少し部屋を見渡してみる。
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「…あ!」
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「えっ!お母様が?」
「はい。でも、申し訳ないから置いて行くと。…借金の少しでも足しになればと言っておりました。貴族の生活がどうしてもやめられ無かった、もう少し早くから切りつめていたら変わっていたかしらと嘆いておられました。…そうなっていれば、マーガレット様はカーティス様と出会えなかったでしょうから、きっとこれが運命なのでございます。」
と、ニッコリと笑ってくれた。
そうね、過去を嘆いても、何も変わらないものね。
「では次へ参りましょう。」
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