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「128話」

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「スライム?」

「ええスライムです。ここのダンジョンでは出て来ませんか?」

BBQも食べ終え、腹ごなしにと皆で釣りをしていると、隊長さんがそんなことを尋ねてきた。

ああ、例のあいつも一応一緒だよ。
謝ったことだし、一人だけ置いていくのもね。

今はすみっこで一人で釣りしてる。
こいつを縛って餌にしたりとかはしてないよ。俺、そこまで鬼畜じゃないです。

「今のところ出てないですね」

ダンジョンと言えば定番なモンスターではあるが、ここのダンジョンでは見たことはない。
もしかするとそのうち出てくるのかも知れないけど、今までの傾向からして出ないんじゃないかなーと思っている。

「そうですか……」

「強いんですか?」

出てないと聞いた隊長さんの表情はすぐれない。
何かアドバイスでも聞きたかったのかな?もしかしてこれが一番聞きたい内容だったりしてね?

「強い……ですね。非常に厄介な敵です」

ほう、厄介ね。
どう厄介なのかなー……と、思っていたら隊長さんが何やらタブレットを取り出して、映像を流し始める。

これ、アメリカのダンジョンの映像だね。
戦闘相手は当然スライム……スライムってさ、イメージって二つに分かれると思うんだよね。
まるっこくてプルプルしてそうなのか、でろでろのゲロみたいなやつ。

アメリカのダンジョンのスライムはその中間ぽい感じだった。
でろでろって訳じゃないけど、かと言って丸くなるほどではない……どっちかに寄ってくれれば良いのにね。

イメージだけど、丸っこいと物理攻撃が効きにくい感じで、でろでろだと酸性の液体使ってきたり、窒息させてくる感じ?

こう両方の特性もってそうだと、どっちの攻撃も仕掛けてきそうで嫌なんだよねー。
予想でアドバイスもしにくいし。

……ま、とりあえずは動画を見るのに集中だ。見れば何かしらアドバイスは出来るかもだしね。




「……と、見て分かる様に物理攻撃がほぼ通じません。魔法を使えば倒せはしますが消費が激しいので連戦は出来ません」

結論から言うと、良いとこ取りのハイブリットなスライムだった。

剣でぐっさぐさに刺してもまったく堪えた様子がない。
それでいて攻撃方法は液体を飛ばしたり、体をぶわっと広げて包み込んで、溶かすか窒息か……ただまあ魔法とかは効くっぽので、まったく対処できないって程ではなさそうだ。

てか魔法使えんのね。
これも装備についてくる効果なんだろうか。
それともカードか何か?こんな浅い階層でとか凄いな。ちょっち羨ましい。


んで、スライムに関するアドバイス……の前にちょっと質問しておこう。
気になることがある。


「この体内にあるあからさまに弱点っぽいのは弱点じゃないんですね」

「ええ、違います。それとは別に核が存在していて、そこを剣で切ることが出来れば一撃で……ですがそれが出来れば苦労はしませんね」

なるほどねー。
スライムの体内に握りこぶし大の何かがあるんだけど、それは弱点ではないと。
まあ、弱点だったらみんな狙いまくるだろうし、それなら苦労はせんよなって話だよね。

……となると、あれか。


「見えにくいですもんねー」

「ええ、見えにくいです、から……見えているのですか??」

「一応。これぐらいの透明な球ですよね」

スライムの体とほぼ同じ色で、透明具合も同じなビー玉サイズの何かがある。
これがたぶんスライムの核だろう。
やっかいな事に体内で移動できるらしく、見えなければ本当に偶然うまく当たらない限り、核を壊すことは出来ないだろうね。

彼らにはその核が見えない。
倒すと核だけ残るので、それで気が付くことができたんだろうね。

んで、俺が何で見えるかと言うとだ。

「実はこの尻尾、特殊効果がついていまして……弱点看破ってやつなんですけど」

尻尾の効果である。
この尻尾、トロール戦での活躍と言い、まじで優秀だな。

そんな優秀な装備である尻尾を、彼らによく見えるように動かしてみせるが……反応がよろしくない。
何言ってんのこいつみたいな雰囲気がある。魚の餌にすっぞ。



……まあ、口で言っても分からないか。
実際につけて、自分で体感しないとこれは分からないだろう。
そうだ、つけてみないとダメなのだ。



「つけると分かると思いますよ……ちょっと失礼」

「な、なにをっ」

お前の尻に尻尾生やすんだよぉっ!
おら、大人しくせいっ。


「……」

つけたら大人しくなったね。
気に入ってくれたんかな?と思って顔を覗き込んだら、なんて悲痛な顔をしてやがる。

周りの人らが、おーまいがっ!とかじーざすとか騒いでるけど、どうせすぐこの隊長さん見たいに大人しくなるさ。

次はお前らが生やす番だ。
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