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9. 顔合わせ
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三日後。
お父様が、食事の時に言った。
「サーラ。明日、ルシウス様と顔合わせをしよう。どうだ?」
「明日!?これまた早いですわね。」
「あぁ。何でも、先日の王宮のガーデンパーティーにルシウス様は久々に参加されたそうでな。ま、私もディクソン伯爵にその時に会って話していたのだ。まだ王都にいるらしい。だがもうすぐディクソン領へ帰るそうで、その前に会えるならと言って下さったのだ。」
「そうですか…。まぁ、はい。」
明日なんて、すぐじゃないの。緊張するわ…。
「お姉様、よかったわね!」
「じゃあ服はあるものでやるしかないわね。余所行きのワンピース、あったわよね?あとで見てみましょうね?」
キャシーは自分の事のように喜んでくれているわ。
お母様も、なんだかうきうきしている様子。
私は、うきうきよりも緊張して…話が出来るかしら。
☆★
翌日。
午後に来て下さるそうだけれど、朝からとても緊張していたの。調べ物も手に付かなかったわ。
「サーラ様。いらっしゃいましたよ。」
タバッサが呼びに来てくれたので、応接室へと急いだ。
コンコンコン
「失礼します。」
「サーラ、こちらへ座りなさい。」
応接室には、お父様とお母様が座っていた。そちら側にお父様が私を呼んだ。
そしてその対面に、銀色の髪のディクソン伯爵と夫人、同じく銀色の髪のその息子ルシウス様だろう方が座っていた。
私は下を向いていたが、お父様が紹介して下さった時に顔を上げると、つい最近見かけた顔だった。
「あっ!」
「やっぱり。君だったんだね。」
「なんだ、知り合いか?」
「会っていたのか?」
私が発した驚きの言葉に、ルシウス様が優しい微笑みで言い、お父様とディクソン伯爵が疑問を同時に口にした。
「王宮のガーデンパーティーで見かけただけです。」
ルシウス様が答えてくれると、
「そうか。じゃあサーラも初対面よりかは幾分話しやすいかな。どうだ。庭でも案内してきなさい。」
「ええっ?」
そんな…いきなり二人!?確かに初対面ではないけれど、あの時話をしたわけではないのに。
「サーラ嬢。素敵な庭ですね。バラがとても綺麗に咲いている。案内してもらっていいですか?」
「はい…。」
「サーラ、いってらっしゃい!」
お母様に手を振られ、私は気が進まぬまま、立ち上がり言った。
「こちらから、外へ出られます。どうぞいらして下さい。」
「サーラ嬢、ありがとう。では。」
ルシウス様は残った四人に会釈をし、私も会釈をして庭の案内をするべく、庭に面した扉へ向かった。
お父様が、食事の時に言った。
「サーラ。明日、ルシウス様と顔合わせをしよう。どうだ?」
「明日!?これまた早いですわね。」
「あぁ。何でも、先日の王宮のガーデンパーティーにルシウス様は久々に参加されたそうでな。ま、私もディクソン伯爵にその時に会って話していたのだ。まだ王都にいるらしい。だがもうすぐディクソン領へ帰るそうで、その前に会えるならと言って下さったのだ。」
「そうですか…。まぁ、はい。」
明日なんて、すぐじゃないの。緊張するわ…。
「お姉様、よかったわね!」
「じゃあ服はあるものでやるしかないわね。余所行きのワンピース、あったわよね?あとで見てみましょうね?」
キャシーは自分の事のように喜んでくれているわ。
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私は、うきうきよりも緊張して…話が出来るかしら。
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そしてその対面に、銀色の髪のディクソン伯爵と夫人、同じく銀色の髪のその息子ルシウス様だろう方が座っていた。
私は下を向いていたが、お父様が紹介して下さった時に顔を上げると、つい最近見かけた顔だった。
「あっ!」
「やっぱり。君だったんだね。」
「なんだ、知り合いか?」
「会っていたのか?」
私が発した驚きの言葉に、ルシウス様が優しい微笑みで言い、お父様とディクソン伯爵が疑問を同時に口にした。
「王宮のガーデンパーティーで見かけただけです。」
ルシウス様が答えてくれると、
「そうか。じゃあサーラも初対面よりかは幾分話しやすいかな。どうだ。庭でも案内してきなさい。」
「ええっ?」
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「はい…。」
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「こちらから、外へ出られます。どうぞいらして下さい。」
「サーラ嬢、ありがとう。では。」
ルシウス様は残った四人に会釈をし、私も会釈をして庭の案内をするべく、庭に面した扉へ向かった。
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