10 / 23
婚約者、どういう事?
しおりを挟む
「やっとアイリス嬢と話せるね。あ、でも秘密の話、しても大丈夫?」
そう言って、私の侍女と、タヤックを見た。
「え、ええ。あの二人は私の味方です。」
ど、どういう事かしら?
「そう。まぁ、誰かに言った所で僕は上手くやれるけどね。そうでしょ?」
と、侯爵様は私にウインクした。上手くやれるって、さっきの恋愛小説に出てくるような台詞をスラスラと言ってた事かしら。そうね、私騙されそうになったわよ。こっちが素って事かしら。
「ええと、どういう事でしょうか。」
こうなったら、説明してもらいたいわ。
「あぁ、そう硬くならないで。まず、僕は結婚なんて誰としようと一緒なんだ。僕には愛する人がいるからね。レインって言うんだけど、その人と一緒にいられるなら形だけの結婚だってやってみせるさ。だって僕の愛する人は平民なんだ。だけどさ侯爵家の僕は、それなりの地位の貴族と結婚しないといけないわけ。だから社交界でもどんな女性がいいか探していたんだ。普通さ、遊びならこんな僕でもいいけど、結婚となるとこんな話し方なんて嫌がるでしょ。」
「なるほど…。」
侯爵様のそのチャラいのには、理由があったのね。
「それでね、国立学校時代なんだけど、マルンセン国の留学生もいてね。そこから仲の良い友人なんだ。」
はぁ…。話は終わって違う話題になったのかしら。
「友人はとってもイイヤツでね。卒業してからも交流していて、いろいろと心情も話し合ってたんだ。せっかくなら、その友人の願いを叶えようと思ってね。だからアイリス嬢には、僕よりももっと相応しい王子サマがいるから安心してね。イヤリングを付けてマルンセン国に行きなよ。残念ながら彼はここには迎えには来れないんだ。事情があってね。でも、その友人もアイリス嬢にものすごく会いたがっていたよ。会いに行ってくれるかい?」
え?誰の話?そう言われても…。
「侯爵様。慰めていただけて恐縮ですが、私にはマルンセン国の知り合いはおりません。」
お隣だし、言葉を覚えたから使ってみたいとは思ったけれど、知り合いなんていない。
「あちゃー。そうか、あいつ言ってないんだね。ま、無理もないか。マルンセン国、じゃなくてイヤリング、と言ってなにか思い出さない?」
「イヤリング…?えっと、まさかあの高価な?」
「そうそう!それをくれた奴が、アイリス嬢を待ってるからさ!悪いんだけど、自分からマルンセン国へ行って欲しいんだよね。僕は、こっちで君の義妹と毒親たちを引き受けてあげるからさ。でもさすがに一人で行くのは危ないよね。僕の信用がおけるやつを付けるのも、僕の仕事があるから長時間は難しいんだよなぁ。」
侯爵様がちらちらと、タヤックとガーベラの方を見て話しているような気がするのは気のせいかしら。
「失礼ながら!」
タヤックが近づいてきていきなり声を掛けてきた。使用人が、貴族達が話をしている時に声をかけるのはよっぽどの時なのよね。それ以外は、マナー違反。
「何?」
侯爵様がニヤリと笑って話し掛けた。
「私が送り届けます!」
「あー、君か?奴が会ったのは。」
「そうです。」
「そうか。じゃあ適任だね。」
「私も!」
なぜかガーベラまで。
「えっと、どういう事?」
そろそろ聞いてもいいわよね?もう少し詳しく教えてほしいわ。
「おっと、そろそろ君の義妹がかえてくるんじゃないか?あとは、君に任せるよ。あ、忘れるところだった。マルンセン国に入ったら、イヤリングは左耳に付ける事。いい?心配しなくても簡単には外れないから大丈夫だよ。分かったね?」
と、私とタヤックに向けて言った。
「さぁ、持ち場に戻りなよ。怪しまれないようにしてね。」
「「はい。」」
えーだからどういう事よ!
そう言って、私の侍女と、タヤックを見た。
「え、ええ。あの二人は私の味方です。」
ど、どういう事かしら?
