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「36話」

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オーク美味しいです。
お肉じゃないよ、鎧と兜が1つ400ポイントになった。

小説だとオーク肉は定番とは言えちょっと食べるの勇気が要るし、あとそもそも解体できばいからなあ……さすがにオークの解体方法なんて動画無いだろうし。


まあ、そっちはその内ね……で、ポイントのお話なんだけど。

上手く倒せば1体あたり1200ポイントになるのですよ。
あ、鎧はかさばるので放置決定ね。 手甲、兜、斧で1200ポイントだよ。


「やっぱクロだと楽にいけるねえ」

その後、しばらくオーク狩りに勤しんでいたのだけど、やはりと言うかクロとオークの相性はよかった。

オークは素早いクロを数に任せて囲もうとするが、捉える事は出来ないでいた。
なのに素足なもんでクロの攻撃はガンガン通ると言うね。


基本的にクロが脚を潰して回り、俺が装備をなるべく傷付けないように止めを刺す事でより効率的に狩りを進める事が出来た。

ある程度貯まったら施設にポイント回して行こうと思う。
ポイント的にはもう猫部屋導入出来るんだけどね、真っ先に猫部屋選ぼうとしたらクロに怒られたもんで……他の共有できるの優先にしろってことらしい。

でも俺としては猫部屋を優先したかったので、両方作ると言うことを妥協点とした。


あとはオークのカードも無事ゲット出来ていたりする。

レベルは2で体専用のカードだね。
カードの効果は腕の筋力に補正値「基本値+50」だ。
50って地味にすごいよね? 成人男性の腕力が1.5倍になるって感じだよ。

まあ、それでもレベルアップの恩恵に比べればそこまでじゃ無いんだろうけど。
あると無いとでは大分違うと思う。

実際にカードをセットする前後で、鉈の重さが大分違う様に感じたし。
これも結構有用なカードだと思う。



……ぐらいに思っていたんだけどね、後になってこのカードの凄さが分かった。


「あれ? ダンベル間違え……てないな」

カードをセットした後に、日課の筋トレをしようとしたらね、ダンベルが妙に軽かったんだ。

最初はダンベルを間違えたかと思ったんだけど、そうじゃなかった。

「……カードの効果は外でもあるのかよ」

明らかに上がった腕力。
原因として考えられるのはオークのカードしかない。

体にセットしたものだけが効果を発揮するのか、それとも違うのかは分からない。

今後さらにレベルの高いカードを手に入れたらどうなってしまうのか、ワクワクする反面不安もちょっとある。


てか、ウサギをセットした時点で気がつけよって話だけど、あの時はほら、若返りのポーション手に入れて不安が解消されて、こう……気分的に体が軽くなったというか何というか。

足の筋力上がったのも、気分的な問題として捉えていたんじゃないかなーって思う。たぶんだけど。


んで、この筋力上がった状態をどうするかだけど、とりあえずはこのままで良いかな。

鍛えてムキムキなっているし、別に違和感とか無いでしょーし。

今後やっべー効果のカードが出て来たらその時考えよう。 カードは外すことも出来るし、探索終えたらカード外しても良いしね。


それに月末にじいちゃんばあちゃんの手伝いするし、ポーション飲んでから作業するつもりではいたけれど、このカードが有れば捗りそうで助かるわ。





「朝はやっぱ寒いなあ」

そしてオークを狩り続けること暫し、月末になりじいちゃんから連絡が入った俺は祖父母宅へと向かっていた。


車から降りる俺をじいちゃんばあちゃんが出迎えに来てくれる。

「じいちゃんばあちゃん、ごぶさたー」

「おう、よう来てくれた」

「すまないねえ」

このまま作業に入りつもりなのだろう、二人ともしっかり作業着と防寒着を着込んでいる。

今って4月末だけど、普通に氷点下いくからね。 むっちゃ寒い。


「康平……お前またでかくなったなあ」

「あれからずっと鍛えてるからねー」

ポーション様々だね。
筋トレが捗ること捗ること……とは言えさすがに筋肉量の増加ペースは落ちてきてるけどね、これがほとんど増えなくなったら、筋肉を維持するレベルに筋トレを抑えようと思う。



それはそうとじいちゃん調子良さそうだなー。

「そういやじいちゃん、腰はどう?」

湿布はしっかり効いたのかなー?

