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「198話」
しおりを挟む「はい、熱いから気を付けてねー」
「あ、どもっす。頂きます」
うん、美味しい。
寒い時期に外で飲む温かい飲み物って美味しいよね。
焚き火を囲みながらとなれば尚更だ……っと、忘れない内に聞かないとだ。
「そういえば、前に都丸さんがアメリカ関係で何かありそう……みたいなこと言ってたんすけど、やっぱ何かあるんです?」
俺の言葉にあー……って感じの表情を見せる北上さん。
やっぱ何かあるんだろうなあ。
聞きたくは無いけど、聞いておかないとそれはそれでちょっとね……と言うわけで、北上さんの話せる範囲で聞いてしまおうなのだ。
北上さんは自分の分のコーヒーをいれ、一口ふくみ……少し間をおいてから話始める。
「んー、なんかねダンジョン攻略苦戦してるらしいんだよねー。そんで合同訓練やろうぜって言ってるらしいよ?……まー、私も詳しくは知らないんだけどねー」
なるほど?
「日本でやるんです?」
「うんにゃ、アメリカ」
アメリカでかよ。
ちょーっとばかし遠すぎやしませんかねえ。
たぶん俺も行くことになる予感がする。
パスポートなんぞもってないぞ。
「うわーすっごい面倒そう……あれ、ダンジョンの扉使えば一瞬で行けるような……それなら別にそうでもないかな?」
別にわざわざ飛行機とかで行かなくてもいい?
ダンジョンの謎な扉を使えば距離なんて関係ないし、さくっと行けてしまうかな?海外とも繋がってたよな、たしか……繋がってたよね?
会議か何かをやった時に……やべえ、記憶が定かじゃないぞ。
「んー……仕様を考えると無理かなあ」
「おや」
なんて俺が頭の中で色々考えている間にも北上さんの話は続く。
仕様ってあれだよね、扉の仕様だよね?
北上さんは扉の仕様を把握してるのか。
さすが?である。
「会議とかに使う施設があって、そこは共有出来るんだって。でもそこから別の国に行ったりは出来ないらしいよ。あとその施設以外は国内は共通だけど、他の国とは別なんだって」
「へー……じゃあやっぱアメリカ行かないとなんですね。めんどくさそー……」
てかそんな施設あったっけ?
あれか、国のお偉いさん方のみに開放されてる施設とかなんだろうか?見た事ないもんなー。
まあ、それは良いとして。
アメリカまで飛行機で行くのが確定したわけで、地味にめんどいぞ。
確か飛行機でも12時間ぐらい掛かったよね?
その間ずっと機内に居るとかつらたん。
てかクロ連れていけるよな?
ダメだったら俺は行くの全力で拒否しちゃうぞ。
こりゃ面倒そうだなーとため息をつく俺……と北上さん。
北上さんは面倒そうというか、なんだろうな。ちょっと違う感じがするな?
なんとなーく感じた違和感。
その理由は本人の口から語られることになる。
「あとはねー……引き抜きが来ると思う」
「え、買収とかです?」
「買収は出来ないだろうから、ほら……あれだよ、あれー」
「あれ……」
なんだろ。
買収は確かに無理だと思う。
だって、強い隊員さんみんなお金持ちなってそうだしね。
そうなると後はなんだ?名誉とか?自己顕示欲を刺激してーとか……これもちょっと引き抜くには弱い気がする。
「ハニトラとか」
「え、そんな古典的なことを……?」
まさかのまさかだった。
……有効なのか?その手のに対する教育とか訓練とか受けてそうなイメージあるけど……すべての隊員さんが聖人とか言う訳じゃないし、中には有効な人もいるっちゃいるのかも知れない。
「古典的でも有効だかんね。だからメンバーのほとんどが既婚組になるみたいよー独り身は肩身が狭いねえ」
「あー、なるほど」
違和感の理由はこれか。
既婚組の中に独身女性が一人……つらそう。
まあ、俺には想像しかできないけどね。
「だからよろしくねー」
「おー」
任せんしゃい。
……ん?
何を……?この流れでお願いってそれはつまりどういう事なんですかね。
と、俺が返事した状態のまま固まっていると、北上さんが話を変えるようにぽんと手と手を合わせる。
「そういえば、最近教本?読んでるみたいだけど、何か免許でもとるのー?」
「え、あ、はい。飛行機の免許取ろうかなーって」
教本……俺だって本ぐらい読むんですよ。
さすがに無免許で飛行機乗る気にはならんのです。
絶対墜落するよ!そして落ちた先には巨大な海の生き物がわんさかと……いやあ、それだけは絶対避けたいね。
海がトラウマになりかねない。
「へー……あ!BBQ広場のあれ用?」
「ですです」
飛行機の免許と聞いて、すぐに例のBBQ広場に追加された奴のためだと分かったのだろう。
北上さんの表情がすっごい笑顔になる。
「やった!いつか行ってみたかったんだよねー……私も免許取りたかったんだけど、時間がなくてねー」
「忙しいですもんねー」
やっぱ孤島でキャンプしたいもんね。
はやく免許とって、アメちゃんのイベントが発生する前に行きたいところである。
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