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エピローグ
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「……ところで、わざわざうちまで来て告白してくれたのは嬉しいけど、キャシーは?」
「いや、俺はカーラのことが好きなのに俺のことを好きなキャシーと二人でデートするのもどうかと思って置いてきた」
「そんな」
元は私の勘違いが原因とはいえ、さすがにそれは可哀想すぎないだろうか。
キャシーの気持ちを想像すると私は急にいたたまれなくなってきた。
「あの、私今から謝りに行ってくる!」
「そうか、なら俺もついていくよ。もしかしたらキャシーはまだその近くにいるかもしれないし」
「ありがとう」
こうして私は急遽出かける支度をすると、ブライアンとともに待ち合わせ場所にしていた広場に向かう。
さすがにブライアンが去ってから大分時間が過ぎていたせいか、広場にキャシーの姿はなかった。
しかし周囲を探し回っていると、近くのカフェの中で落ち込んでいるキャシーの姿が偶然目に入る。
「あそこにいる!」
私は指を指すとそのカフェに走っていった。
ブライアンに去っていかれて落ち込んでいたキャシーは憔悴しきった様子で紅茶を飲みながら、窓の外をぼーっと眺めている。
経緯を考えれば仕方ないと思うが、かなり落ち込んでいるようだ。
「キャシー、本当にごめん!」
「え、カーラ?」
突然現れた私とブライアンの姿を見てキャシーは驚きのあまりぎょっとしたようだった。突然こんな風に現れたら驚くのも無理はないだろう。
「ごめん、キャシー!」
そんなカーラに私はひたすら謝ることしか出来ない。
「え、何がどうなっているの!?」
そんな私にキャシーはただただ戸惑うばかりだった。
「ごめん、私は二人が付き合っていると勘違いしてたの」
「……え?」
私の言葉にキャシーは目を丸くする。
普通はキャシーが告白してブライアンに断られたのを聞かれた上に二人が両想いだと誤解されるとは思わないだろう。
「ごめん、キャシーが告白したところを聞いちゃって、それを私は二人が両想いなんだと誤解しちゃって」
「……」
しばらくの間、私の言っていることが理解出来なかったようで、キャシーは私の台詞に呆然としていた。
が、やがて彼女の中で整理がついたようで、口を開く。
「もしかしてそれでずっと私とブライアンを二人きりにしようとしてくれていたんですの?」
「うん」
「なーんだ、そういうことだったのか、道理で変だと思いましたわ」
私が頷くと、キャシーはそう言っておかしそうに笑う。
「本当にごめん」
「全くだ、俺はずっと困惑していたって言うのに」
ブライアンは口を尖らせる。
「いや、カーラが謝る必要はありませんわ。私も何かおかしいって思いながら自分がブライアンに近づくためにカーラの勘違いを利用しましたもの」
「ありがとう、そう言ってくれて」
「だからカーラに謝ってもらう必要はありませんわ。それよりも、誤解が解けてブライアンはカーラに告白したのですわね? その結果はどうなりましたの?」
「私もブライアンが好きだから付き合うことにした」
申し訳ないと思いつつも私は言う。
するとキャシーは諦めたように笑った。
「そういうことなら仕方ありませんわ。カーラはこれまで私のために頑張ってくれましたし、今度は私が二人を応援しますわ」
「ありがとう」
「と言う訳で二人で仲良くしてください!」
そう言ってキャシーはその場を離れるのだった。
これで申し訳ない気持ちが消えた訳ではないが、私たち三人の中で恋愛感情が発生してしまった以上いつかはこうなる運命だったのだろう。
願わくばキャシーもこの後いい相手を見つけるといいのだが。
もし見つかったら今度こそきちんとその相手との恋を応援しようと思うのだった。
「じゃあ今からデートに行こうか」
「ああ、分かった」
こうして私たちの付き合いは始まったのだった。
「いや、俺はカーラのことが好きなのに俺のことを好きなキャシーと二人でデートするのもどうかと思って置いてきた」
「そんな」
元は私の勘違いが原因とはいえ、さすがにそれは可哀想すぎないだろうか。
キャシーの気持ちを想像すると私は急にいたたまれなくなってきた。
「あの、私今から謝りに行ってくる!」
「そうか、なら俺もついていくよ。もしかしたらキャシーはまだその近くにいるかもしれないし」
「ありがとう」
こうして私は急遽出かける支度をすると、ブライアンとともに待ち合わせ場所にしていた広場に向かう。
さすがにブライアンが去ってから大分時間が過ぎていたせいか、広場にキャシーの姿はなかった。
しかし周囲を探し回っていると、近くのカフェの中で落ち込んでいるキャシーの姿が偶然目に入る。
「あそこにいる!」
私は指を指すとそのカフェに走っていった。
ブライアンに去っていかれて落ち込んでいたキャシーは憔悴しきった様子で紅茶を飲みながら、窓の外をぼーっと眺めている。
経緯を考えれば仕方ないと思うが、かなり落ち込んでいるようだ。
「キャシー、本当にごめん!」
「え、カーラ?」
突然現れた私とブライアンの姿を見てキャシーは驚きのあまりぎょっとしたようだった。突然こんな風に現れたら驚くのも無理はないだろう。
「ごめん、キャシー!」
そんなカーラに私はひたすら謝ることしか出来ない。
「え、何がどうなっているの!?」
そんな私にキャシーはただただ戸惑うばかりだった。
「ごめん、私は二人が付き合っていると勘違いしてたの」
「……え?」
私の言葉にキャシーは目を丸くする。
普通はキャシーが告白してブライアンに断られたのを聞かれた上に二人が両想いだと誤解されるとは思わないだろう。
「ごめん、キャシーが告白したところを聞いちゃって、それを私は二人が両想いなんだと誤解しちゃって」
「……」
しばらくの間、私の言っていることが理解出来なかったようで、キャシーは私の台詞に呆然としていた。
が、やがて彼女の中で整理がついたようで、口を開く。
「もしかしてそれでずっと私とブライアンを二人きりにしようとしてくれていたんですの?」
「うん」
「なーんだ、そういうことだったのか、道理で変だと思いましたわ」
私が頷くと、キャシーはそう言っておかしそうに笑う。
「本当にごめん」
「全くだ、俺はずっと困惑していたって言うのに」
ブライアンは口を尖らせる。
「いや、カーラが謝る必要はありませんわ。私も何かおかしいって思いながら自分がブライアンに近づくためにカーラの勘違いを利用しましたもの」
「ありがとう、そう言ってくれて」
「だからカーラに謝ってもらう必要はありませんわ。それよりも、誤解が解けてブライアンはカーラに告白したのですわね? その結果はどうなりましたの?」
「私もブライアンが好きだから付き合うことにした」
申し訳ないと思いつつも私は言う。
するとキャシーは諦めたように笑った。
「そういうことなら仕方ありませんわ。カーラはこれまで私のために頑張ってくれましたし、今度は私が二人を応援しますわ」
「ありがとう」
「と言う訳で二人で仲良くしてください!」
そう言ってキャシーはその場を離れるのだった。
これで申し訳ない気持ちが消えた訳ではないが、私たち三人の中で恋愛感情が発生してしまった以上いつかはこうなる運命だったのだろう。
願わくばキャシーもこの後いい相手を見つけるといいのだが。
もし見つかったら今度こそきちんとその相手との恋を応援しようと思うのだった。
「じゃあ今からデートに行こうか」
「ああ、分かった」
こうして私たちの付き合いは始まったのだった。
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