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15. イボンヌからの報告
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イボンヌは、オティーリエがすぐに眠りについた事を確認すると、ニダにその部屋で待機するように言って、自らは王宮の本棟へと向かう。
「入ります!」
少々乱暴に部屋の扉を叩いたイボンヌは、返事をされる前にその部屋へ入った。
「おい…あ、イボンヌ。どうした?」
そこは、フォルラートが仕事用に与えられた部屋だ。
扉の近くに立っていたカスパルが咎めようとして相手がオティーリエについている筆頭侍女のイボンヌだったから慌てて止める。
「苦言を呈しに参りました!」
机に向かっていたフォルラートは顔を上げ、今はオティーリエの朝食の時間ではないのかと首を傾げながらイボンヌの言葉の意味を考える。
「どういう事だ?」
「ザーラの事です!前々から思っておりましたが、ザーラはご自分の立場を理解しておられませんよね?ただの伯爵家の娘、なのに父親が王宮で勤められていらっしゃるからってフォルラート様には事ある毎に近づかれるだけではなく、オティーリエ様にも口答えする始末なのですよ!
それに、ザーラは自ら志願してオティーリエ様の侍女になると言われたのですよね?それなのに、今日は寝坊なのか嫌になったのか、出勤しておりません!それに加えて、オティーリエ様に嫌がらせをしているのです!一昨日の夜と昨日の夜は寒いから着せるようにと伝えておいたのに暖かい下着を着せておられなかったので、今朝オティーリエ様は体調を崩されました!」
ぐいぐいと前のめりに話すイボンヌに若干押され気味なフォルラートは、それでもやはり思うことがあるようで、苦虫をかみ潰したような顔をした。
「…それで、オティーリエは大丈夫なのか?」
「ええ、熱があるようなのでとりあえず暖かくして寝ております。まだこちらの気候に慣れていなかったのに…!ザーラは、仕事をさせるにもしっかりやらないので、はっきり言って邪魔です!」
「まぁまぁ、イボンヌ。そうは言っても、分かるだろう?あの女の父親は、要職に就いているギルマン伯爵なんだから。機嫌を損ねて、政策に反対ばかりされても困るんだよ。」
カスパルは苦笑いしながらそう言った。
「済まない…ギルマン伯爵からは俺への婚約者候補だとかなんだと娘を推されていたが、どうにか逃れれたと思ったんだがな…まさか侍女に推してくるとは。まぁ、王宮侍女という箔を付けたい者もいるから、やりたいというのを無下にも出来ないのだよ。」
「でもそれで!オティーリエ様が体調を崩されたのですよ!?ザーラは私が注意してもどこ吹く風で、ききやしないのです!」
「それについては…そうだな。悪いと思っている。オティーリエは大丈夫なのか?」
「私は忙しいので、ご自分で確認しに行って下さい!何ていったって、一ヶ月後には結婚して夫婦となられるお相手なのですからね!」
「……。」
「ね!?」
「あぁ。」
「全く!これじゃあ私の体が持ちませんよ!もちろん、もうすぐ結婚されて王太子妃になられるオティーリエ様の体も壊れてしまいます!」
イボンヌはプリプリと怒りながら部屋を出て、オティーリエを診てもらう為今度は医務室へ医者を呼びに行った。
「行っておいでよ。」
「…いいのか?いつもはサボるなと言うくせに。」
「そうですが、オティーリエ様の体調が良くないのを確認するのも、王太子の勤めですから。」
「…そうだな。」
そう言いながらもなかなか腰を上げないフォルラートに、仕事中は気を遣って上司に話し掛けるようにしているのを敢えて止め、気安い口調でカスパルは話し掛ける。
二人の時には、昔からの付き合いもあり、友人のように気安い仲なのだ。
「どう?ちょっとは昔のように仲良くなれた?」
「ん?」
「会話もして、顔を合わせているんだから。」
「…幼い頃は、本当に可愛かったんだ。」
「何度も聞いてるよ。でもやっぱりは、なの?過去形?」
「……。」
「人って、そんなに変わらないんじゃない?」
「………行ってくる。」
「はいよ。いってらっしゃ~い!」
カスパルは手をひらひらと振り、部屋を出て行くフォルラートへ声援を送った。
「入ります!」
少々乱暴に部屋の扉を叩いたイボンヌは、返事をされる前にその部屋へ入った。
「おい…あ、イボンヌ。どうした?」
そこは、フォルラートが仕事用に与えられた部屋だ。
扉の近くに立っていたカスパルが咎めようとして相手がオティーリエについている筆頭侍女のイボンヌだったから慌てて止める。
「苦言を呈しに参りました!」
机に向かっていたフォルラートは顔を上げ、今はオティーリエの朝食の時間ではないのかと首を傾げながらイボンヌの言葉の意味を考える。
「どういう事だ?」
「ザーラの事です!前々から思っておりましたが、ザーラはご自分の立場を理解しておられませんよね?ただの伯爵家の娘、なのに父親が王宮で勤められていらっしゃるからってフォルラート様には事ある毎に近づかれるだけではなく、オティーリエ様にも口答えする始末なのですよ!
