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22. 茶会
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今日は、茶会。
オティーリエは今日もフォルラートと一緒に昼食を摂った後、また後でとお互い支度の為に一旦それぞれの部屋に戻り、準備が終わり次第会場となった庭園へと向かう。
(昨日も少しだけ見えたけれど相変わらず綺麗…!バラも咲いているわ。ここは、テューロビンゲン国とは気候が違うから、まだ咲いているのね!)
オティーリエはテューロビンゲン国の自宅では残念ながら育ててきたバラが咲くのを見届ける事が出来なかったが、この王宮で見ることが出来て嬉しく思った。
「オティ。相変わらず、綺麗だよ。」
庭園の花々に見とれていると、後ろからフォルラートがオティーリエの肩を抱くように近づいてきた。
「フォル…あなたも素敵よ。ねぇ、本当に綺麗な庭よね。」
「あぁ。ここは、王宮の本棟からも少し見えるから、ハッソが張り切っているんだ。だが…少し前に少しアクシデントがあって……ここまでするのに大変だったろうな。」
「そうなの?それで、私の棟の庭まで手が回らなかったのね。」
「あ!それ!オティへの嫌がらせなんかじゃないから!そう思わせて悪かったよ…。」
「まぁ、そうなのですか?でもおかげで私の好きなように手入れさせてもらったからいいのですけどね!」
オティーリエは少し唇を尖らせながらそう言うと、フォルラートはますます眉を下げ、オティーリエにだけ聞こえるように耳元で謝罪をする。
「本当に済まなかった!あれは、ベンヤミン伯爵のせいなんだ。使用人達から確認を取った。ボヤ騒ぎがあったんだが、一昨日のようなベンヤミン伯爵の憂さ晴らしのようだった。だか、オティーリエのいうように、使用人達の本来の仕事が滞ってしまってね。父上にも相談したよ。そろそろ、一掃でき…」
フォルラートが話していると、後ろから話し掛けてきたので、言葉が遮られた。
「兄上!…と、あ!お前!来たな!僕が弾くオルガン、昨日よりも上手く弾くからな!いいか、驚くなよ?」
「マレック。…ん?昨日?今日が初顔合わせじゃないのか?」
「ええ。…マレック様、楽しみにしておりますわ。」
オティーリエは、マレックに向かって微笑えむ。
「…そう。マレック、頑張れよ。じゃ、オティ行こうか。」
フォルラートは若干低い声でマレックを見ながら返事をすると、オティーリエの肩を抱き、優しくエスコートをした。
☆★
「さぁ、座って!フォルラートはそこね、オティーリエはここ。マレックはこっちよ。ああ、ここは空けてね。」
「そこは?」
すでに円卓に座っていた王妃のニコレッタがニコニコと席を進める。
ニコレッタの左隣にオティーリエ、その隣にフォルラート、ニコレッタの右隣を一つ空けてマレックが座る。
国王陛下のマティーアスはニコレッタの正面に座っている。
フォルラートが、一つ空いた席に疑問を持って言うと、
「あら。決まってるでしょ。」
と、フフフと笑う。それにマレックは気づき、
「やっぱり僕、部屋に帰ってもいい?」
とせっかく座ったのにすぐ立ち上がり声を上げる。しかし、
「何言ってるの!マレックのオルガンも久しぶりに聴きたいのよ?さぁ、もうすぐで揃うんだから、大人しくしていてちょうだい。」
と、ニコレッタに叱られてしまう。
渋々席に座った所で、ドタバタと音が聞こえてきた。カチャカチャと言う音と、怒声も聞こえてくる。
どうしたのかと一斉に王宮へと続く通路をみると、またしても真っ赤なドレスを着て庭であるのにピンヒールを履いて歩きにくそうに近寄ってくるザーラと、傍にはベンヤミン伯爵が付き従っている。
怒声は、ベンヤミン伯爵と近衛兵が言い争いながら歩いてきていたからだった。
「なりません!こちらは、ベンヤミン伯爵は入れません!」
「何を言うか!今日は大事な顔合わせだろうが!娘も参加せずしてどうしろと言うんだ!こんなに綺麗な娘なんだぞ?参加出来ないわけないわ!」
「ベンヤミン伯爵!」
「うるさいわ!…お、どうやら間に合ったみたいだな!」
近衛兵は、ここら一帯は王家の者達が使う為、近寄るなと言っているのだが、ベンヤミン伯爵は聞かずにズカズカと入って来たのだ。
指示が無いため、拘束も出来ないので口で言うしかなく、それも聞いてもらえらない為に近衛兵は、困り果て、王家の面々へと視線を送った。
(はぁ?また来たのね。あら?でもマレック様の隣に座るのはザーラなの…?)
