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家族との時間

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「私の石は、こちらです。」



 『探索の儀』から帰って来た日、執事のトルトンが石を入れる為の袋を用意してくれた。
手に入れた石はこれから肌身離さず持ち歩く事となる。ラリアーが言ったように、宝飾品にしてしまう人も少なくないそうだ。
指輪にする人、ピアスやイアリングにする人、ネックレスにする人や、腕輪にする人もいるそう。

 ただ、私達は学生で、これから授業で扱い方を学んだりする為すぐに宝飾品にする人はほとんどいない。将来の進む道が決まっていないというのもある。卒業してすぐに働く人が宝飾品にすると、仕事の妨げになってもいけないからだ。

 なので、袋に入れ(まぁ、私の石はかなり小さいけれど。)、それをドレスの内ポケットにしまう。今までに無かった膨らみが、大人になったようでなんだか誇らしく思った。



 私は、袋から出して家族全員に見えるように手でつまんで目の高さに持った。

「わぁ!何色?それ!」

「本当ね。お姉様、何色にもみえるわ!」

「まぁ!黒色かと思ったら、濃い紫にも、濃い青色にも見えるわね!ねぇ、ガヴェイン。これはかなり素晴らしいと思うのだけど。」

「そうだな…。これはもしかするともしかするな。おい、オーヴィル。ウカウカしてると抜かされるかもしれないぞ。」

「父上!さすがに酷いですよ!…でもエレナール、本当だね。とても綺麗だ。これは僕と一緒に仕事が出来るかもしれないよ。」

 家族みんなが口々に感想を言ってくれた。それぞれ肯定的な意見で、誰も馬鹿にするような事を言わず、それどころか優秀な魔力を宿った石を持って王宮魔術団に所属しているお兄様に、そんな言葉を掛けられるなんて。私は少し顔が綻んだ。

「あ、ありがとうございます…。」

「いいな-。僕も早く石が欲しいな!」

「そうね。でも13歳になったら嫌でも勉学に励まないといけないんだから、それまでは私達楽しみましょうよ!」

「ははは。そうだな。お前達はまだ先だ。それまではゆっくり遊んでおくんだな。僕はもっと遊んでおけばよかったと思ったからね。」

 お兄様、そうでしたのね。もっと遊びたかったのですね……確かにお兄様は、学校でも、石の魔力が素晴らしかったみたいでかなり頑張られていたそうで。
それで卒業と同時に王宮魔術団へ入団し、そこは実力主義ですからまた、精進されているのよね。

「あの。お父様、お母様、お兄様の石も今一度見せてもらえませんか?」

「おお-!いいぞ。」

「まぁ!そうねぇ。ウフフ。じっくり見せたのは小さな頃だったから、忘れているわよね。」

「おっ!いいよ。興味が湧いたかい?」
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