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秀才学生フィリア
錬金学者
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「その前に、まずフィリアには俺が持っている力について説明しないといけないな。まず俺自身も俺の持っている力について全て把握している訳ではないが、俺は職業を『合成』して新しい職業を生み出すことが出来る。ティアは性格には『メイドウィザード』だし、リンは『剣豪奴隷』だ」
「そうだったのね……まさか新しい職業を作り出すことが出来るなんて」
ある程度予想がついていたであろうフィリアもはっきりと聞かされて驚いている。
「しかも俺は職業を『強化』することが出来る。強化したい職業に同系統の職業を合成することで、文字通り強化することが出来る」
「道理で二人とも異様に強かったのね」
『強化』の方はフィリアは納得したようだった。
「でも『合成』や『強化』に使った職業は完全に消滅してしまうの?」
「そうだな。もしかしたら復元できる方法もあるのかもしれないが、今のところ消滅すると思っている」
「そう……仮に職業の売買が可能だとしてでもどこかで職業の数は変わらないと思っていたけどそれも嘘だったとは。ということは、この世にはすでに職業を持たない者が結構いるということね」
「……そうだな」
お金と引き換えに自分で手放した者、あの山賊のようにほぼ強制的に取り上げた者など様々だったが、彼らはどうしているだろうか。
余生を送るだけなら職業なんてなくても大丈夫だと信じたいが。
「それは分かったけど、あなた自身は何の職業なの?」
「いや、俺は職業を持っていない。いや、正確に言えば持ってはいるが、その恩恵を受けることは出来ないと言うべきか」
「え? でもそうか、売買するということは持っていることか……」
フィリアは信じられないようだったが、俺の回りで起きていることを考えると俺の言うことを信じざるを得ないという結論に辿り着くらしい。
「じゃああの強さはどこから来ているの?」
「俺も詳しくはよく分からないが、元々俺は普通の男子並みの体力しかなかった。だが、俺が持っている職業の数が増えると、俺の身体能力みたいなものも上がるようだ。もしかしたら知識系や魔法系の職業が増えればそっちの能力も上がるかもしれないが、それはまだよく分からない」
「そんなことがあるなんて……あなたはこの世の人間とは全く違う原理で成立しているわ!」
フィリアは化物でも見るような目でこちらを見る。
とはいえ、この世の人間とは全く違う、という言葉は真理なので何も言い返せない。
「職業を受け渡すだけでなく合成したり強化したり、自分も強くなるなんて……まるで神のようだわ」
「神、か……」
俺自身は自分のことを神だとは全く思わないが、力自体は神に通ずるものもあると思っている。今はレベルも低いが、もし今後レベルが上がっていけばどうなるだろうか?
「まあそれについてはおいおい考えよう。それでフィリアの職業だが、『学生』はどうも合成先の職業を強化する効果があるらしい。そこで『学生』と『錬金術師』を合成しようと思う」
「なるほど、確かに相性は良さそうね」
「ああ、『錬金学者』という職業になるらしい。おそらく『錬金術師』の上位職だろう。行くぞ」
「ええ」
フィリアが頷くと、俺は彼女に錬金術師の職業を渡す。
“「学生」と「錬金術師」を合成しますか?”
俺は頷く。
“「学生」と「錬金術師」を合成し、「錬金学者」に変化しました”
“あなたのレベルが10に上がりました”
「本当だ……」
フィリアも職業の変化を実感したのか、驚きの声をあげる。
「どうだ?」
「そうね、おそらく錬金術系の魔法が得意になったわ。それに、今まで使えなかったような錬金術の魔法も使えるようになったかも。すごい、こんな一瞬でここまで変わるなんて……」
話に聞くのと実際に自分の身に変化が訪れるのではやはり違うのだろう、フィリアはひたすら驚いている。
ついでに俺のレベルも上がっているのは最近職業交換を何回もしたからだろう。
「ただ、『錬金術師』も『学生』も珍しい職業だからなかなか強化は出来ない」
「ううん。強くなりたかったらそれは自分で知識を増やせばいいだけだわ。でもそれで強くなるにしても元の職業が強ければ全然違うわ」
「よし、最近手に入れた職業でリンとティアの強化も行おう」
「はい!」
まずはリンに最近手に入れた「剣士」2つと「戦士」「槍使い」を合成する。
“「剣豪奴隷(+52)」は「剣豪奴隷(+112)に強化されました”
「すごい、一気に強くなりました!」
リンは喜ぶが、+112でも次の職業に進化はしないのか。
まあ、俺のレベルが上がったおかげで、そこまで珍しくない職業4つでここまで強化値を上げられているだけで儲けものではあるのだが。
最後にティアの強化を行う。
手に入れた「メイド」は3つ。これもティア自身が街で宣伝した成果でもある。
“「メイドウィザード(+13)はメイドウィザード(+61)に強化されました”
「やはりメイドだけだとこんなものか」
「ありがとうございます! 随分強くなった気がします!」
恐らく魔術師としての能力はそこまで上がっていないのだが、メイドの能力が上がり、主人のために行う行動全般に対する補正が上がっているので、魔力なども上がっているのだろう。
