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秀才学生フィリア
フィリアとの連携
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その後俺たちは例のトロールを追うように七層へと降りた。
基本的にダンジョンの魔物は一定時間経つとダンジョン内に充満している魔力によって復活するため、トロールが魔物を全て倒しても少し待てば復活する。
だから到達階層を稼ぐだけならば強い冒険者の後をぴったりとつけていけば簡単にできるのだが……そんなことをしてもあまり意味がない。
七層にいたのは、肉体を持たないゴーストと呼ばれる魔物たちだった。
ゴーストはアンデッドの一種で、死者の持つ魔力が強い怨念などを媒介に変異して生まれた魔物である。
魔力が不定形に淡く輝いており、泣き声や笑い声をあげて俺たちの方に近づいてくる。
「そうやって馬鹿にして!!」
リンはすぐに剣を抜いて斬りかかるが、ゴーストの魔力の体をリンの剣はすっと通り過ぎていく。
「えっ、嘘……」
これまでどんな相手でも剣が命中すれば少なくともダメージを与えることは出来たため、未知の経験にリンは戦慄する。
「マジック・ウェポン」
そこへすかさずフィリアが強化魔法をかける。
「これでゴーストにも攻撃は当たるはずだわ。ティアさんは防御をお願い!」
「は、はい」
ゴーストたちが笑い声をあげると、何らかの魔法なのか、気分が悪くなってくる。
「プロテクション!」
ティアが防御魔法を唱えるとすぐに相手の魔法は遮断され、やがて気分が悪いのも治った。
すかさずリンが再びゴーストたちに斬りかかる。
「えいっ」
リンの剣がゴーストを切りさくと、今度は強化魔法がかかっていたおかげか、魔力で出来たゴーストの体も真っ二つに切断される。
ゴーストは甲高い悲鳴を上げると、そのまま消滅していった。
「よくも弄んでくれたわね?」
リンはゴーストたちに翻弄されて悔しかったのだろう、縦横無尽に剣を振り回し、あっという間に周囲のゴーストたちを消滅させていく。
「ありがとう、フィリアさん」
ゴースト退治が終わるとリンはフィリアにお礼を言う。
「いえ、ゴーストは魔力により強化した武器であればダメージを与えることが出来ると知っていただけなので。それに私ではなくてもティアさんの魔法で同じことが出来たと思うわ」
「そ、そうだったのですね」
ティアは少しだけ申し訳なさそうに言うが、冒険者経験の浅いティアがそこに気づけないのは普通のことだ。そもそも俺だって気づけなかった訳だし。
「今回は相手がそんなに強くなくて良かったですが、もっと強ければ一瞬の隙が命取りになっていたかもしれません」
ティアは感心の目でフィリアを見る。
俺たちは戦力はあっても、ダンジョンを攻略するのであれば魔物の知識も必要だ。やはりフィリアはパーティーに欲しい、と思ってしまう。
ゴーストは種が割れてしまえば大したことない相手であり、強化されたリンの剣で次々と倒していく。
強いて懸念を挙げるとすれば、先手必勝で倒してしまったために敵がどんな攻撃をしてくるのかはよく分からないままだったということだろうか。
一回目の敵から考えるに、精神攻撃のようなものだとは思うのだが。
そして俺たちは速やかにボスの部屋に到着した。
中に入ると、奥の方には俺たちが倒してきたようなゴーストの一回り大きいやつがいる。しかしその前には先ほどの階層にいたような、スケルトンの大きいやつらが数体いた。
魔力で強化された武器には無力なゴーストを、スケルトンで護衛するという布陣なのだろう。
こうして目の前に現れると厄介だ。
「ティアは俺への強化と防御を頼む。俺がスケルトンを倒すから、フィリアはリンをサポートしてくれ。そしてリンは奥のゴーストを倒してくれ」
「はい!」
リンはどちらかというと威力よりも速度が持ち味だから防御力が高いスケルトンたちよりも、それらをかいくぐってゴーストに一太刀浴びせる方が向いているだろう。
「マジック・ウェポン」
「エンチャント」
すぐにティアとフィリアから俺たちに強化がかかる。
すると奥にいるゴーストが奇声をあげる。
大広間ぐらいの広さがある部屋なのに、室内はあっという間にゴーストの奇声で満たされた。
それと同時に猛烈に頭が痛くなってくる。
「マインド・ヒール」
が、すぐにティアの魔法で頭痛はとれる。
俺はすぐに目の前の骨の塊に斬りかかる。
ティアの強化魔法がかかっていることもあって、巨大な骨の塊もバキバキと音を立てて斬れていく。
そんな俺の奮戦を見て他のスケルトンたちは続々と俺を倒そうと集まってくる。
それを見てリンはスケルトンたちの間を駆け抜け、奥にいるゴーストに迫っていく。
それを見てゴーストは魔法を使おうとしているのだろう、周囲に魔力が充満していく。
「ゴーストの攻撃が来るわ」
「はい、プロテクション!」
フィリアの言葉でティアが防御魔法を発動する。
その直後、ゴーストが再び奇声を発したが、ティアの防御魔法に阻まれて俺たちへの影響はなかった。
「今だっ!」
そこへ風のようにリンが斬りかかる。
ゴーストは攻撃を避けようとするが、リンに素早さで勝てる訳がなく、すぐに一刀両断にされた。
ボスのゴーストが消滅するとスケルトンたちもぼろぼろとその場に崩れ落ち、俺たちは無事勝利した。
