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本編

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「おはようございます。お目覚めですか?お召し替えを致しましょうね。」
翌朝、目が覚めた頃にタリアが部屋に来た。そして、豪華だけれど落ち着いた淡い色のワンピースを着せてくれる。

それを着て、朝食を取る部屋に連れて行かれたが、入ってびっくり!
何メートルあるのってくらいの長細い机と10人以上は座れそうな椅子が左右に向かい合わせにズラリと並んでいる。
壁際には、侍女が左右に6人ずつ間隔を開けて姿勢良く立っていた。
そして、一番奥にルーク様はすでに座っていた。

「来たか。そこへ座って。さあ食べよう。」

と、言ってくれたが、対して私は、逆に入り口近くの席。
周りは誰も座らないのに、無駄に広い部屋。
食べている時も侍女がずっと立っているのが気になって…。多分、何かあればすぐ駆けつけられるように立ってくれているのだろうけど、食べにくい…。ルーク様とも、朝食を一緒にと言われたから話が出来るのかなと思ったのに。こんなに席が離れていたらおしゃべりも出来ない…これでは食事の作法などをたくさんの人に見られているようで…なんだかとても緊張した朝食の時間となった。




「はー疲れた!」
部屋に戻るとソファにだらしなく座ってしまった。

「お食事は口にあいませんでしたか?」
「え?いいえ。そうではないわ。多分とても美味しかった。でも…なんであんな広い部屋で食べるの?ルーク様と一緒に食事だと思ったのに、あれじゃあ一緒に食べてるって言えないし、立っている人がたくさんいて、ちょっと…息が詰まっちゃって。」
「まあ!そうでございましたか。では、ルーク様とお食事は次回からお断りしておきましょうか。息が詰まっては、味わってゆっくりお食事も出来ませんものね。」
「断っても大丈夫ですか?人数が居ないならあんなに広い部屋じゃなくていいと思って。ルーク様とお話しながら食事できるなら良かったのにな…。一人で食べると味気ないと思ったのに。」
「まぁまぁまぁ!分かりました。お伝えしておきますね。確かにお断りすると、ルーク様は残念がるでしょうから、マリア様のご要望もお伝えしておきます。」
「あ、でも、忙しいならいいですよ!なんだか、急いで食べ終わってたように見えたから。」
「忙しいのは確かですけれど、伝えるのは大丈夫ですよ。お仕事に支障がある場合はルーク様が調整されるでしょうから。それから、今日もお茶のお時間にはルーク様からお誘いがありましたけれど、どうされますか?気候がよろしいので、王宮の庭でとのお誘いですけれど。」
「行く!いいのかしら?お願いします!」
「分かりました。マリア様が楽しんでいいただけると、ルーク様もお喜びになりますよ。お伝えしておきますね。」
昨日私が、庭に行きたいって言ったからかな?やった-!
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