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Ⅱ
VSシルヴィア Ⅱ
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「細かいことを説明している暇はないが、僕は近衛騎士のアルフ。調査に来た。済まないが寮の生徒たちの避難を頼む」
アルフが早口でそう言って近衛騎士の紋章を見せると、驚いた顔ながらも寮母さんは彼を通してくれる。
いよいよだ、周囲では「ここで何が起きたの!?」「ていうかアルフは近衛騎士!?」と驚く声が聞こえてくるが今は全て無視してシルヴィアの部屋に向かう。
「行くぞ!」
アルフはドアを乱暴にけ破ると、鈍い音を立ててドアが倒れる。
「両手を挙げろ!」
アルフが剣を構えて乱入すると、中に立っていたシルヴィアは溜め息をついて両手を挙げた。
ここ最近はずっと強張った表情で過ごしていた彼女だったが、力を手に入れたせいか、こんな状況にも関わらず若干の余裕が戻っているように見える。
「ふーん、近衛騎士っていうのは随分乱暴な侵入の仕方をするのですね」
「御託はいい。お前が先ほど闇の種子を体内に入れたのは分かっている!」
アルフが怒鳴るが、シルヴィアは特に動揺の色もない。
「良かったですね、レミリア。あなたは力も戻って自分を守ってくれる人も出来て」
「何言ってるの?」
「確かにあなたの力を奪ったのは良くないことだったかもしれません。証拠はないですが。でも、今回私が闇の種子を自分で使ったのは誰にも迷惑をかけないことだからいいのではありませんか? あなたは努力して力を手に入れ、私は自分の身体を蝕むリスクを冒して力を手に入れる。そこに何か差があるのでしょうか?」
この期に及んで私たちを説得出来るとは思っていないだろうから、これはただの自分語りなのだろう。
彼女も学園内に仲の良さそうな相手はいなかったし、案外そういう機会を求めていたのかもしれない。そう思うと少しだけ可哀想に思えてくる。
「闇の種子はおそらく違法な魔術が使われている!」
「そうですね。でもそれはあくまで“おそらく”の範疇ですし、そもそも闇魔術の中には何となく“汚らわしい”というだけで違法認定されているものもあります。正直そこまで悪いこととも思えないですが」
正直シルヴィアの言っていることが全く見当外れとは思えない。もしかしたら闇の種子は合法的な方法で作られている可能性もあるし、ファイアー・ボールなどは明らかに他人に危害を加えることが出来る魔法だがそれ自体は違法ではない。
ただ、それはそれとして私はシルヴィアの行いを許すことは出来なかったし、彼女は相応の報いを受けるべきだと思っている。
「それを決めるのはあなたじゃない」
「だからといって国の言うがままにしているのがいいとも思えませんが、まあいいでしょう。これ以上言っても持たざる者のひがみにしか聞こえないでしょうし」
「そう思うなら黙ってついてきてもらおうか」
そう言ってアルフが剣を構えてじりじりと近寄っていく。
が、シルヴィアはそんなアルフに対して薄笑いを浮かべながら答える。
「別についていってもいいけど、あなたも近衛騎士の詰め所をめちゃくちゃにされたら困るんじゃないでしょうか?」
「お前、ちょっと危ない力を手に入れたからといって調子に乗るな!」
そう言ってアルフはシルヴィアに向かって斬りかかる。命を奪わないまでも多少負傷させるぐらいは厭わない。そんな勢いに見えた。
「レプリュージョン」
シルヴィアが唱えると彼女の周囲にどす黒い魔力の膜のようなものが出来上がる。そしてシルヴィアを守る半円形のドームのような形になった。
だが、それを見てもアルフは速度を落とさない。
「残念だが、この剣は魔法特効がある。そんなものが効くと思うな」
そう言ってアルフは剣を振り降ろす。が、アルフの剣が魔力の膜に触れた瞬間、まるで強風に弾き飛ばされるように彼の体は吹き飛んでいく。
直後、ドサッ、という音とともにアルフは私たちが入って来たドアに背中から激突した。
「大丈夫!?」
「ああ、僕は大丈夫だ。それより奴の魔力はすさまじい。気を付けろ」
すごい勢いでドアに叩きつけられたものの、日ごろから鍛えているアルフはすぐに立ち上がる。
シルヴィアはしばらく自分の魔力の効果を確かめるように魔力のドームを消したり出したりした。そして唐突に笑い始める。
「あはあはははははは! これこそが私が求めた力! 小さいころからあんなに頑張ってもちっとも魔力は増えなかったのに、ちっぽけな種子一個でこんな力が手に入るなんてやっぱり世の中馬鹿らしいわ! 結局真面目に努力するなんて馬鹿らしいのよ!」