ティアも上がり幅を実感したのか嬉しそうにしている。
「人数も増えてこれだけ強化した以上、十五層ぐらいまでは行けるかもしれないな。また明日から頑張ろう」
「はい」
こうして俺たちの戦力はいっそう強化されたのだった。
「そうだったのね……まさか新しい職業を作り出すことが出来るなんて」
ある程度予想がついていたであろうフィリアもはっきりと聞かされて驚いている。
「しかも俺は職業を『強化』することが出来る。強化したい職業に同系統の職業を合成することで、文字通り強化することが出来る」
「道理で二人とも異様に強かったのね」
『強化』の方はフィリアは納得したようだった。
「でも『合成』や『強化』に使った職業は完全に消滅してしまうの?」
「そうだな。もしかしたら復元できる方法もあるのかもしれないが、今のところ消滅すると思っている」
「そう……仮に職業の売買が可能だとしてでもどこかで職業の数は変わらないと思っていたけどそれも嘘だったとは。ということは、この世にはすでに職業を持たない者が結構いるということね」
「……そうだな」
お金と引き換えに自分で手放した者、あの山賊のようにほぼ強制的に取り上げた者など様々だったが、彼らはどうしているだろうか。
余生を送るだけなら職業なんてなくても大丈夫だと信じたいが。
「それは分かったけど、あなた自身は何の職業なの?」
「いや、俺は職業を持っていない。いや、正確に言えば持ってはいるが、その恩恵を受けることは出来ないと言うべきか」
「え? でもそうか、売買するということは持っていることか……」
フィリアは信じられないようだったが、俺の回りで起きていることを考えると俺の言うことを信じざるを得ないという結論に辿り着くらしい。
「じゃああの強さはどこから来ているの?」
「俺も詳しくはよく分からないが、元々俺は普通の男子並みの体力しかなかった。だが、俺が持っている職業の数が増えると、俺の身体能力みたいなものも上がるようだ。もしかしたら知識系や魔法系の職業が増えればそっちの能力も上がるかもしれないが、それはまだよく分からない」
「そんなことがあるなんて……あなたはこの世の人間とは全く違う原理で成立しているわ!」
フィリアは化物でも見るような目でこちらを見る。
とはいえ、この世の人間とは全く違う、という言葉は真理なので何も言い返せない。
「職業を受け渡すだけでなく合成したり強化したり、自分も強くなるなんて……まるで神のようだわ」
「神、か……」
俺自身は自分のことを神だとは全く思わないが、力自体は神に通ずるものもあると思っている。今はレベルも低いが、もし今後レベルが上がっていけばどうなるだろうか?
「まあそれについてはおいおい考えよう。それでフィリアの職業だが、『学生』はどうも合成先の職業を強化する効果があるらしい。そこで『学生』と『錬金術師』を合成しようと思う」
「なるほど、確かに相性は良さそうね」
「ああ、『錬金学者』という職業になるらしい。おそらく『錬金術師』の上位職だろう。行くぞ」
「ええ」
フィリアが頷くと、俺は彼女に錬金術師の職業を渡す。
“「学生」と「錬金術師」を合成しますか?”
俺は頷く。
“「学生」と「錬金術師」を合成し、「錬金学者」に変化しました”
“あなたのレベルが10に上がりました”
「本当だ……」
フィリアも職業の変化を実感したのか、驚きの声をあげる。
「どうだ?」
「そうね、おそらく錬金術系の魔法が得意になったわ。それに、今まで使えなかったような錬金術の魔法も使えるようになったかも。すごい、こんな一瞬でここまで変わるなんて……」
話に聞くのと実際に自分の身に変化が訪れるのではやはり違うのだろう、フィリアはひたすら驚いている。
ついでに俺のレベルも上がっているのは最近職業交換を何回もしたからだろう。
「ただ、『錬金術師』も『学生』も珍しい職業だからなかなか強化は出来ない」
「ううん。強くなりたかったらそれは自分で知識を増やせばいいだけだわ。でもそれで強くなるにしても元の職業が強ければ全然違うわ」
「よし、最近手に入れた職業でリンとティアの強化も行おう」
「はい!」
まずはリンに最近手に入れた「剣士」2つと「戦士」「槍使い」を合成する。
“「剣豪奴隷(+52)」は「剣豪奴隷(+112)に強化されました”
「すごい、一気に強くなりました!」
リンは喜ぶが、+112でも次の職業に進化はしないのか。
まあ、俺のレベルが上がったおかげで、そこまで珍しくない職業4つでここまで強化値を上げられているだけで儲けものではあるのだが。
最後にティアの強化を行う。
手に入れた「メイド」は3つ。これもティア自身が街で宣伝した成果でもある。
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「ありがとうございます! 随分強くなった気がします!」
恐らく魔術師としての能力はそこまで上がっていないのだが、メイドの能力が上がり、主人のために行う行動全般に対する補正が上がっているので、魔力なども上がっているのだろう。
ティアも上がり幅を実感したのか嬉しそうにしている。
「人数も増えてこれだけ強化した以上、十五層ぐらいまでは行けるかもしれないな。また明日から頑張ろう」
「はい」
こうして俺たちの戦力はいっそう強化されたのだった。
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