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「79話」
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ふらふらと立ち、表情の失われた能面のような顔。 まるで幽鬼のような彼らの様子に、残りの隊員は驚きを隠せないでいた。
ほんの数時間前まで元気だった彼らの身にいったい何があったのか……隊長の隣にいる島津はなぜかつやつやとして元気そう。聞いてもまともな答えは返ってこなさそうだ。
「た、隊長……? 大丈夫っすか?」
「……ああ、問題ない」
(いや、どう考えても問題ありじゃねーっすか! 島津さん一体何やらかしたんすか……)
どう見ても大丈夫に見えない隊長と隊員を見て、やたらと元気そうな島津に視線を向ける隊員。
島津はその視線には気づいたが、きょとんとした表情を浮かべるだけである。
……なんかこっちを非難するような目で見ている気がしなくもない。
気のせい? 気のせいじゃないよね。
俺はただ、島津さんが最初にポーションを手に入れようとした時と同じぐらい厳しくしてほしい……そんな都丸さんのお願いに対して、誠実に応えただけだと言うのに。
まあ、いきなり二人を10体部屋に突っ込ませたりしたけれど、ポーションの効果でスタミナは切れないし、傷も癒えるし、意外といけるもんなんだよ?
それにあいつら弱いし、犬10匹に囲まれてひたすら噛まれて、痛みに耐えながら相手を殺し続けるよりは大分ましだろうと思うのです。
とか俺が思っていると、都丸さんがアマツに話しかけた。
「貴方がダンジョンの管理者でしょうか?」
「そうだよっ。 管理者のアマツだよ、よろしくね! そしてチュートリアル突破おめでとう!」
「ありがとうございます」
礼をする都丸さんだけど、表情が死んでいる。
ちょっぴりやりすぎたかなーって気がしなくもないが、その分早くチュートリアル突破出来たし……なんだっけ、コラテラルダメージ? あれだよあれ、必要な犠牲ってやつ。
「いろいろ聞きたい事はあるだろうけど、まず突破者に色々説明しないといけない内容あるから、先にそっちを済ませてしまうね。 さ、疲れただろう? お茶を用意したからね、リラックスしてくれたまえ」
アマツに促されて、都丸さんを始めとした隊員達は皆席に着く。
それを見たアマツはさらに笑みを深くし、再び指をパチンとならした。
すると隊員達の目の前の空間に変化が起こる。ノイズの様な物が見えたかと思えば、やがて四角く薄っぺらい板状の物が空間に出現したのである。
……この光景前にも見たなあ。
まあ同じ説明するんだし、しょうがないけども。
「まずはこれを渡そう。 チュートリアルを攻略した者に与えられる、ダンジョン専用の端末でね。 名称はまだ決まってないんだよ……なかなか良い名前が浮かばなくてね」
まだ決まってなかったんかいっ!
俺が受け取ってから数か月経っていると言うのに……端末なんか適当に名前つけちゃえばいいのに。
あ、だめだ、肥料の件もあるしアマツに名前つけさせちゃいかん。
公募でもすれば?と後で言っておこうかな。
あとじいちゃんばあちゃんに肥料の件説明するの忘れてたわ。
午後から言って話して置かないと……自衛隊にも話してなかったな! ポーションの事で頭いっぱいですっかり忘れてた。
「それでポーションを購入したり出来るから、あとで試してみると良いよ」
ポーションが購入出来ると聞いて隊員達がざわつく。
それがメインの目的だったしね、でもまさか端末で購入とは思っていなかったのだろう。
手にした端末をまじまじと見詰めていた。
そのまま端末を見ていた隊員達であったが、隊長の都丸さんが真っ先に復活し、アマツへと質問を投げかける。
「これは外でも使えるのですか?」
「いいや、ダンジョンの中だけだよ。 あとダンジョン内でも休憩所やここ見たいな場所でなければ機能が制限されるから、気を付けてね」
ああ、そういや買い物とかほかの階層だと使えないもんなー。
そういう物なんだーと思って、深く考えはしなかったけれど。
「これは他人でも使えるんですか?」
「いや、使えるのは自分だけだね。 あとチュートリアル突破してないと存在そのものが認識出来ないよ」
あ、やっぱ使えないのね。
クロの端末見せてもらった事はあるけど、使ったことないし、知らんかった。
何となくそうじゃないかなーとは思っていたけれど。
チュートリアル突破しないと存在を認識できないと……やっぱお偉いさん方がダンジョンに潜るのは絶対必要だろうなあ。
いつから潜り始めるのかは分からないけど、やるなら早めにして欲しいものだ。
ダンジョンが一般に広がって欲しいのと、畑の手伝いをしたい的な意味で。
「島津さん、とりあえずは今日はここまでです」
「んおっ!?」
不意に声を掛けられて、びくりと顔を上げる俺。
……どうやら寝落ちしていたようだ。
時計を見てみれば、もう12時過ぎているし……1時間は寝てたのか。
「す、すみませんっ」
ごしごしと袖で口元を拭い、慌てて頭を下げる俺。
周りを見れば皆笑っていた……そしてなぜかしょうがないねえ……みたいな顔でこっちを見るクロ。
なんでや。 クロ、最初から寝てたじゃんっ!