「そう。まぁ、誰かに言った所で僕は上手くやれるけどね。そうでしょ?」
と、侯爵様は私にウインクした。上手くやれるって、さっきの恋愛小説に出てくるような台詞をスラスラと言ってた事かしら。そうね、私騙されそうになったわよ。こっちが素って事かしら。
「ええと、どういう事でしょうか。」
こうなったら、説明してもらいたいわ。
「あぁ、そう硬くならないで。まず、僕は結婚なんて誰としようと一緒なんだ。僕には愛する人がいるからね。レインって言うんだけど、その人と一緒にいられるなら形だけの結婚だってやってみせるさ。だって僕の愛する人は平民なんだ。だけどさ侯爵家の僕は、それなりの地位の貴族と結婚しないといけないわけ。だから社交界でもどんな女性がいいか探していたんだ。普通さ、遊びならこんな僕でもいいけど、結婚となるとこんな話し方なんて嫌がるでしょ。」
「なるほど…。」
侯爵様のそのチャラいのには、理由があったのね。
「それでね、国立学校時代なんだけど、マルンセン国の留学生もいてね。そこから仲の良い友人なんだ。」
はぁ…。話は終わって違う話題になったのかしら。
「友人はとってもイイヤツでね。卒業してからも交流していて、いろいろと心情も話し合ってたんだ。せっかくなら、その友人の願いを叶えようと思ってね。だからアイリス嬢には、僕よりももっと相応しい王子サマがいるから安心してね。イヤリングを付けてマルンセン国に行きなよ。残念ながら彼はここには迎えには来れないんだ。事情があってね。でも、その友人もアイリス嬢にものすごく会いたがっていたよ。会いに行ってくれるかい?」
え?誰の話?そう言われても…。
「侯爵様。慰めていただけて恐縮ですが、私にはマルンセン国の知り合いはおりません。」
お隣だし、言葉を覚えたから使ってみたいとは思ったけれど、知り合いなんていない。
「あちゃー。そうか、あいつ言ってないんだね。ま、無理もないか。マルンセン国、じゃなくてイヤリング、と言ってなにか思い出さない?」
「イヤリング…?えっと、まさかあの高価な?」
「そうそう!それをくれた奴が、アイリス嬢を待ってるからさ!悪いんだけど、自分からマルンセン国へ行って欲しいんだよね。僕は、こっちで君の義妹と毒親たちを引き受けてあげるからさ。でもさすがに一人で行くのは危ないよね。僕の信用がおけるやつを付けるのも、僕の仕事があるから長時間は難しいんだよなぁ。」
侯爵様がちらちらと、タヤックとガーベラの方を見て話しているような気がするのは気のせいかしら。
「失礼ながら!」
タヤックが近づいてきていきなり声を掛けてきた。使用人が、貴族達が話をしている時に声をかけるのはよっぽどの時なのよね。それ以外は、マナー違反。
「何?」
侯爵様がニヤリと笑って話し掛けた。
「私が送り届けます!」
「あー、君か?奴が会ったのは。」
「そうです。」
「そうか。じゃあ適任だね。」
「私も!」
なぜかガーベラまで。
「えっと、どういう事?」
そろそろ聞いてもいいわよね?もう少し詳しく教えてほしいわ。
「おっと、そろそろ君の義妹がかえてくるんじゃないか?あとは、君に任せるよ。あ、忘れるところだった。マルンセン国に入ったら、イヤリングは左耳に付ける事。いい?心配しなくても簡単には外れないから大丈夫だよ。分かったね?」
と、私とタヤックに向けて言った。
「さぁ、持ち場に戻りなよ。怪しまれないようにしてね。」
「「はい。」」
えーだからどういう事よ!
154
お気に入りに追加
3,286
あなたにおすすめの小説
妹ばかりを贔屓し溺愛する婚約者にウンザリなので、わたしも辺境の大公様と婚約しちゃいます
新世界のウサギさん
恋愛
わたし、リエナは今日婚約者であるローウェンとデートをする予定だった。
ところが、いつになっても彼が現れる気配は無く、待ちぼうけを喰らう羽目になる。
「私はレイナが好きなんだ!」
それなりの誠実さが売りだった彼は突如としてわたしを捨て、妹のレイナにぞっこんになっていく。
こうなったら仕方ないので、わたしも前から繋がりがあった大公様と付き合うことにします!