「よし、調子も上がって来たし次の階層へ行くぞ」
「はいっ!」
こうしてその日は結局第九層まで踏破したのだった。
基本的にダンジョンの魔物は一定時間経つとダンジョン内に充満している魔力によって復活するため、トロールが魔物を全て倒しても少し待てば復活する。
だから到達階層を稼ぐだけならば強い冒険者の後をぴったりとつけていけば簡単にできるのだが……そんなことをしてもあまり意味がない。
七層にいたのは、肉体を持たないゴーストと呼ばれる魔物たちだった。
ゴーストはアンデッドの一種で、死者の持つ魔力が強い怨念などを媒介に変異して生まれた魔物である。
魔力が不定形に淡く輝いており、泣き声や笑い声をあげて俺たちの方に近づいてくる。
「そうやって馬鹿にして!!」
リンはすぐに剣を抜いて斬りかかるが、ゴーストの魔力の体をリンの剣はすっと通り過ぎていく。
「えっ、嘘……」
これまでどんな相手でも剣が命中すれば少なくともダメージを与えることは出来たため、未知の経験にリンは戦慄する。
「マジック・ウェポン」
そこへすかさずフィリアが強化魔法をかける。
「これでゴーストにも攻撃は当たるはずだわ。ティアさんは防御をお願い!」
「は、はい」
ゴーストたちが笑い声をあげると、何らかの魔法なのか、気分が悪くなってくる。
「プロテクション!」
ティアが防御魔法を唱えるとすぐに相手の魔法は遮断され、やがて気分が悪いのも治った。
すかさずリンが再びゴーストたちに斬りかかる。
「えいっ」
リンの剣がゴーストを切りさくと、今度は強化魔法がかかっていたおかげか、魔力で出来たゴーストの体も真っ二つに切断される。
ゴーストは甲高い悲鳴を上げると、そのまま消滅していった。
「よくも弄んでくれたわね?」
リンはゴーストたちに翻弄されて悔しかったのだろう、縦横無尽に剣を振り回し、あっという間に周囲のゴーストたちを消滅させていく。
「ありがとう、フィリアさん」
ゴースト退治が終わるとリンはフィリアにお礼を言う。
「いえ、ゴーストは魔力により強化した武器であればダメージを与えることが出来ると知っていただけなので。それに私ではなくてもティアさんの魔法で同じことが出来たと思うわ」
「そ、そうだったのですね」
ティアは少しだけ申し訳なさそうに言うが、冒険者経験の浅いティアがそこに気づけないのは普通のことだ。そもそも俺だって気づけなかった訳だし。
「今回は相手がそんなに強くなくて良かったですが、もっと強ければ一瞬の隙が命取りになっていたかもしれません」
ティアは感心の目でフィリアを見る。
俺たちは戦力はあっても、ダンジョンを攻略するのであれば魔物の知識も必要だ。やはりフィリアはパーティーに欲しい、と思ってしまう。
ゴーストは種が割れてしまえば大したことない相手であり、強化されたリンの剣で次々と倒していく。
強いて懸念を挙げるとすれば、先手必勝で倒してしまったために敵がどんな攻撃をしてくるのかはよく分からないままだったということだろうか。
一回目の敵から考えるに、精神攻撃のようなものだとは思うのだが。
そして俺たちは速やかにボスの部屋に到着した。
中に入ると、奥の方には俺たちが倒してきたようなゴーストの一回り大きいやつがいる。しかしその前には先ほどの階層にいたような、スケルトンの大きいやつらが数体いた。
魔力で強化された武器には無力なゴーストを、スケルトンで護衛するという布陣なのだろう。
こうして目の前に現れると厄介だ。
「ティアは俺への強化と防御を頼む。俺がスケルトンを倒すから、フィリアはリンをサポートしてくれ。そしてリンは奥のゴーストを倒してくれ」
「はい!」
リンはどちらかというと威力よりも速度が持ち味だから防御力が高いスケルトンたちよりも、それらをかいくぐってゴーストに一太刀浴びせる方が向いているだろう。
「マジック・ウェポン」
「エンチャント」
すぐにティアとフィリアから俺たちに強化がかかる。
すると奥にいるゴーストが奇声をあげる。
大広間ぐらいの広さがある部屋なのに、室内はあっという間にゴーストの奇声で満たされた。
それと同時に猛烈に頭が痛くなってくる。
「マインド・ヒール」
が、すぐにティアの魔法で頭痛はとれる。
俺はすぐに目の前の骨の塊に斬りかかる。
ティアの強化魔法がかかっていることもあって、巨大な骨の塊もバキバキと音を立てて斬れていく。
そんな俺の奮戦を見て他のスケルトンたちは続々と俺を倒そうと集まってくる。
それを見てリンはスケルトンたちの間を駆け抜け、奥にいるゴーストに迫っていく。
それを見てゴーストは魔法を使おうとしているのだろう、周囲に魔力が充満していく。
「ゴーストの攻撃が来るわ」
「はい、プロテクション!」
フィリアの言葉でティアが防御魔法を発動する。
その直後、ゴーストが再び奇声を発したが、ティアの防御魔法に阻まれて俺たちへの影響はなかった。
「今だっ!」
そこへ風のようにリンが斬りかかる。
ゴーストは攻撃を避けようとするが、リンに素早さで勝てる訳がなく、すぐに一刀両断にされた。
ボスのゴーストが消滅するとスケルトンたちもぼろぼろとその場に崩れ落ち、俺たちは無事勝利した。
「よし、調子も上がって来たし次の階層へ行くぞ」
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