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やりたい放題のベン
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「本当に来て良かったのでしょうか?」
「ああ、今は父上が出かけているし、アンナは部屋から出てこないから何に気を遣うこともないよ」
それから僕はついにクラリスを自分の屋敷に招いた。
これまでいつも向こうの屋敷に向かうばかりで一度も招くことが出来なかったから正直なところ待ち望んでいたのだ。
それが、こうも早く実現できるとは思えなかった。
僕は家にいるメイドたちを総動員してクラリスをもてなす用意をさせる。そのため、早速目の前には高級な紅茶と珍しい菓子が並んでいた。
「わあ、すごい」
「そうだろう、君のために用意してもらったんだ」
目を丸くするクラリスを見て僕は満足する。
ようやく僕の男気というか甲斐性のようなものを見せることが出来た。屋敷の中でも、アンナを押し込めてからは皆僕の言うことを聞くようになっている気がする。
最初はクラリスがやってくると聞いたときには不満そうな顔をしている者もいたが、僕が断固とした態度で命令を出すとすぐに言うことを聞いた。
「でも大丈夫ですか? お父上がおらず、一人で留守番だなんて」
お菓子を食べながらクラリスが不満そうに尋ねる。
「ああ、大丈夫だ。そうじゃなかったらこんなもてなしだって出来てなかっただろ?」
「それは確かに」
僕の言葉にクラリスも納得する。
「それに、これまでいつも父上がいたから僕はあれこれ指図されていたが、案外一人でやった方が出来ることもあるんだ」
「わあ、すごいですね」
そんな僕にクラリスは無邪気に尊敬のまなざしを向けてくれる。
それを見て僕は何とも言えない気持ちよさに包まれる。もういっそのこと父上は賊を討伐した後もしばらく領地に残っていてくれないだろうか。
そんなことを考えつつ僕はクラリスと楽しくおしゃべりをする。
そして時折あらかじめ用意させておいた珍しい玩具や装飾品などを見せた。それらに対してクラリスはいちいち驚いたり喜んだりしてくれる。
前にアンナに披露したら「でもそれ高くなかったですか?」などといらないことを言って水を差してきたのとは大違いだ。
そんなことをして僕が気分よくなってきたころだった。
不意にバタバタという足音とともに一人の家臣が乱暴にドアを開ける。
「何だ、今取り込み中だ!」
「大変です! どうも我が家の者が王宮で盗みを働いたらしく、引き渡すよう要求がきているようですが、いかがしましょう」
そう言って彼は一人の使用人の名前を挙げる。
きっと大したことない者なのだろう、僕はその名前を聞いたこともなかった。
「一体何をしたんだ?」
「どうも王族しか入っていけない花壇に入り、高級な花を数本摘んで売り払ったとか」
「はあ。まあそういうことは調べれば分かるだろう。とりあえず兵士を追い返して取り調べをしておけ」
「しかし今は公爵閣下が家臣を連れていかれたため人手が少なく……あの、土産物を探しに行っている方を呼び戻しましょうか?」
クラリスは今日うちに一泊する予定だったが、明日手ぶらで帰すのは僕の男がすたる。そのため何か素晴らしい土産物を用意せよと数名の家臣を派遣していたが、それを呼び戻すのは本末転倒だ。
そんなことも分からないのだろうか。
「何を言っているんだ。明日帰ってきた後からで十分だろう」
「はあ。でも兵士は随分怒っているようですが、それで大丈夫ですかね?」
家臣が不安そうな顔をするので僕はイラっとする。
「大丈夫ですかね、じゃない。そこを納得させて追い返すのがお前の仕事だろうが!」
「す、すみません」
そう言って家臣は逃げるように部屋を出ていく。
それを見て僕はため息をついた。
「すまないクラリス、見苦しいところを見せてしまって」
「いえ、でも本当に大丈夫なのでしょうか?」
「ああ。僕は自分の家の者の罪が確定もしていないのに引き渡すようなことはしたくないからね」
「まあ、格好いいですね」
そんなクラリスの反応に僕は満足する。
