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パーシーの怒りⅠ
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それから私は他人に渡した精霊を取り返す方法について調べていました。そもそも精霊の扱いは人それぞれで、あまり気にしない人は身の回りに放し飼い(という表現が適切かはさておき)のようにしています。しかし身分が高い人は特注の魔道具でもある小箱や檻の中に入れて保護しています。リリーも「お姉様から大事な精霊だから」と言って小箱を特注し、その中で精霊を入れています。
取り返すためにはリリーの部屋に侵入して箱を奪わなければいけませんが、そこまで用心している彼女から無理に取り返すことは難しいでしょう。それにそうやって取り返してもそれがばれれば母上に怒られてしまうでしょうし、強引に奪い返してばれないはずがありません。
では一体どうしたらいいか、と悩んでいるうちに数日が経ってしまいます。
そんなある日のこと、再び私の屋敷にパーシーがやってきます。この訪問自体は婚約者として元々決まっていたものですが、彼はやってきて私の部屋に入るなり険しい表情に変わります。
そもそも彼とはこの前会ってからほとんど何もなかったのに一体何でしょうか。
「おい、ミア、聞いたぞ」
「一体何かしら」
「またリリーをいじめたそうじゃないか」
それを聞いて私は内心げんなりしてしまいます。
恐らくパーシーが言っているのは少し前にリリーに精霊を返すよう要求した時のことでしょう。あの後リリーは私に対して健気な妹を演じながら、こっそりパーシーに対して私に何かされたことを匂わせたのだと思います。
しかもリリーのことだから直接私を非難するのではなく、「こんなことを言われたけど自分が不甲斐ないと思う」みたいな書き方で、パーシーに義憤を抱かせたに違いありません。要するにいつものリリーの手です。
「いじめていません」
私は憮然として否定しますが、それを聞いたパーシーはますます嫌な顔をします。
「いじめてない? いじめた人は皆そう言うんだ。正直に話してくれれば僕もそれ以上は追及しないようにしようと思ったのに」
「だから正直に言ってる! これ以上何て言えばいいと言うの!?」
「そんなこと知るか! 大体君は昔から魔法が使えないのを全く努力もせず他のことに逃げて生きている! だから魔法が使えるリリーのことが妬ましくなって、それで彼女が足を悪いのを早く治すようせかすようなことを言っているんだろう!?」
パーシーの言葉に私は困惑します。
どうやら彼の脳内では自分が持っている情報を元に勝手なストーリーが出来上がっているようです。こうなってしまうともはや何を言っても無駄でしょう。私もリリーをいじめていないという証拠を持っている訳ではありませんし。
「それも全部あなたの勝手な妄想じゃないの!?」
「妄想だと!? お前はリリーがどれだけ悲しんでいるのか知らないからそんなことが言えるんだ!」
一体何の話でしょうか。
「よくもまあ妹が苦しんでいるというのにそんな顔が出来るな! リリーはお前に言われた言葉を気にして夜も眠れないと言っているんだぞ!」
別にそんな様子は全くありませんが。
とはいえ、パーシーはこっそり手紙のやりとりでも知っているのか、いかにリリーが苦しんでいるのかについて語ります。
「……全く、ここまで言われて顔色一つ変えないとは本当に人間なのか?」
「だからそれは全部あなたの思い込みでは?」
私が重ねて言うと、パーシーは大袈裟に溜め息をつきます。
「はあ、あくまでそうやって言う訳だ。君には心底失望したよ。もうがっかりだ」
「待って下さい!」
パーシーが言い終えた時でした。
そんな声とともに私の部屋のドアが開き、当のリリーが入ってきます。
取り返すためにはリリーの部屋に侵入して箱を奪わなければいけませんが、そこまで用心している彼女から無理に取り返すことは難しいでしょう。それにそうやって取り返してもそれがばれれば母上に怒られてしまうでしょうし、強引に奪い返してばれないはずがありません。
では一体どうしたらいいか、と悩んでいるうちに数日が経ってしまいます。
そんなある日のこと、再び私の屋敷にパーシーがやってきます。この訪問自体は婚約者として元々決まっていたものですが、彼はやってきて私の部屋に入るなり険しい表情に変わります。
そもそも彼とはこの前会ってからほとんど何もなかったのに一体何でしょうか。
「おい、ミア、聞いたぞ」
「一体何かしら」
「またリリーをいじめたそうじゃないか」
それを聞いて私は内心げんなりしてしまいます。
恐らくパーシーが言っているのは少し前にリリーに精霊を返すよう要求した時のことでしょう。あの後リリーは私に対して健気な妹を演じながら、こっそりパーシーに対して私に何かされたことを匂わせたのだと思います。
しかもリリーのことだから直接私を非難するのではなく、「こんなことを言われたけど自分が不甲斐ないと思う」みたいな書き方で、パーシーに義憤を抱かせたに違いありません。要するにいつものリリーの手です。
「いじめていません」
私は憮然として否定しますが、それを聞いたパーシーはますます嫌な顔をします。
「いじめてない? いじめた人は皆そう言うんだ。正直に話してくれれば僕もそれ以上は追及しないようにしようと思ったのに」
「だから正直に言ってる! これ以上何て言えばいいと言うの!?」
「そんなこと知るか! 大体君は昔から魔法が使えないのを全く努力もせず他のことに逃げて生きている! だから魔法が使えるリリーのことが妬ましくなって、それで彼女が足を悪いのを早く治すようせかすようなことを言っているんだろう!?」
パーシーの言葉に私は困惑します。
どうやら彼の脳内では自分が持っている情報を元に勝手なストーリーが出来上がっているようです。こうなってしまうともはや何を言っても無駄でしょう。私もリリーをいじめていないという証拠を持っている訳ではありませんし。
「それも全部あなたの勝手な妄想じゃないの!?」
「妄想だと!? お前はリリーがどれだけ悲しんでいるのか知らないからそんなことが言えるんだ!」
一体何の話でしょうか。
「よくもまあ妹が苦しんでいるというのにそんな顔が出来るな! リリーはお前に言われた言葉を気にして夜も眠れないと言っているんだぞ!」
別にそんな様子は全くありませんが。
とはいえ、パーシーはこっそり手紙のやりとりでも知っているのか、いかにリリーが苦しんでいるのかについて語ります。
「……全く、ここまで言われて顔色一つ変えないとは本当に人間なのか?」
「だからそれは全部あなたの思い込みでは?」
私が重ねて言うと、パーシーは大袈裟に溜め息をつきます。
「はあ、あくまでそうやって言う訳だ。君には心底失望したよ。もうがっかりだ」
「待って下さい!」
パーシーが言い終えた時でした。
そんな声とともに私の部屋のドアが開き、当のリリーが入ってきます。
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