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1. 政略結婚の駒
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その日、王女のオティーリエは父であるアンゼルム王に執務室へと呼ばれた。
朝食が終わり、午前中の政務が始まるまでにいつものように一度、裏庭へと行こうと思っていたオティーリエは、廊下で父の側近より伝言を聞いた。自分の元へ来い、と。
(何なのかしら?今日は、もう少しで咲くバラの花を見に行こうと思っていたのにお父様ったらいつも急なんだもの!)
オティーリエは、王である父に呼ばれる時は大抵なにか無理な事を言われたりお小言を言われる時であるから、足取り重く向かった。
「失礼致します。」
オティーリエは執務室へと来ると扉を叩き、中へ入った。
「おお、来たか。オティーリエ、最近どうだ?」
「どう、とは?王族は常に平常であれとの教え通り、可も無く不可も無くといった所でしょうか。」
「オティーリエ、家族であるのだからもう少し砕けた話し方でいいのだぞ?」
「何をおっしゃるのですか。ここは執務室ですから、陛下として私を呼び付けたのですよね?
私の講師の先生方を愚弄するのですか?私は常に教えられた元に生きておりますのよ。」
「分かった分かった!…でだな、オティーリエ、東にあるグロッケンタイル山脈を越えた、バンニュルンベルク国の第一王子フォルラート殿の元へと嫁いでくれ。一月後に結婚式だ。」
「…なんですって!?」
「聞こえなんだか?」
「いえ、聞こえてはいますが…本気ですか?」
「本気だ。あの国とは幾度となく我がテューロビンゲン国と領土の間にあるグロッケンタイル山脈にある資源を分け合っているのは知っておるだろ。一応仲良く分け合ってはいたのだが、それが、我らがこっそりと大量に鉱石を取っていたのがばれたようだ。一気に険悪ムードになってしまってなぁ…。互いに話し合った結果、お互いの子供を結婚させようとなったのだ。」
「ばれた?…それで、結婚をすれば緊迫化が緩和されるのですか?もう少し、お互いに取り分をしっかり書面に移すとかした方が建設的では?」
「痛いところをつくなぁ。まぁ、お前が架け橋となってくれれば丸く収まる。」
「はぁ?陛下!私に丸投げですか!?」
「オティーリエなら出来る!お前は、八歳からしっかりと教育を受けてきただろう?講師の先生方からもお墨付きをもらっておるからな。」
「当たり前ですわ!私に教えて下さった先生方に恥をかかせない為にも、日々教えを思い出しながら生活しているのですから!」
「だろう?お前は、勤勉で素晴らしい!よって、今日、バンニュルンベルク国へと向かうのだ。準備が出来たら、正門へ行くが良い。護衛騎士達は今ごろ準備の真っ最中だ。出来次第正門へ向かっているだろうからな。」
「今日!?……分かりました。ではしばらく、せめて結婚式が終わるまでは、こっそりと大量に採る事は止めて下さいね!私があちらへ行った途端殺されても嫌ですから!絶対ですよ!」
オティーリエはいくらなんでも、と思ったが国王の父が決めた事は、覆す事は不可能だと思い、諦め、妥協案を提示した。
「分かった分かった!私もお前と離れるのは淋しいがな、あちらの国で我が国の為に粉骨砕身働いてくれる事を願っている。そうそう、あちらはこことは違って随分気温の差が激しい為、衣服は準備してくれるそうだ。良かったな、身一つで行けるぞ。」
「………。」
オティーリエは、父親である国王の言葉に腹を立てながらも自分の役割は確かにそうだと思いながら、執務室を退出した。
朝食が終わり、午前中の政務が始まるまでにいつものように一度、裏庭へと行こうと思っていたオティーリエは、廊下で父の側近より伝言を聞いた。自分の元へ来い、と。
(何なのかしら?今日は、もう少しで咲くバラの花を見に行こうと思っていたのにお父様ったらいつも急なんだもの!)
オティーリエは、王である父に呼ばれる時は大抵なにか無理な事を言われたりお小言を言われる時であるから、足取り重く向かった。
「失礼致します。」
オティーリエは執務室へと来ると扉を叩き、中へ入った。
「おお、来たか。オティーリエ、最近どうだ?」
「どう、とは?王族は常に平常であれとの教え通り、可も無く不可も無くといった所でしょうか。」
「オティーリエ、家族であるのだからもう少し砕けた話し方でいいのだぞ?」
「何をおっしゃるのですか。ここは執務室ですから、陛下として私を呼び付けたのですよね?
私の講師の先生方を愚弄するのですか?私は常に教えられた元に生きておりますのよ。」
「分かった分かった!…でだな、オティーリエ、東にあるグロッケンタイル山脈を越えた、バンニュルンベルク国の第一王子フォルラート殿の元へと嫁いでくれ。一月後に結婚式だ。」
「…なんですって!?」
「聞こえなんだか?」
「いえ、聞こえてはいますが…本気ですか?」
「本気だ。あの国とは幾度となく我がテューロビンゲン国と領土の間にあるグロッケンタイル山脈にある資源を分け合っているのは知っておるだろ。一応仲良く分け合ってはいたのだが、それが、我らがこっそりと大量に鉱石を取っていたのがばれたようだ。一気に険悪ムードになってしまってなぁ…。互いに話し合った結果、お互いの子供を結婚させようとなったのだ。」
「ばれた?…それで、結婚をすれば緊迫化が緩和されるのですか?もう少し、お互いに取り分をしっかり書面に移すとかした方が建設的では?」
「痛いところをつくなぁ。まぁ、お前が架け橋となってくれれば丸く収まる。」
「はぁ?陛下!私に丸投げですか!?」
「オティーリエなら出来る!お前は、八歳からしっかりと教育を受けてきただろう?講師の先生方からもお墨付きをもらっておるからな。」
「当たり前ですわ!私に教えて下さった先生方に恥をかかせない為にも、日々教えを思い出しながら生活しているのですから!」
「だろう?お前は、勤勉で素晴らしい!よって、今日、バンニュルンベルク国へと向かうのだ。準備が出来たら、正門へ行くが良い。護衛騎士達は今ごろ準備の真っ最中だ。出来次第正門へ向かっているだろうからな。」
「今日!?……分かりました。ではしばらく、せめて結婚式が終わるまでは、こっそりと大量に採る事は止めて下さいね!私があちらへ行った途端殺されても嫌ですから!絶対ですよ!」
オティーリエはいくらなんでも、と思ったが国王の父が決めた事は、覆す事は不可能だと思い、諦め、妥協案を提示した。
「分かった分かった!私もお前と離れるのは淋しいがな、あちらの国で我が国の為に粉骨砕身働いてくれる事を願っている。そうそう、あちらはこことは違って随分気温の差が激しい為、衣服は準備してくれるそうだ。良かったな、身一つで行けるぞ。」
「………。」
オティーリエは、父親である国王の言葉に腹を立てながらも自分の役割は確かにそうだと思いながら、執務室を退出した。
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