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「298話」
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ちらりと後ろを振り向くとクロと目があった。
クロはまだ扉の外に居る。前回俺が盛大に燃え上がったもんで、ちょっと警戒しているようなのだ。
クロは俺が実際に足を着いても燃え上がったり、足がへばりついてないのをみて一歩足を踏み入れる。
そして何度かタシタシと固まった溶岩を叩き、納得したのか「にゃ」と小さくないた。
「それじゃクロは出来るだけ走り回ってね。俺は本体ぶっ叩きにいくから」
ゲートキーパーだけじゃなく、フィールド自体が厄介なこともあって俺とクロとで役割を分ける事にした。
クロは持ち前の速さを生かして地面を駆けまわり、足場を固める役目。ついでに氷礫で攻撃するのも忘れない。
んで、俺は直接本体をぶっ叩く役ってわけだ。分かりやすくて良いね。
「んじゃ、いっくぞー!」
クロに一言声を掛けて、俺はまっすぐにゲートキーパーへと向かう。
同時にクロも凄まじい勢いで駆け出し、真っ赤な溶岩を黒く固め、道を作っていく。
いずれ周囲の溶岩は全て固まることだろう……その状態であのゲートキーパーがどう動くかだ。
潜らずに這いずり回るのであれば戦いやすくはなると思うけど。
……まあ、初見の敵だからどうなるか分からん。
どこぞのドラゴンみちあに予想外の動きをするかも知れないし、油断せずに戦おう……そうこう考えている内に、もう敵は目前に迫っているし。
近付いてくる俺に気が付いたのか、それとも射程内に入ったから攻撃に転じたのか……後者かな? 俺たちが侵入したのには気付いているだろうし。
溶岩から飛び出たそいつは、俺に向かいまっすぐ突っ込んできた。
「でけえ」
最初に思ったのは『遅いな?』だった。
ただそれはすぐに勘違いだと気付く。
これは相手がでかすぎるから遅く見えているだけであった。
これだけの巨体にかなりの速度で突っ込まれたら、それだけで大ダメージだ。
あたれば、だけど。
「おいしょー!」
まっすぐ突っ込んでくる相手に向かい、俺も飛びかかる。
そしてすれ違いざまに胴を思いっきり切りつける。
もちろんそれだけじゃリーチ的に考えて大したダメージにはならない。だから少しでもダメージを追加できるようにと衝撃波も飛ばすのは忘れない。
「んん?」
予想していたよりもずっと手ごたえがない。
もっとガツンッとくるかと思ったが……まるでプリンか何かのように柔らかい。
……まあ、レベルアップしているからそう感じるだけで、実際はもっと堅いのだろうが。
まあ、それはおいといて、この階層のゲートキーパーとしてはあまりにも手ごたえがない。
大したダメージならないだろうと思っていた攻撃によって、敵の胴は真っ二つに分かれていた。
「っと、あぶね」
分かれた後ろ側が体をくねらせながら飛んできた。
危うくぶつかりそうなところを加速して躱す。
さて、どうなるか? と思い、飛んで行く体を目で追うが……分かれた体は前後共に溶岩の海へと沈んでいった。
まさかこれで終わりとかないよな。
こっちの被害は切りつけた時に障壁が割れて、全身が燃えた程度だぞ。
いくらなんでもそれは……と、別にフラグも何も立てる気はなかったのだけど。
溶岩の海を割って、巨体が再び飛びかかってきた。
おそらくだけど、さっき切り離したところは既にくっ付いてそうな気がする。
やはりこれぐらいの再生能力は持ってるだろうな。
まあ、これぐらいは当然だ、不思議でもなんでもない……それより気になることがある。
「……中身が一様だったような?」
さっきぶった切った時に断面を見たんだけどさ。
内臓とかそういったものが無かったんだ。
それこそプリンをスプーンですくった時の様に、一様な断面をみせていた。
つまりこいつは……スライムとかその手の系統ってことか。
それならどこかに弱点があるはず……そう思い、突っ込んでくる相手を避けつつ全身をじっと観察するが、どこに弱点があるか分からなかった。
「……当たるまで切りつけろってか?」
ようは弱点であるコア部分に対し、体がでかすぎてどこにコアがあるのか分からないのだ。
ずっと攻撃していればいつかは当たるだろうが、この巨体にそれをやれとか控えめにいって地獄である。
ならどうするか……相手は溶岩のような体であり、切ってもすぐにくっついてしまう。
まあ、メタ的に考えて冷やしてどうにかしろってこと、かな?
氷礫だとちょっと威力が不足する。
そうなると……俺は、再び飛びかかってきた敵に向かい、切りつけるのではなく思いっきり蹴りを放った。
足が触れたところを中心に敵の体が黒ずみ、砕け散る。
「よっしゃ、次ぃ!」
一撃で終わらせるつもりはない。
後から続く体にもガンガン蹴りを入れていく。そのたびに黒ずんだ敵の体が砕けて散っていく。
溶岩にいくらか沈んでしまったが、大半は固まった溶岩の上に残ったままだ。
溶岩に沈んだ敵が再び飛び出してきたとき、いくぶん体が小さくなっているように見えた。
「おっしおっし。氷童優秀じゃん!」
このまま体積を減らしていけば、いずれはコア部分も分かるようになるだろう。なってくれ。
クロはまだ扉の外に居る。前回俺が盛大に燃え上がったもんで、ちょっと警戒しているようなのだ。
クロは俺が実際に足を着いても燃え上がったり、足がへばりついてないのをみて一歩足を踏み入れる。
そして何度かタシタシと固まった溶岩を叩き、納得したのか「にゃ」と小さくないた。
「それじゃクロは出来るだけ走り回ってね。俺は本体ぶっ叩きにいくから」
ゲートキーパーだけじゃなく、フィールド自体が厄介なこともあって俺とクロとで役割を分ける事にした。
クロは持ち前の速さを生かして地面を駆けまわり、足場を固める役目。ついでに氷礫で攻撃するのも忘れない。
んで、俺は直接本体をぶっ叩く役ってわけだ。分かりやすくて良いね。
「んじゃ、いっくぞー!」
クロに一言声を掛けて、俺はまっすぐにゲートキーパーへと向かう。
同時にクロも凄まじい勢いで駆け出し、真っ赤な溶岩を黒く固め、道を作っていく。
いずれ周囲の溶岩は全て固まることだろう……その状態であのゲートキーパーがどう動くかだ。
潜らずに這いずり回るのであれば戦いやすくはなると思うけど。
……まあ、初見の敵だからどうなるか分からん。
どこぞのドラゴンみちあに予想外の動きをするかも知れないし、油断せずに戦おう……そうこう考えている内に、もう敵は目前に迫っているし。
近付いてくる俺に気が付いたのか、それとも射程内に入ったから攻撃に転じたのか……後者かな? 俺たちが侵入したのには気付いているだろうし。
溶岩から飛び出たそいつは、俺に向かいまっすぐ突っ込んできた。
「でけえ」
最初に思ったのは『遅いな?』だった。
ただそれはすぐに勘違いだと気付く。
これは相手がでかすぎるから遅く見えているだけであった。
これだけの巨体にかなりの速度で突っ込まれたら、それだけで大ダメージだ。
あたれば、だけど。
「おいしょー!」
まっすぐ突っ込んでくる相手に向かい、俺も飛びかかる。
そしてすれ違いざまに胴を思いっきり切りつける。
もちろんそれだけじゃリーチ的に考えて大したダメージにはならない。だから少しでもダメージを追加できるようにと衝撃波も飛ばすのは忘れない。
「んん?」
予想していたよりもずっと手ごたえがない。
もっとガツンッとくるかと思ったが……まるでプリンか何かのように柔らかい。
……まあ、レベルアップしているからそう感じるだけで、実際はもっと堅いのだろうが。
まあ、それはおいといて、この階層のゲートキーパーとしてはあまりにも手ごたえがない。
大したダメージならないだろうと思っていた攻撃によって、敵の胴は真っ二つに分かれていた。
「っと、あぶね」
分かれた後ろ側が体をくねらせながら飛んできた。
危うくぶつかりそうなところを加速して躱す。
さて、どうなるか? と思い、飛んで行く体を目で追うが……分かれた体は前後共に溶岩の海へと沈んでいった。
まさかこれで終わりとかないよな。
こっちの被害は切りつけた時に障壁が割れて、全身が燃えた程度だぞ。
いくらなんでもそれは……と、別にフラグも何も立てる気はなかったのだけど。
溶岩の海を割って、巨体が再び飛びかかってきた。
おそらくだけど、さっき切り離したところは既にくっ付いてそうな気がする。
やはりこれぐらいの再生能力は持ってるだろうな。
まあ、これぐらいは当然だ、不思議でもなんでもない……それより気になることがある。
「……中身が一様だったような?」
さっきぶった切った時に断面を見たんだけどさ。
内臓とかそういったものが無かったんだ。
それこそプリンをスプーンですくった時の様に、一様な断面をみせていた。
つまりこいつは……スライムとかその手の系統ってことか。
それならどこかに弱点があるはず……そう思い、突っ込んでくる相手を避けつつ全身をじっと観察するが、どこに弱点があるか分からなかった。
「……当たるまで切りつけろってか?」
ようは弱点であるコア部分に対し、体がでかすぎてどこにコアがあるのか分からないのだ。
ずっと攻撃していればいつかは当たるだろうが、この巨体にそれをやれとか控えめにいって地獄である。
ならどうするか……相手は溶岩のような体であり、切ってもすぐにくっついてしまう。
まあ、メタ的に考えて冷やしてどうにかしろってこと、かな?
氷礫だとちょっと威力が不足する。
そうなると……俺は、再び飛びかかってきた敵に向かい、切りつけるのではなく思いっきり蹴りを放った。
足が触れたところを中心に敵の体が黒ずみ、砕け散る。
「よっしゃ、次ぃ!」
一撃で終わらせるつもりはない。
後から続く体にもガンガン蹴りを入れていく。そのたびに黒ずんだ敵の体が砕けて散っていく。
溶岩にいくらか沈んでしまったが、大半は固まった溶岩の上に残ったままだ。
溶岩に沈んだ敵が再び飛び出してきたとき、いくぶん体が小さくなっているように見えた。
「おっしおっし。氷童優秀じゃん!」
このまま体積を減らしていけば、いずれはコア部分も分かるようになるだろう。なってくれ。
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