そう言って狂ったように笑うシルヴィアは狂気に冒されたようだった。それは闇の種子の影響というよりは突然身に余る力を手に入れた人間の変質にも思える。
「そ、それは手を出してはいけない力だから!」
「もうそんなことどうだっていいわ。とはいえこの力を使う相手がその辺の雑魚ではなくあなただったことには感謝するわ、レミリア! くらえ、ダーク・ゲイボルグ!」
今の彼女は完全に自分に酔っている。
シルヴィアが呪文を唱えると周辺に十本ほどの闇の魔力で作られた魔力の槍が現れ、ものすごいスピードでこちらに飛んでくる。
「勝手にライバル視して勝手に力を奪っておいて、勝手に認めるなんて自分勝手すぎるんだけど! マジック・バリア!」
すぐに私は渾身の力をこめて防御魔法を発動する。すぐに私の周囲に魔力の防壁が出現し、魔力の槍の行く手を遮る。
次の瞬間、私が張った防壁に次々と闇魔力の槍がぶつかっていき、バキッ、バキッ、という鈍い轟音とともに防壁が砕かれる。
そして残った魔力の槍が私の身に迫った。
「危ない!」
その瞬間アルフが私の体を抱き寄せるようにして動かす。
次の瞬間、私が立っていた辺りに黒い槍が何本も突き刺さり、床にいくつもの穴が空いた。
それを見たシルヴィアはけたたましい笑い声をあげる。
「ははははははっ、これがいつまで避けられるかしら!?」
そう言って彼女は次から次へと魔力の槍を放ってくる。そのたびにアルフは私の体を抱えたまま室内を跳び回り、次々と攻撃を回避していく。
「ありがとうアルフ!」
「ああ、遠距離の攻撃を避けるぐらいは余裕だ」
シルヴィアの攻撃は普通ならすぐに魔力が尽きてもおかしくないような雑な魔力の使い方であったが、闇の種子のせいで一向にそんな気配はない。
アルフは私を抱えていても警戒に攻撃を避けていくが、それだけではいつか当たってしまう。
「マジック・ミサイル!」
私はアルフに抱えられて手が空いたのでその隙に攻撃魔法を放つ。
私の手元に集まった魔力が矢のような形に変化していき、次々とシルヴィアに向かって飛んでいく。
「くっ、マジック・バリア」
すぐにシルヴィアは防御魔法を発動し、今度は彼女の周囲に防壁が形成される。そこに私の魔力の矢が次々と命中したが、魔力の差があるせいか突き破ることは出来なかった。
攻撃は防がれたものの、シルヴィアに防御魔法を使わせたことでようやく攻撃が止まり、アルフは私を降ろして一息つく。
アルフが早口でそう言って近衛騎士の紋章を見せると、驚いた顔ながらも寮母さんは彼を通してくれる。
いよいよだ、周囲では「ここで何が起きたの!?」「ていうかアルフは近衛騎士!?」と驚く声が聞こえてくるが今は全て無視してシルヴィアの部屋に向かう。
「行くぞ!」
アルフはドアを乱暴にけ破ると、鈍い音を立ててドアが倒れる。
「両手を挙げろ!」
アルフが剣を構えて乱入すると、中に立っていたシルヴィアは溜め息をついて両手を挙げた。
ここ最近はずっと強張った表情で過ごしていた彼女だったが、力を手に入れたせいか、こんな状況にも関わらず若干の余裕が戻っているように見える。
「ふーん、近衛騎士っていうのは随分乱暴な侵入の仕方をするのですね」
「御託はいい。お前が先ほど闇の種子を体内に入れたのは分かっている!」
アルフが怒鳴るが、シルヴィアは特に動揺の色もない。
「良かったですね、レミリア。あなたは力も戻って自分を守ってくれる人も出来て」
「何言ってるの?」
「確かにあなたの力を奪ったのは良くないことだったかもしれません。証拠はないですが。でも、今回私が闇の種子を自分で使ったのは誰にも迷惑をかけないことだからいいのではありませんか? あなたは努力して力を手に入れ、私は自分の身体を蝕むリスクを冒して力を手に入れる。そこに何か差があるのでしょうか?」
この期に及んで私たちを説得出来るとは思っていないだろうから、これはただの自分語りなのだろう。
彼女も学園内に仲の良さそうな相手はいなかったし、案外そういう機会を求めていたのかもしれない。そう思うと少しだけ可哀想に思えてくる。
「闇の種子はおそらく違法な魔術が使われている!」
「そうですね。でもそれはあくまで“おそらく”の範疇ですし、そもそも闇魔術の中には何となく“汚らわしい”というだけで違法認定されているものもあります。正直そこまで悪いこととも思えないですが」
正直シルヴィアの言っていることが全く見当外れとは思えない。もしかしたら闇の種子は合法的な方法で作られている可能性もあるし、ファイアー・ボールなどは明らかに他人に危害を加えることが出来る魔法だがそれ自体は違法ではない。
