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双子
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「お姉様、私は今日所用がありますので手習いの交代お願いしますわ」
「ええ、でも最近そればかりでは」
「どうしても外せない用事なのです」
言葉だけ見れば丁寧なお願い、しかしその声色はどちらかというと上から有無を言わせぬような雰囲気だった。
そんな頼み事を私にしてきているのは私シェリーと瓜二つの容姿を持つ双子の妹レーナ。中堅貴族のアーノルド子爵家の姉妹で、今年で十四になる。
きれいな金色の髪に透き通るような碧色の瞳。やや細身で長身、スタイルも悪くはない。いつだって彼女と話しているとまるで鏡を見ているのかと錯覚してしまうぐらいだ。
最初に入れ替わりを始めたのは小さい子特有のほんのいたずら心だったと思う。
が、適当なところで種明かしをするはずが全然バレないまま入れ替わりが終わったので、私たちの入れ替わりは次第にエスカレートしていった。
私たちが本気で入れ替わろうと思って性格や話し方を真似すれば、両親や親しいメイドの目も欺くことが出来た。
しかし私たちの容姿は瓜二つでも性格だけは真逆に成長していった。
私はどちらかというと気が弱くてあまり他人の頼みを断れない性格なのに対してシェリーは活発で自分が思ったことをどんどん口にし、相手に対しての押しも強かった。
そのためこの入れ替わりはだんだんシェリーが嫌なことを私に押し付けるために使われるようになっていった。
「じゃあお願いしますね、お姉様」
「し、シェリー!?」
が、私が呼び止めるのも聞かずに彼女は部屋を出ていってしまう。
それを見て私はため息をついた。
今日は彼女は学問の手習いがある。しかし勉強が嫌いな彼女は(私も嫌いだけど)それを私に押し付けて家を出ていってしまった。
このまま私がシェリーの頼みを断れば、さぼったのはシェリーということになってシェリーが怒られることだろう。
しかしこうして出ていってしまえば私が彼女の頼みを断れないということをシェリーはよく知っていた。
最初はシェリーも大きくなればだんだんそういうわがままも言わなくなってくるだろう、と思ったが成長するにつれてシェリーは私に対しては何をしても言うことを聞いてくれるということを理解したのか、要求はどんどんエスカレートしていくのだった。
「はあ」
私はもう一度だけ溜め息をつくと、シェリーの代わりに勉強を教わる準備をするのだった。
「ええ、でも最近そればかりでは」
「どうしても外せない用事なのです」
言葉だけ見れば丁寧なお願い、しかしその声色はどちらかというと上から有無を言わせぬような雰囲気だった。
そんな頼み事を私にしてきているのは私シェリーと瓜二つの容姿を持つ双子の妹レーナ。中堅貴族のアーノルド子爵家の姉妹で、今年で十四になる。
きれいな金色の髪に透き通るような碧色の瞳。やや細身で長身、スタイルも悪くはない。いつだって彼女と話しているとまるで鏡を見ているのかと錯覚してしまうぐらいだ。
最初に入れ替わりを始めたのは小さい子特有のほんのいたずら心だったと思う。
が、適当なところで種明かしをするはずが全然バレないまま入れ替わりが終わったので、私たちの入れ替わりは次第にエスカレートしていった。
私たちが本気で入れ替わろうと思って性格や話し方を真似すれば、両親や親しいメイドの目も欺くことが出来た。
しかし私たちの容姿は瓜二つでも性格だけは真逆に成長していった。
私はどちらかというと気が弱くてあまり他人の頼みを断れない性格なのに対してシェリーは活発で自分が思ったことをどんどん口にし、相手に対しての押しも強かった。
そのためこの入れ替わりはだんだんシェリーが嫌なことを私に押し付けるために使われるようになっていった。
「じゃあお願いしますね、お姉様」
「し、シェリー!?」
が、私が呼び止めるのも聞かずに彼女は部屋を出ていってしまう。
それを見て私はため息をついた。
今日は彼女は学問の手習いがある。しかし勉強が嫌いな彼女は(私も嫌いだけど)それを私に押し付けて家を出ていってしまった。
このまま私がシェリーの頼みを断れば、さぼったのはシェリーということになってシェリーが怒られることだろう。
しかしこうして出ていってしまえば私が彼女の頼みを断れないということをシェリーはよく知っていた。
最初はシェリーも大きくなればだんだんそういうわがままも言わなくなってくるだろう、と思ったが成長するにつれてシェリーは私に対しては何をしても言うことを聞いてくれるということを理解したのか、要求はどんどんエスカレートしていくのだった。
「はあ」
私はもう一度だけ溜め息をつくと、シェリーの代わりに勉強を教わる準備をするのだった。
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