【完結】高嶺の花がいなくなった日。
紺
恋愛
侯爵令嬢ルノア=ダリッジは誰もが認める高嶺の花。
清く、正しく、美しくーーそんな彼女がある日忽然と姿を消した。
婚約者である王太子、友人の子爵令嬢、教師や使用人たちは彼女の失踪を機に大きく人生が変わることとなった。
※ざまぁ展開多め、後半に恋愛要素あり。
村八分にしておいて、私が公爵令嬢だったからと手の平を返すなんて許せません。
木山楽斗
恋愛
父親がいないことによって、エルーシャは村の人達から迫害を受けていた。
彼らは、エルーシャが取ってきた食べ物を奪ったり、村で起こった事件の犯人を彼女だと決めつけてくる。そんな彼らに、エルーシャは辟易としていた。
ある日いつものように責められていた彼女は、村にやって来た一人の人間に助けられた。
その人物とは、公爵令息であるアルディス・アルカルドである。彼はエルーシャの状態から彼女が迫害されていることに気付き、手を差し伸べてくれたのだ。
そんなアルディスは、とある目的のために村にやって来ていた。
彼は亡き父の隠し子を探しに来ていたのである。
紆余曲折あって、その隠し子はエルーシャであることが判明した。
すると村の人達は、その態度を一変させた。エルーシャに、媚を売るような態度になったのである。
しかし、今更手の平を返されても遅かった。様々な迫害を受けてきたエルーシャにとって、既に村の人達は許せない存在になっていたのだ。
気配消し令嬢の失敗
かな
恋愛
ユリアは公爵家の次女として生まれ、獣人国に攫われた長女エーリアの代わりに第1王子の婚約者候補の筆頭にされてしまう。王妃なんて面倒臭いと思ったユリアは、自分自身に認識阻害と気配消しの魔法を掛け、居るかいないかわからないと言われるほどの地味な令嬢を装った。
15才になり学園に入学すると、編入してきた男爵令嬢が第1王子と有力貴族令息を複数侍らかせることとなり、ユリア以外の婚約者候補と男爵令嬢の揉める事が日常茶飯事に。ユリアは遠くからボーッとそれを眺めながら〘 いつになったら婚約者候補から外してくれるのかな? 〙と思っていた。そんなユリアが失敗する話。
※王子は曾祖母コンです。
※ユリアは悪役令嬢ではありません。
※タグを少し修正しました。
初めての投稿なのでゆる〜く読んでください。ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください( *・ω・)*_ _))ペコリン
私を追い出した結果、飼っていた聖獣は誰にも懐かないようです
天宮有
恋愛
子供の頃、男爵令嬢の私アミリア・ファグトは助けた小犬が聖獣と判明して、飼うことが決まる。
数年後――成長した聖獣は家を守ってくれて、私に一番懐いていた。
そんな私を妬んだ姉ラミダは「聖獣は私が拾って一番懐いている」と吹聴していたようで、姉は侯爵令息ケドスの婚約者になる。
どうやらラミダは聖獣が一番懐いていた私が邪魔なようで、追い出そうと目論んでいたようだ。
家族とゲドスはラミダの嘘を信じて、私を蔑み追い出そうとしていた。
離婚って、こちらからも出来るって知ってました?
美杉。節約令嬢、書籍化進行中
恋愛
元商人であった父が、お金で貴族の身分を手に入れた。
私というコマを、貴族と結婚させることによって。
でもそれは酷い結婚生活の始まりでしかなかった。
悪態をつく姑。
私を妻と扱わない夫。
夫には離れに囲った愛人がおり、その愛人を溺愛していたため、私たちは白い結婚だった。
それでも私は三年我慢した。
この復讐のため、だけに。
私をコマとしか見ない父も、私を愛さない夫も、ただ嫌がらせするだけの姑も全部いりません。
姑の介護?
そんなの愛人さんにやってもらって、下さい?
あなたの魂胆など、初めから知ってましたからーー
妹に醜くなったと婚約者を押し付けられたのに、今さら返せと言われても
亜綺羅もも
恋愛
クリスティーナ・デロリアスは妹のエルリーン・デロリアスに辛い目に遭わされ続けてきた。
両親もエルリーンに同調し、クリスティーナをぞんざいな扱いをしてきた。
ある日、エルリーンの婚約者であるヴァンニール・ルズウェアーが大火傷を負い、醜い姿となってしまったらしく、エルリーンはその事実に彼を捨てることを決める。
代わりにクリスティーナを押し付ける形で婚約を無かったことにしようとする。
そしてクリスティーナとヴァンニールは出逢い、お互いに惹かれていくのであった。
嫌われ者の側妃はのんびり暮らしたい
風見ゆうみ
恋愛
「オレのタイプじゃないんだよ。地味過ぎて顔も見たくない。だから、お前は側妃だ」
顔だけは良い皇帝陛下は、自らが正妃にしたいと希望した私を側妃にして別宮に送り、正妃は私の妹にすると言う。
裏表のあるの妹のお世話はもううんざり!
側妃は私以外にもいるし、面倒なことは任せて、私はのんびり自由に暮らすわ!
そう思っていたのに、別宮には皇帝陛下の腹違いの弟や、他の側妃とのトラブルはあるし、それだけでなく皇帝陛下は私を妹の毒見役に指定してきて――
それって側妃がやることじゃないでしょう!?
※のんびり暮らしたかった側妃がなんだかんだあって、のんびりできなかったけれど幸せにはなるお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる