家の猫がポーションとってきた。

熊ごろう

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「242話」

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生首と食事をとり始めたその翌日。
朝からどんぶり飯三杯食う生首にげんなりしながらも、食事を終えてリビングで休んでいると大塚さんから電話がきた。

「許可下りたんですか、ありがとうございます!」

内容はあれだ、中村のお土産の件だね。
かなりあっさり許可がでて、うれしい限りだ。

「ほんと助かりました! それでは生首の件もよろしくお願いします。はい、では失礼します」

一応生首のことも伝えておいた。
アマツの知り合いで、ダンジョン創ろうとしている奴がいる。お偉いさん型の夢枕に立つといっているので、伝えておいてほしい、と。

見た目がちょっとあれだけど、ダンジョンに関してはまともな気がしなくもないので安心してほしいってね。

「……思ってたより早かったなあ。中村は会社だろうから、夕方以降届けにいくか」

中村の家にいけば、家族がいるかも知れないけど、こんな刃物が大量な荷物を渡すのはちょっとねえ。
これが休日であれば問題なかったのだけど、あいにく今日は平日である。

中村も今頃会社できりきり働いているところだろう。たぶん。
業務中にメッセージ送るのもあれだし、定時過ぎたあたりで送ろうっと。



「許可出たからお土産わたすー。家にもっていけばいい? 送信っと」

夕方になって、もう大丈夫だろうと中村にメッセージを送ると、すぐに返信がくる。

「ん? 会社に届けてほしいと……いいけど、住所教えてちょっと」

どうも定時で上りではないらしい?
まだ会社にいるらしく、わりいけど荷物を会社まで持ってきてくれんか? ってことなので持っていくことにした。
別に、家からだと会社も中村の家も大した距離変わらんしなっ。

んじゃ、クロにちょっとお土産渡してくると一言残して出発だーっと。
生首? ゲームやってるから放置してきたよっ。


10分かそこらで中村の会社に到着した。
時間帯的に混むかなーって思ったけど、そうでもなくて割とスムーズにこられたね。

さて、中村についたぞーってメッセージでも……と思ったら入口にいるな。

「……ん? 中村とほかにも居るな」

近づいて分かったけど、中村以外にも何人かいるね。
まあ、会社の人らだけど……ふむん。

「おまたー」

「こっちこっち、中入って止めちゃってー」

「あいよ」

とりあえず中村に誘導されるがままに会社の敷地内に車を入れる俺。
ええんかな? まあ、みんな止めないし良いのだろうけど。

「これ? っとぉ!? 結構あるなー」

車を止めて、後ろのトランクから刃物をつまった箱を取り出し、中村にほいっと手渡す。
中身は金属ぎっしりなので、見た目よりだいぶ重かったりする。

俺はダンジョンの影響やらで筋力アップしてるから問題なく持てるけど、普通の人だとこれ腰とか色々痛めそうな重さだな。

中村もしっかり持てるあたり、ダンジョンの影響結構出てるよね。


「会社で使うことにしたんだ?」

「ああ、俺用に何本か確保してあとは研究用にしようと思ってな。てかこんな大量に家に置いとけねえべ」

「たしかに」

家の中、刃物だらけになっちゃうね!

中村は刃物の詰まった箱を、「じゃ、たのんます」と言って会社の人に手渡す。
すると彼らはこちらに礼をいって、二人掛かりで会社の中へと箱を運んでいく……あり? 中村は入らんのか、残業だよな? もしかして俺がいるからと気を使って貰ってしまったのだろうか。

「これから残業?」

「うんにゃ、もう上がり」

それならいつまでも話している訳にはいかないし、と聞いてみると中村はパタパタと手を振り否定する。

なるほど受け取って、会社の人に渡すためだけに残ってたのか。

そういうことならこの後、飯なりなんなり……と思ったところで、中村から話を振られる。

「このあと時間ある? ちょっと飯食いながら話したい事あんだけどさ」

「いいよ。あ、一応クロに聞くからちょいまってね」

「おう」

クロに「中村に飯誘われたから、ちょい食ってから帰るねー。そんな遅くならないと思うけど、お留守番お願いしても良いー?」とメッセージを送る。

するとすぐに返信が……なんかキーボード打つの早くなってね?

「ん……チーカマお土産に買ってきてだって」

「おう。そんじゃ着替えてくるからちょっと待ってて」

チーカマをお土産に買うことで、OKが出た。
てかチョイスがなんか渋いなっ。

まあ、帰りにコンビニでもよって、何種類か買って帰るとしよう。
さてさて、中村と二人で食事とかいつ以来だろうな? 何たべるかなー。


なんか個室とかあるとこが良いっていうから、近くの焼き鳥屋さんになった。
4人ぐらいで入れる個室っぽいのがある焼き鳥屋さんで、味も良いし安いしでいいお店だよーとのこと。
たぶん、会社の人に連れられて何度かいってるんだろうな。


注文した品が、テーブルにずらりと並び、おっしゃ食うべ! と食い始めるが……。

「ほんで、話って?」

「ん? おお」

こやつ食うのに夢中で話あるの忘れとったなっ。

俺が話をふると、中村はそうだったそうだったと鞄からスマホを取り出しなにやら操作しはじめる。

「島津ってさ、動画サイトみる?」

「んん? ……まあ、たまには見るけど」

まあ、気が向いたら見るぐらいかな。
毎日何時間も見るってわけじゃーない。

暇なときはたいていダンジョン潜ってるしね。

「そっかそっか、じゃあ最近さこういう動画増えてるのは知ってる?」

「んー……知らないっ」

そういって中村が見せてきたのは、ダンジョンに潜る光景を撮影したやつだった。
最初にパーティーの自己紹介やらなんやらして、楽しくお喋り……これ相当浅い階層だな。

敵は無機質なタイプだね。
てか、血がどばーって出るタイプだと、たぶんBANされるだろうし、そのためだろう。

「まあでも、やるやつは出るだろうなーとは思ってたよ。そろそろダンジョン攻略も落ち着いてきて、狩ること以外にも目を付けるやつが出るだろうなーってね……要は盗撮じゃなければ良いんだし」

ダンジョンに世界中が注目してるし、再生数だってすごいだろうからね。
アホなことをすると即出禁だろうし、ほかの動画みたいなことをする奴は居なさそうだけど……。

ふむ、この動画を見せたってことはあれよね。

「んで、なに。中村も動画投稿でもすんの?」

「おう実はもう作ってある。公開はしてねーけど」

「っへー」

仕事はやいなっ。

と、俺が関心した様子を見せると、中村は満面の笑みを浮かべ、その作ったという動画を再生しだした。

「ボッチおつとか言われそう」

まあ、俺に今はじめて声かけたわけだし、わかっていたことだけど動画に移っていたのは中村一人であった。


「……」

「まさか無言になるとは思わなかった」

ちょっぴり涙目になってた。
ごめんて!
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