そう言われたなら先ほどの事件も悪くなかったな、などと思うのだった。
「ああ、今は父上が出かけているし、アンナは部屋から出てこないから何に気を遣うこともないよ」
それから僕はついにクラリスを自分の屋敷に招いた。
これまでいつも向こうの屋敷に向かうばかりで一度も招くことが出来なかったから正直なところ待ち望んでいたのだ。
それが、こうも早く実現できるとは思えなかった。
僕は家にいるメイドたちを総動員してクラリスをもてなす用意をさせる。そのため、早速目の前には高級な紅茶と珍しい菓子が並んでいた。
「わあ、すごい」
「そうだろう、君のために用意してもらったんだ」
目を丸くするクラリスを見て僕は満足する。
ようやく僕の男気というか甲斐性のようなものを見せることが出来た。屋敷の中でも、アンナを押し込めてからは皆僕の言うことを聞くようになっている気がする。
最初はクラリスがやってくると聞いたときには不満そうな顔をしている者もいたが、僕が断固とした態度で命令を出すとすぐに言うことを聞いた。
「でも大丈夫ですか? お父上がおらず、一人で留守番だなんて」
お菓子を食べながらクラリスが不満そうに尋ねる。
「ああ、大丈夫だ。そうじゃなかったらこんなもてなしだって出来てなかっただろ?」
「それは確かに」
僕の言葉にクラリスも納得する。
「それに、これまでいつも父上がいたから僕はあれこれ指図されていたが、案外一人でやった方が出来ることもあるんだ」
「わあ、すごいですね」
そんな僕にクラリスは無邪気に尊敬のまなざしを向けてくれる。
それを見て僕は何とも言えない気持ちよさに包まれる。もういっそのこと父上は賊を討伐した後もしばらく領地に残っていてくれないだろうか。
そんなことを考えつつ僕はクラリスと楽しくおしゃべりをする。
そして時折あらかじめ用意させておいた珍しい玩具や装飾品などを見せた。それらに対してクラリスはいちいち驚いたり喜んだりしてくれる。
前にアンナに披露したら「でもそれ高くなかったですか?」などといらないことを言って水を差してきたのとは大違いだ。
そんなことをして僕が気分よくなってきたころだった。
不意にバタバタという足音とともに一人の家臣が乱暴にドアを開ける。
「何だ、今取り込み中だ!」
「大変です! どうも我が家の者が王宮で盗みを働いたらしく、引き渡すよう要求がきているようですが、いかがしましょう」
そう言って彼は一人の使用人の名前を挙げる。
きっと大したことない者なのだろう、僕はその名前を聞いたこともなかった。
「一体何をしたんだ?」
「どうも王族しか入っていけない花壇に入り、高級な花を数本摘んで売り払ったとか」
「はあ。まあそういうことは調べれば分かるだろう。とりあえず兵士を追い返して取り調べをしておけ」
「しかし今は公爵閣下が家臣を連れていかれたため人手が少なく……あの、土産物を探しに行っている方を呼び戻しましょうか?」
クラリスは今日うちに一泊する予定だったが、明日手ぶらで帰すのは僕の男がすたる。そのため何か素晴らしい土産物を用意せよと数名の家臣を派遣していたが、それを呼び戻すのは本末転倒だ。
そんなことも分からないのだろうか。
「何を言っているんだ。明日帰ってきた後からで十分だろう」
「はあ。でも兵士は随分怒っているようですが、それで大丈夫ですかね?」
家臣が不安そうな顔をするので僕はイラっとする。
「大丈夫ですかね、じゃない。そこを納得させて追い返すのがお前の仕事だろうが!」
「す、すみません」
そう言って家臣は逃げるように部屋を出ていく。
それを見て僕はため息をついた。
「すまないクラリス、見苦しいところを見せてしまって」
「いえ、でも本当に大丈夫なのでしょうか?」
「ああ。僕は自分の家の者の罪が確定もしていないのに引き渡すようなことはしたくないからね」
「まあ、格好いいですね」
そんなクラリスの反応に僕は満足する。
そう言われたなら先ほどの事件も悪くなかったな、などと思うのだった。
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