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突然の来訪
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それから私は二日の間、たった一人で離れでの日々を送っていました。
建物の外に出るなというのがどれくらいの意味なのかはよく分かりませんが、屋敷の庭をうろうろしているところを見つかればベンの性格上、突然ブチ切れてくるでしょう。それを考えると本当にすることがないので、必然的に私は屋内で本を読むばかりの日々を送るようになりました。
これまでは本を読む時は何かを学ぼうとか覚えようというような目的のある読書ばかりだったので、こうして興味の赴くままにページをめくるというのは、楽しく意外と時間は早く過ぎていくのを感じます。
朝昼晩と食事を持ってきてくれるメイドも私とは話さないよう言われているので本当に誰とも話さない日々が続きます。
そんなある日、遠目に見て屋敷の方が少し騒がしいのを感じます。もっとも、騒がしいとはいっても事件があったというよりはいつもより少しせわしないという程度ですが。来客でもあったのでしょうか。いつもなら来客があればもてなしの準備をしなければいけないのですが、今はそれもしなくていいのです。
それからしばらくして、離れのドアがノックされます。先ほど昼食の時間が過ぎたばかりなので、食事ではなさそうです。
「一体どなたでしょう?」
普段なら屋敷に来客があっても自分で玄関まで出迎えるということはあまりないので新鮮な気分です。
そんなことを思いつつ、ドアを開けると。
そこに立っていた人物を見て私は肝を冷やしました。
何とそこには先日街中で出会ったデニスが立っていたのです。
「やあ、ベンは謹慎させてやったと息巻いているが、思いのほか元気そうだね」
「で、デニスさん……なぜここに……」
私がよほど驚いた顔をしたのか、デニスは苦笑いします。
「なぜと言われればベンの奴が『あいつなら離れに押し込めてやった』とまるで大手柄かのように言って来たからどうしているのかと思ってね。酷い事をされてなければいいと思ったが、そこまでの度胸もなかったか」
「ありがとうございます。そうですね、ずっと放置されている以外は特に何も。……しかしそもそもなぜこの屋敷に?」
そもそも我が家とデニスのカーソン家は特に親交はありません。だからこそ先日の件でベンはデニスの仲裁を「知らない奴が勝手に」と怒ったのでしょう。
が、それを尋ねてから私が玄関先で立ち話してしまっていることに気づきます。
「……あ、すみませんこんなところで。中へどうぞ」
「はは、それならお邪魔しようかな」
「すみません、色々気になってしまって、つい」
「それはそうだろうね。もっとも、僕も自分が変に首を突っ込んだせいで事態が思わぬ方向にこじれて驚いているけど」
「すみません……」
大方、ベンがデニスに何か失礼な、もしくは恩知らずなことを言ったのでしょう。
そう思うと穴があったら入りたい気持ちになります。
そんなことを思いつつ私は応接室のようなところにデニスを通し、キッチンからポットを引っ張り出してお茶を淹れるのでした。
建物の外に出るなというのがどれくらいの意味なのかはよく分かりませんが、屋敷の庭をうろうろしているところを見つかればベンの性格上、突然ブチ切れてくるでしょう。それを考えると本当にすることがないので、必然的に私は屋内で本を読むばかりの日々を送るようになりました。
これまでは本を読む時は何かを学ぼうとか覚えようというような目的のある読書ばかりだったので、こうして興味の赴くままにページをめくるというのは、楽しく意外と時間は早く過ぎていくのを感じます。
朝昼晩と食事を持ってきてくれるメイドも私とは話さないよう言われているので本当に誰とも話さない日々が続きます。
そんなある日、遠目に見て屋敷の方が少し騒がしいのを感じます。もっとも、騒がしいとはいっても事件があったというよりはいつもより少しせわしないという程度ですが。来客でもあったのでしょうか。いつもなら来客があればもてなしの準備をしなければいけないのですが、今はそれもしなくていいのです。
それからしばらくして、離れのドアがノックされます。先ほど昼食の時間が過ぎたばかりなので、食事ではなさそうです。
「一体どなたでしょう?」
普段なら屋敷に来客があっても自分で玄関まで出迎えるということはあまりないので新鮮な気分です。
そんなことを思いつつ、ドアを開けると。
そこに立っていた人物を見て私は肝を冷やしました。
何とそこには先日街中で出会ったデニスが立っていたのです。
「やあ、ベンは謹慎させてやったと息巻いているが、思いのほか元気そうだね」
「で、デニスさん……なぜここに……」
私がよほど驚いた顔をしたのか、デニスは苦笑いします。
「なぜと言われればベンの奴が『あいつなら離れに押し込めてやった』とまるで大手柄かのように言って来たからどうしているのかと思ってね。酷い事をされてなければいいと思ったが、そこまでの度胸もなかったか」
「ありがとうございます。そうですね、ずっと放置されている以外は特に何も。……しかしそもそもなぜこの屋敷に?」
そもそも我が家とデニスのカーソン家は特に親交はありません。だからこそ先日の件でベンはデニスの仲裁を「知らない奴が勝手に」と怒ったのでしょう。
が、それを尋ねてから私が玄関先で立ち話してしまっていることに気づきます。
「……あ、すみませんこんなところで。中へどうぞ」
「はは、それならお邪魔しようかな」
「すみません、色々気になってしまって、つい」
「それはそうだろうね。もっとも、僕も自分が変に首を突っ込んだせいで事態が思わぬ方向にこじれて驚いているけど」
「すみません……」
大方、ベンがデニスに何か失礼な、もしくは恩知らずなことを言ったのでしょう。
そう思うと穴があったら入りたい気持ちになります。
そんなことを思いつつ私は応接室のようなところにデニスを通し、キッチンからポットを引っ張り出してお茶を淹れるのでした。
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