うーむ……しっかし、端末渡したあたりから記憶がないぞ。
もう端末起動したりしたのかな? みた感じ、ポーション買って無さそうだけど。
もしかしてポイント足らなかったのだろうか? それなら貯めておいたナイフをポイントに変換しないと。
「ポーション買えそうですか?」
「ええ、それなりに買えそうです。 どうやら別のダンジョンでモンスターを倒したポイントも使えるようでして」
「あー、なるほど」
経験値てきなものが余り貰えないだけで、ポイントはしっかり貰えるってことか。
10階あたりの敵なら、ポイントだけでもそこそこ貰えるはずだ。
ポーションをある程度買って、装備の改造や、新たに買ったりなんかも出来るだろう。
「ですが、今後の攻略を考えると全部は使えません。 それにどこまで自分たちの裁量で使うかも決まってないですし」
そういやそうだ。
そっちを早いところ決めないとポイント使えないか。
さすがに隊員さんが勝手に使う訳にもいかないだろうし、黙っていればバレないとは思うけど。
そうもいかないだろう。
やはり早いところお偉いさんに出張って貰わないとだ。
そうしたら一日中ゴブリン部屋に突っ込んで、一日で……さすがに無理があるかな?
ほんの数時間前まで元気だった彼らの身にいったい何があったのか……隊長の隣にいる島津はなぜかつやつやとして元気そう。聞いてもまともな答えは返ってこなさそうだ。
「た、隊長……? 大丈夫っすか?」
「……ああ、問題ない」
(いや、どう考えても問題ありじゃねーっすか! 島津さん一体何やらかしたんすか……)
どう見ても大丈夫に見えない隊長と隊員を見て、やたらと元気そうな島津に視線を向ける隊員。
島津はその視線には気づいたが、きょとんとした表情を浮かべるだけである。
……なんかこっちを非難するような目で見ている気がしなくもない。
気のせい? 気のせいじゃないよね。
俺はただ、島津さんが最初にポーションを手に入れようとした時と同じぐらい厳しくしてほしい……そんな都丸さんのお願いに対して、誠実に応えただけだと言うのに。
まあ、いきなり二人を10体部屋に突っ込ませたりしたけれど、ポーションの効果でスタミナは切れないし、傷も癒えるし、意外といけるもんなんだよ?
それにあいつら弱いし、犬10匹に囲まれてひたすら噛まれて、痛みに耐えながら相手を殺し続けるよりは大分ましだろうと思うのです。
とか俺が思っていると、都丸さんがアマツに話しかけた。
「貴方がダンジョンの管理者でしょうか?」
「そうだよっ。 管理者のアマツだよ、よろしくね! そしてチュートリアル突破おめでとう!」
「ありがとうございます」
礼をする都丸さんだけど、表情が死んでいる。
ちょっぴりやりすぎたかなーって気がしなくもないが、その分早くチュートリアル突破出来たし……なんだっけ、コラテラルダメージ? あれだよあれ、必要な犠牲ってやつ。
「いろいろ聞きたい事はあるだろうけど、まず突破者に色々説明しないといけない内容あるから、先にそっちを済ませてしまうね。 さ、疲れただろう? お茶を用意したからね、リラックスしてくれたまえ」
アマツに促されて、都丸さんを始めとした隊員達は皆席に着く。
それを見たアマツはさらに笑みを深くし、再び指をパチンとならした。
すると隊員達の目の前の空間に変化が起こる。ノイズの様な物が見えたかと思えば、やがて四角く薄っぺらい板状の物が空間に出現したのである。
……この光景前にも見たなあ。
まあ同じ説明するんだし、しょうがないけども。
「まずはこれを渡そう。 チュートリアルを攻略した者に与えられる、ダンジョン専用の端末でね。 名称はまだ決まってないんだよ……なかなか良い名前が浮かばなくてね」
まだ決まってなかったんかいっ!