オティーリエはこのように割り入って来るなんて最近も似たような光景を見たなと思いながら、首をかしげた。
オティーリエは今日もフォルラートと一緒に昼食を摂った後、また後でとお互い支度の為に一旦それぞれの部屋に戻り、準備が終わり次第会場となった庭園へと向かう。
(昨日も少しだけ見えたけれど相変わらず綺麗…!バラも咲いているわ。ここは、テューロビンゲン国とは気候が違うから、まだ咲いているのね!)
オティーリエはテューロビンゲン国の自宅では残念ながら育ててきたバラが咲くのを見届ける事が出来なかったが、この王宮で見ることが出来て嬉しく思った。
「オティ。相変わらず、綺麗だよ。」
庭園の花々に見とれていると、後ろからフォルラートがオティーリエの肩を抱くように近づいてきた。
「フォル…あなたも素敵よ。ねぇ、本当に綺麗な庭よね。」
「あぁ。ここは、王宮の本棟からも少し見えるから、ハッソが張り切っているんだ。だが…少し前に少しアクシデントがあって……ここまでするのに大変だったろうな。」
「そうなの?それで、私の棟の庭まで手が回らなかったのね。」
「あ!それ!オティへの嫌がらせなんかじゃないから!そう思わせて悪かったよ…。」
「まぁ、そうなのですか?でもおかげで私の好きなように手入れさせてもらったからいいのですけどね!」
オティーリエは少し唇を尖らせながらそう言うと、フォルラートはますます眉を下げ、オティーリエにだけ聞こえるように耳元で謝罪をする。
「本当に済まなかった!あれは、ベンヤミン伯爵のせいなんだ。使用人達から確認を取った。ボヤ騒ぎがあったんだが、一昨日のようなベンヤミン伯爵の憂さ晴らしのようだった。だか、オティーリエのいうように、使用人達の本来の仕事が滞ってしまってね。父上にも相談したよ。そろそろ、一掃でき…」
フォルラートが話していると、後ろから話し掛けてきたので、言葉が遮られた。
「兄上!…と、あ!お前!来たな!僕が弾くオルガン、昨日よりも上手く弾くからな!いいか、驚くなよ?」
「マレック。…ん?昨日?今日が初顔合わせじゃないのか?」
「ええ。…マレック様、楽しみにしておりますわ。」
オティーリエは、マレックに向かって微笑えむ。
「…そう。マレック、頑張れよ。じゃ、オティ行こうか。」
フォルラートは若干低い声でマレックを見ながら返事をすると、オティーリエの肩を抱き、優しくエスコートをした。
☆★
「さぁ、座って!フォルラートはそこね、オティーリエはここ。マレックはこっちよ。ああ、ここは空けてね。」
「そこは?」
すでに円卓に座っていた王妃のニコレッタがニコニコと席を進める。
ニコレッタの左隣にオティーリエ、その隣にフォルラート、ニコレッタの右隣を一つ空けてマレックが座る。
国王陛下のマティーアスはニコレッタの正面に座っている。
フォルラートが、一つ空いた席に疑問を持って言うと、
「あら。決まってるでしょ。」
と、フフフと笑う。それにマレックは気づき、
「やっぱり僕、部屋に帰ってもいい?」
とせっかく座ったのにすぐ立ち上がり声を上げる。しかし、
「何言ってるの!マレックのオルガンも久しぶりに聴きたいのよ?さぁ、もうすぐで揃うんだから、大人しくしていてちょうだい。」
と、ニコレッタに叱られてしまう。
渋々席に座った所で、ドタバタと音が聞こえてきた。カチャカチャと言う音と、怒声も聞こえてくる。
どうしたのかと一斉に王宮へと続く通路をみると、またしても真っ赤なドレスを着て庭であるのにピンヒールを履いて歩きにくそうに近寄ってくるザーラと、傍にはベンヤミン伯爵が付き従っている。
怒声は、ベンヤミン伯爵と近衛兵が言い争いながら歩いてきていたからだった。
「なりません!こちらは、ベンヤミン伯爵は入れません!」
「何を言うか!今日は大事な顔合わせだろうが!娘も参加せずしてどうしろと言うんだ!こんなに綺麗な娘なんだぞ?参加出来ないわけないわ!」
「ベンヤミン伯爵!」
「うるさいわ!…お、どうやら間に合ったみたいだな!」
近衛兵は、ここら一帯は王家の者達が使う為、近寄るなと言っているのだが、ベンヤミン伯爵は聞かずにズカズカと入って来たのだ。
指示が無いため、拘束も出来ないので口で言うしかなく、それも聞いてもらえらない為に近衛兵は、困り果て、王家の面々へと視線を送った。
(はぁ?また来たのね。あら?でもマレック様の隣に座るのはザーラなの…?)
オティーリエはこのように割り入って来るなんて最近も似たような光景を見たなと思いながら、首をかしげた。
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