ただ、それはそれとして私はシルヴィアの行いを許すことは出来なかったし、彼女は相応の報いを受けるべきだと思っている。
「それを決めるのはあなたじゃない」
「だからといって国の言うがままにしているのがいいとも思えませんが、まあいいでしょう。これ以上言っても持たざる者のひがみにしか聞こえないでしょうし」
「そう思うなら黙ってついてきてもらおうか」
そう言ってアルフが剣を構えてじりじりと近寄っていく。
が、シルヴィアはそんなアルフに対して薄笑いを浮かべながら答える。
「別についていってもいいけど、あなたも近衛騎士の詰め所をめちゃくちゃにされたら困るんじゃないでしょうか?」
「お前、ちょっと危ない力を手に入れたからといって調子に乗るな!」
そう言ってアルフはシルヴィアに向かって斬りかかる。命を奪わないまでも多少負傷させるぐらいは厭わない。そんな勢いに見えた。
「レプリュージョン」
シルヴィアが唱えると彼女の周囲にどす黒い魔力の膜のようなものが出来上がる。そしてシルヴィアを守る半円形のドームのような形になった。
だが、それを見てもアルフは速度を落とさない。
「残念だが、この剣は魔法特効がある。そんなものが効くと思うな」
そう言ってアルフは剣を振り降ろす。が、アルフの剣が魔力の膜に触れた瞬間、まるで強風に弾き飛ばされるように彼の体は吹き飛んでいく。
直後、ドサッ、という音とともにアルフは私たちが入って来たドアに背中から激突した。
「大丈夫!?」
「ああ、僕は大丈夫だ。それより奴の魔力はすさまじい。気を付けろ」
すごい勢いでドアに叩きつけられたものの、日ごろから鍛えているアルフはすぐに立ち上がる。
シルヴィアはしばらく自分の魔力の効果を確かめるように魔力のドームを消したり出したりした。そして唐突に笑い始める。
「あはあはははははは! これこそが私が求めた力! 小さいころからあんなに頑張ってもちっとも魔力は増えなかったのに、ちっぽけな種子一個でこんな力が手に入るなんてやっぱり世の中馬鹿らしいわ! 結局真面目に努力するなんて馬鹿らしいのよ!」
そう言って狂ったように笑うシルヴィアは狂気に冒されたようだった。それは闇の種子の影響というよりは突然身に余る力を手に入れた人間の変質にも思える。
「そ、それは手を出してはいけない力だから!」
「もうそんなことどうだっていいわ。とはいえこの力を使う相手がその辺の雑魚ではなくあなただったことには感謝するわ、レミリア! くらえ、ダーク・ゲイボルグ!」
今の彼女は完全に自分に酔っている。
シルヴィアが呪文を唱えると周辺に十本ほどの闇の魔力で作られた魔力の槍が現れ、ものすごいスピードでこちらに飛んでくる。
「勝手にライバル視して勝手に力を奪っておいて、勝手に認めるなんて自分勝手すぎるんだけど! マジック・バリア!」
すぐに私は渾身の力をこめて防御魔法を発動する。すぐに私の周囲に魔力の防壁が出現し、魔力の槍の行く手を遮る。
次の瞬間、私が張った防壁に次々と闇魔力の槍がぶつかっていき、バキッ、バキッ、という鈍い轟音とともに防壁が砕かれる。
そして残った魔力の槍が私の身に迫った。
「危ない!」
その瞬間アルフが私の体を抱き寄せるようにして動かす。
次の瞬間、私が立っていた辺りに黒い槍が何本も突き刺さり、床にいくつもの穴が空いた。
それを見たシルヴィアはけたたましい笑い声をあげる。
「ははははははっ、これがいつまで避けられるかしら!?」
そう言って彼女は次から次へと魔力の槍を放ってくる。そのたびにアルフは私の体を抱えたまま室内を跳び回り、次々と攻撃を回避していく。
「ありがとうアルフ!」
「ああ、遠距離の攻撃を避けるぐらいは余裕だ」
シルヴィアの攻撃は普通ならすぐに魔力が尽きてもおかしくないような雑な魔力の使い方であったが、闇の種子のせいで一向にそんな気配はない。
アルフは私を抱えていても警戒に攻撃を避けていくが、それだけではいつか当たってしまう。
「マジック・ミサイル!」
私はアルフに抱えられて手が空いたのでその隙に攻撃魔法を放つ。
私の手元に集まった魔力が矢のような形に変化していき、次々とシルヴィアに向かって飛んでいく。
「くっ、マジック・バリア」
すぐにシルヴィアは防御魔法を発動し、今度は彼女の周囲に防壁が形成される。そこに私の魔力の矢が次々と命中したが、魔力の差があるせいか突き破ることは出来なかった。
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