上 下
4 / 24

手紙の内容

しおりを挟む
「お父様がお呼びって?」


男爵様からの手紙が家に届いた日。

今は、パン屋から帰って来たところで、ボーティーンからお父様が呼んでいると教えてもらった。
今日はお父様、早起きなのね。

「そうなの。何かしら。」
私が少し考えると、

「旦那様とのお話で時間がなくなるといけないだろ。何か摘まめる物準備しといてやるよ。」
とボーティーンが言ってくれた。

「そうね!ありがとう。食堂にももう少ししたら勤めに行かないといけないものね。」
ありがたいわ!

「終わったら厨房に来いよ。」
「ええ。」



「お父様、遅くなりましてすみません。入ります。」
そう言って、ドアをノックした。

「いや。入ってきなさい。」


「仕事してきたのか?」
「はい。遅くなりましてすみませんでした。」
「いや。いつもすまないね。でももうそんな生活も終わりだ!マーガレット、聞いて驚け!!良くやった!結婚の打診が来たぞ!」
えっ!?

「お父様、私にですか?」

「そうだぞ!カーティス=ドルマン男爵だ。まぁ、男爵ではあるが、功績を称えられ、爵位を賜ったんだ。事業もかなりうまくいっておるらしいし、良くやったな!!」
最近ずっとお父様は、暗い顔をしていたけれど、近年まれに見る満面の笑みで私に言った。

…え!?ボーティーンの言ってた事本当になっちゃったの!?

「お、お父様。今朝の手紙にそう書いてあったのですか?」

「おお。そうだ。ご親切にも結婚支度金を準備してくれるそうだぞ。これで、今までの借金も返済できるな!!こんな生活ともおさらばじゃ!ハハハハ!!」

お父様…大丈夫かしら?結婚支度金って、結婚の準備用でしょう?私のドレスや、結婚する為の準備のお金ですよね?それを差し引いて、滞納していたお金が払い切れるのかしら?

「お父様?私のドレスは購入しますわよね?」

「うん?お前のは…最近作って無かったか?お祖母様か、お母様のを手直しすればいいだろう?身一つで嫁いで来いと書いてある。良かったなぁー!」

えー!?ドレスはあるので良いの?

確かにお祖母様のドレスはとても豪華だけれど、さすがに型が古くないかしら…?お母様のだって…ま、食堂に行くまでまだ少し時間があるから、着れるかどうか確認してこようかしら。 

「お父様。それは決定事項なのですよね?」
私も、一応貴族の端くれですから、親に言われた結婚をするとは思っておりましたけど、まさかこんな早くだとは…。

「なんだと?不満か??こんな好条件、他にないだろう?」

「いえ、不満なんてとんでもない!分かりました。お話はそれだけですか?」
不満ではないけれど、心配だらけなのですよ、お父様…。

「おおそうだった!明後日、四の鐘の鳴る頃、家に来るそうだ。綺麗にしておかないとな!」
な、なんですって!?お客様をお迎えするの!?準備があるじゃない!
お仕事休んだ方が良いかしら。

「分かりました。では、準備がありますから、私はこれで。」

「おお!分かった。楽しみだな!ハハハハ!!」

…楽しみって。こっちは大変よ!もう。お父様は本当に楽観的なのだから。

服装もどうしようかしら!?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

【完結】私の見る目がない?えーっと…神眼持ってるんですけど、彼の良さがわからないんですか?じゃあ、家を出ていきます。

西東友一
ファンタジー
えっ、彼との結婚がダメ? なぜです、お父様? 彼はイケメンで、知性があって、性格もいい?のに。 「じゃあ、家を出ていきます」

パーティー会場で婚約破棄するなんて、物語の中だけだと思います

みこと
ファンタジー
「マルティーナ!貴様はルシア・エレーロ男爵令嬢に悪質な虐めをしていたな。そのような者は俺の妃として相応しくない。よって貴様との婚約の破棄そして、ルシアとの婚約をここに宣言する!!」 ここ、魔術学院の創立記念パーティーの最中、壇上から声高らかに宣言したのは、ベルナルド・アルガンデ。ここ、アルガンデ王国の王太子だ。 何故かふわふわピンク髪の女性がベルナルド王太子にぶら下がって、大きな胸を押し付けている。 私、マルティーナはフローレス侯爵家の次女。残念ながらこのベルナルド王太子の婚約者である。 パーティー会場で婚約破棄って、物語の中だけだと思っていたらこのザマです。 設定はゆるいです。色々とご容赦お願い致しますm(*_ _)m

辺境地で冷笑され蔑まれ続けた少女は、実は土地の守護者たる聖女でした。~彼女に冷遇を向けた街人たちは、彼女が追放された後破滅を辿る~

銀灰
ファンタジー
陸の孤島、辺境の地にて、人々から魔女と噂される、薄汚れた少女があった。 少女レイラに対する冷遇の様は酷く、街中などを歩けば陰口ばかりではなく、石を投げられることさえあった。理由無き冷遇である。 ボロ小屋に住み、いつも変らぬ質素な生活を営み続けるレイラだったが、ある日彼女は、住処であるそのボロ小屋までも、開発という名目の理不尽で奪われることになる。 陸の孤島――レイラがどこにも行けぬことを知っていた街人たちは彼女にただ冷笑を向けたが、レイラはその後、誰にも知られずその地を去ることになる。 その結果――?

【完結】慈愛の聖女様は、告げました。

BBやっこ
ファンタジー
1.契約を自分勝手に曲げた王子の誓いは、どうなるのでしょう? 2.非道を働いた者たちへ告げる聖女の言葉は? 3.私は誓い、祈りましょう。 ずっと修行を教えを受けたままに、慈愛を持って。 しかし。、誰のためのものなのでしょう?戸惑いも悲しみも成長の糧に。 後に、慈愛の聖女と言われる少女の羽化の時。

私の代わりが見つかったから契約破棄ですか……その代わりの人……私の勘が正しければ……結界詐欺師ですよ

Ryo-k
ファンタジー
「リリーナ! 貴様との契約を破棄する!」 結界魔術師リリーナにそう仰るのは、ライオネル・ウォルツ侯爵。 「彼女は結界魔術師1級を所持している。だから貴様はもう不要だ」 とシュナ・ファールと名乗る別の女性を部屋に呼んで宣言する。 リリーナは結界魔術師2級を所持している。 ライオネルの言葉が本当なら確かにすごいことだ。 ……本当なら……ね。 ※完結まで執筆済み

聖なる歌姫は喉を潰され、人間をやめてしまいました。

七辻ゆゆ
ファンタジー
「ロレーナに資格はない!」 「歌の下手なロレーナ!」 「怠け者ロレーナ!」 教会の定めた歌姫ロレーナは、王家の歌姫との勝負に負けてしまった。それもそのはず、聖なる歌姫の歌は精霊に捧げるもので、権力者を喜ばせるものではない。

虐げられた令嬢、ペネロペの場合

キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。 幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。 父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。 まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。 可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。 1話完結のショートショートです。 虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい…… という願望から生まれたお話です。 ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。 R15は念のため。

処理中です...