俺が受け取ってから数か月経っていると言うのに……端末なんか適当に名前つけちゃえばいいのに。
あ、だめだ、肥料の件もあるしアマツに名前つけさせちゃいかん。
公募でもすれば?と後で言っておこうかな。
あとじいちゃんばあちゃんに肥料の件説明するの忘れてたわ。
午後から言って話して置かないと……自衛隊にも話してなかったな! ポーションの事で頭いっぱいですっかり忘れてた。
「それでポーションを購入したり出来るから、あとで試してみると良いよ」
ポーションが購入出来ると聞いて隊員達がざわつく。
それがメインの目的だったしね、でもまさか端末で購入とは思っていなかったのだろう。
手にした端末をまじまじと見詰めていた。
そのまま端末を見ていた隊員達であったが、隊長の都丸さんが真っ先に復活し、アマツへと質問を投げかける。
「これは外でも使えるのですか?」
「いいや、ダンジョンの中だけだよ。 あとダンジョン内でも休憩所やここ見たいな場所でなければ機能が制限されるから、気を付けてね」
ああ、そういや買い物とかほかの階層だと使えないもんなー。
そういう物なんだーと思って、深く考えはしなかったけれど。
「これは他人でも使えるんですか?」
「いや、使えるのは自分だけだね。 あとチュートリアル突破してないと存在そのものが認識出来ないよ」
あ、やっぱ使えないのね。
クロの端末見せてもらった事はあるけど、使ったことないし、知らんかった。
何となくそうじゃないかなーとは思っていたけれど。
チュートリアル突破しないと存在を認識できないと……やっぱお偉いさん方がダンジョンに潜るのは絶対必要だろうなあ。
いつから潜り始めるのかは分からないけど、やるなら早めにして欲しいものだ。
ダンジョンが一般に広がって欲しいのと、畑の手伝いをしたい的な意味で。
「島津さん、とりあえずは今日はここまでです」
「んおっ!?」
不意に声を掛けられて、びくりと顔を上げる俺。
……どうやら寝落ちしていたようだ。
時計を見てみれば、もう12時過ぎているし……1時間は寝てたのか。
「す、すみませんっ」
ごしごしと袖で口元を拭い、慌てて頭を下げる俺。
周りを見れば皆笑っていた……そしてなぜかしょうがないねえ……みたいな顔でこっちを見るクロ。
なんでや。 クロ、最初から寝てたじゃんっ!
うーむ……しっかし、端末渡したあたりから記憶がないぞ。
もう端末起動したりしたのかな? みた感じ、ポーション買って無さそうだけど。
もしかしてポイント足らなかったのだろうか? それなら貯めておいたナイフをポイントに変換しないと。
「ポーション買えそうですか?」
「ええ、それなりに買えそうです。 どうやら別のダンジョンでモンスターを倒したポイントも使えるようでして」
「あー、なるほど」
経験値てきなものが余り貰えないだけで、ポイントはしっかり貰えるってことか。
10階あたりの敵なら、ポイントだけでもそこそこ貰えるはずだ。
ポーションをある程度買って、装備の改造や、新たに買ったりなんかも出来るだろう。
「ですが、今後の攻略を考えると全部は使えません。 それにどこまで自分たちの裁量で使うかも決まってないですし」
そういやそうだ。
そっちを早いところ決めないとポイント使えないか。
さすがに隊員さんが勝手に使う訳にもいかないだろうし、黙っていればバレないとは思うけど。
そうもいかないだろう。
やはり早いところお偉いさんに出張って貰わないとだ。
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