それに、ザーラは自ら志願してオティーリエ様の侍女になると言われたのですよね?それなのに、今日は寝坊なのか嫌になったのか、出勤しておりません!それに加えて、オティーリエ様に嫌がらせをしているのです!一昨日の夜と昨日の夜は寒いから着せるようにと伝えておいたのに暖かい下着を着せておられなかったので、今朝オティーリエ様は体調を崩されました!」
ぐいぐいと前のめりに話すイボンヌに若干押され気味なフォルラートは、それでもやはり思うことがあるようで、苦虫をかみ潰したような顔をした。
「…それで、オティーリエは大丈夫なのか?」
「ええ、熱があるようなのでとりあえず暖かくして寝ております。まだこちらの気候に慣れていなかったのに…!ザーラは、仕事をさせるにもしっかりやらないので、はっきり言って邪魔です!」
「まぁまぁ、イボンヌ。そうは言っても、分かるだろう?あの女の父親は、要職に就いているギルマン伯爵なんだから。機嫌を損ねて、政策に反対ばかりされても困るんだよ。」
カスパルは苦笑いしながらそう言った。
「済まない…ギルマン伯爵からは俺への婚約者候補だとかなんだと娘を推されていたが、どうにか逃れれたと思ったんだがな…まさか侍女に推してくるとは。まぁ、王宮侍女という箔を付けたい者もいるから、やりたいというのを無下にも出来ないのだよ。」
「でもそれで!オティーリエ様が体調を崩されたのですよ!?ザーラは私が注意してもどこ吹く風で、ききやしないのです!」
「それについては…そうだな。悪いと思っている。オティーリエは大丈夫なのか?」
「私は忙しいので、ご自分で確認しに行って下さい!何ていったって、一ヶ月後には結婚して夫婦となられるお相手なのですからね!」
「……。」
「ね!?」
「あぁ。」
「全く!これじゃあ私の体が持ちませんよ!もちろん、もうすぐ結婚されて王太子妃になられるオティーリエ様の体も壊れてしまいます!」
イボンヌはプリプリと怒りながら部屋を出て、オティーリエを診てもらう為今度は医務室へ医者を呼びに行った。
「行っておいでよ。」
「…いいのか?いつもはサボるなと言うくせに。」
「そうですが、オティーリエ様の体調が良くないのを確認するのも、王太子の勤めですから。」
「…そうだな。」
そう言いながらもなかなか腰を上げないフォルラートに、仕事中は気を遣って上司に話し掛けるようにしているのを敢えて止め、気安い口調でカスパルは話し掛ける。
二人の時には、昔からの付き合いもあり、友人のように気安い仲なのだ。
「どう?ちょっとは昔のように仲良くなれた?」
「ん?」
「会話もして、顔を合わせているんだから。」
「…幼い頃は、本当に可愛かったんだ。」
「何度も聞いてるよ。でもやっぱりは、なの?過去形?」
「……。」
「人って、そんなに変わらないんじゃない?」
「………行ってくる。」
「はいよ。いってらっしゃ~い!」
カスパルは手をひらひらと振り、部屋を出て行くフォルラートへ声援を送った。
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