「おう! 腰な、1日で治ったぞ。 本当に効くなあ、あの湿布」

「でしょー? あ、これ追加で持ってきたから良かったら使ってね」

効いたようで何より。

追加で湿布を大量に持ってきているので、じいちゃんに渡しておこう。
これだけあればしばらくは持つでしょ。



挨拶終わったところでお手伝い開始しますかね。
確か……えっと、定植するんだったっけ? 定植ってなんじゃろ。

「それで今日は何を手伝えばいい?」

「おう、説明するでなこっちきとくれ」

分からないので教えてくださいっ。

案内された先はビニールハウスだった。
中にはコンテナがいくつも並んでおり、コンテナの中には何やら植物がびっしり詰められている。


「ここにあるコンテナをトラックにつんで畑まで運んで欲しい。 畑についたら移植機に移すんだ」

「おー……これほうれん草?」

「んにゃ、ビートだ」

「あ、そうだったね」

ビートだったね、思い出した。
確かお砂糖の原料だよね、ぱっと見はほうれん草ぽいけど。
おひたしにしたら美味しそうだ。


と言うわけで作業を開始しよう。
じいちゃんは移植機ってのに乗って畑に向かっていった。

俺とばあちゃんは残ってトラックにコンテナの詰め込み作業をするのだ。

結構な量があるけど、去年までは二人でやっていたそうだから驚きだ。

昔は親戚とかと一緒にさらに大量のコンテナを捌いていたそうだけど、徐々に人が減り、じいちゃんの腰が悪くなったりで今の量に落ち着いたそうな。


それを聞いた俺は俄然やる気が出て来た。
普段世話になっているのだ、2~3人分は働いちゃるぞっ。



「康平、いきなり張り切ると体痛めるからね、ゆっくりやるんだよ」

作業を始めて10分ほど、ばあちゃんが俺の心配をするようにそう言うが、どこか驚いたような呆れたような声色が混ざっている。

「うん、今のところ大丈夫。 ばあちゃんも無理しないで休んでてねー」

まあ、最初からハイペースで、しかもまったく速度落とさずに作業を続けているからね。

正直ドン引きするレベルだと思う。
ポーション様々ですわ。本当に。


「そうだねぇ……お言葉に甘えて少しだけ休もうかねえ。 よっ……こらせ。 年は取りたくないもんだねえ」

まったく作業ペースの落ちない俺を見て、その辺にある丸太へ腰掛けるばあちゃん。
腰を擦っているあたり、ばあちゃんも腰に結構きているようだ。

じいちゃんに渡した湿布は大量にあるし、ばあちゃんも使うように言っておこう。



程なくして第一陣がトラックに積み込み終わる。

「あらあらあら。本当に全部一人でやったんだねえ……それじゃトラックで畑まで運んで貰ってもいいかい? ばあちゃんは次の用意しておくから」

「おっけー」

俺はトラックに乗ってじいちゃんの所までコンテナを持っていく、そしてその間にばあちゃんが次のコンテナを用意しておくそうな。


畑に向かうと道路に面した畑の端っこに、移植機が丁度来たところだった。

「おう、康平もうおわったんか、早いなあ」

「鍛えたからねっ」

トラックから移植機に移すのも手作業なので、これもかなりの重労働だ。

「それじゃ、じいちゃんはこれ植えてくっから、ばあさんとこ戻って次の持ってきてくれるか?」

「おっけ。 じゃ、いってくるねー」

そうしてコンテナを移植機に移し終えたら次のコンテナを取りに戻る。
これを全てのコンテナが無くなるまで繰り返すのである。

これ、ポーションなかったら途中でへばってたかも知れんな。




まあポーションは水筒にたっぷり入れてきたもんで、無くなる前に無事作業を終えることが出来たよ。

「いやあ、まさかこんなに早く終わるとはなあ」

「康平、ちゃんと食べてるかい」

もちろん食べていますとも。

俺が休憩無しで働きまくったもんで、当初の予定より大分早く作業が終わったのだ。
なので昼食にはちょっと早いけれど、がんばったからと庭を使ってBBQすることになったのである。

野菜もおいしいけれどやっぱ体動かした後はお肉がおいしい。
特にジンギスカンは久しぶりに食べたから、めちゃくちゃ美味しく感じる。

網で焼くとフライパンで焼いたのとはまた違った感じになるんだよね、無限におにぎり食えちゃう。

あ、丸いタイプじゃ無くて味付けの方ね?



「体は大丈夫なのか? 無理はしとらんよな?」

「うん、大丈夫。 たぶん、筋肉痛も出ないと思うよ」

そう言って腕をぐいぐい動かして見せる俺に、じいちゃんもばあちゃんも驚いた様子だ。

ごめんねズルしてっ。

早いところ二人にもポーションを渡したいんだけどなあ。
その為にはダンジョンの存在が公になってくれないと……海外勢がんばってくれないかなー?

日本はアマツ次第だし、なんとも言えないよね。

帰ったら情報出てないか調べてみよう。
そう思いながらおにぎりをほお張る俺であった。
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