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リリー視点 破滅
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「嘘だろ、嘘だと言ってくれ!」
目の前でパーシーが叫んでいるが、嘘だと言えるのであればとっくに言っている。傍らの伯爵の表情はどんどん険しくなっていき、私はいよいよ自分の破滅を自覚する。
せっかくこれまでうまくやってきたというのに。
あとちょっとで、お姉様とパーシーが結婚し、そしたら私は裏でパーシーをそそのかして、お姉様がずっとこの屋敷から出られないようにしてもらおうと思っていたのに。お姉様が屋敷から出られなくなれば私は精霊を手に入れて足もどうにか治して全てを手に入れるという完璧な計画だったのに。
それがこんな男のせいでいともたやすく崩れ去るなんて。
そう思うと私は急にこの場で唯一の味方であるパーシーが憎く思えてきた。こいつのせいで私の計画は全て台無しだ。それにどうせ彼も私が本当は魔法なんか使えないと分かればすぐに手の平を返すのだろう。
「これは全てあなたが悪いの! 全く、何も考えずに物語の主人公気取りで私を攫ってくるなんて短慮にもほどがあるわ!」
「お、おい、一体どうしたんだ?」
豹変した私にパーシーは動揺しながら尋ねる。
「どうしたもこうしたもないわ。もう全ては終わり! 私は本当は魔法なんて使えないし、あなたは婚約者の妹を誘拐した愚か者として私と一緒に破滅するのよ!」
「お、おいどうしたんだ、リリー! あの時僕に様々な魔法を見せてくれただろう!? それはどうしてしまったんだ!?」
「魔法? そんなもの、最初からお姉様からの借り物に過ぎなかった! 本当は私はお姉様の精霊を使わなければ魔法なんて使えなかった!」
「な、何だと」
それを聞いてパーシーの表情がみるみる青ざめていく。
私の言っていることを全てのみ込めた訳ではないが、まずいことになっているというのは分かったらしい。それを見て内心少しだけ留飲を下げる。
そして入れ替わるように今度は伯爵が私に厳しい視線を送ってくる。
「おい、今の話は本当か?」
「ええ、この期に及んでもはや嘘をつく必要もない!」
「おのれ、お前のせいで我が家はもう終わりだ!」
「私のせい? 息子の無能を私のせいにしないで! 私はただ自分が魔法が使えればいいと思っていただけ!」
「何だと!?」
激昂した伯爵が私の襟元を掴む。
華奢な私の体はあっさりと伯爵により持ち上げられた。先ほどまであれほど私を守ることに熱中していたパーシーは今はまるでセミの抜け殻のようにその場で呆然としていた。
そして伯爵は怒りを発散するように私の体を力任せに床へと叩きつける。
「違う、全てお前のせいだ!」
次の瞬間、私は衝撃とともに背中から床にたたきつけられる。
そしてそのまま私の意識は途絶えるのだった。
目の前でパーシーが叫んでいるが、嘘だと言えるのであればとっくに言っている。傍らの伯爵の表情はどんどん険しくなっていき、私はいよいよ自分の破滅を自覚する。
せっかくこれまでうまくやってきたというのに。
あとちょっとで、お姉様とパーシーが結婚し、そしたら私は裏でパーシーをそそのかして、お姉様がずっとこの屋敷から出られないようにしてもらおうと思っていたのに。お姉様が屋敷から出られなくなれば私は精霊を手に入れて足もどうにか治して全てを手に入れるという完璧な計画だったのに。
それがこんな男のせいでいともたやすく崩れ去るなんて。
そう思うと私は急にこの場で唯一の味方であるパーシーが憎く思えてきた。こいつのせいで私の計画は全て台無しだ。それにどうせ彼も私が本当は魔法なんか使えないと分かればすぐに手の平を返すのだろう。
「これは全てあなたが悪いの! 全く、何も考えずに物語の主人公気取りで私を攫ってくるなんて短慮にもほどがあるわ!」
「お、おい、一体どうしたんだ?」
豹変した私にパーシーは動揺しながら尋ねる。
「どうしたもこうしたもないわ。もう全ては終わり! 私は本当は魔法なんて使えないし、あなたは婚約者の妹を誘拐した愚か者として私と一緒に破滅するのよ!」
「お、おいどうしたんだ、リリー! あの時僕に様々な魔法を見せてくれただろう!? それはどうしてしまったんだ!?」
「魔法? そんなもの、最初からお姉様からの借り物に過ぎなかった! 本当は私はお姉様の精霊を使わなければ魔法なんて使えなかった!」
「な、何だと」
それを聞いてパーシーの表情がみるみる青ざめていく。
私の言っていることを全てのみ込めた訳ではないが、まずいことになっているというのは分かったらしい。それを見て内心少しだけ留飲を下げる。
そして入れ替わるように今度は伯爵が私に厳しい視線を送ってくる。
「おい、今の話は本当か?」
「ええ、この期に及んでもはや嘘をつく必要もない!」
「おのれ、お前のせいで我が家はもう終わりだ!」
「私のせい? 息子の無能を私のせいにしないで! 私はただ自分が魔法が使えればいいと思っていただけ!」
「何だと!?」
激昂した伯爵が私の襟元を掴む。
華奢な私の体はあっさりと伯爵により持ち上げられた。先ほどまであれほど私を守ることに熱中していたパーシーは今はまるでセミの抜け殻のようにその場で呆然としていた。
そして伯爵は怒りを発散するように私の体を力任せに床へと叩きつける。
「違う、全てお前のせいだ!」
次の瞬間、私は衝撃とともに背中から床にたたきつけられる。
そしてそのまま私の意識は途絶えるのだった。
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