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森の賢人

「78話」

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んじゃ、作成っとな。
なるべく焼き魚に合うように……できるかな?

まあ、なんとかなるべさ。
とりあえずカボスとスダチとーレモンとー……あと何かあったっけ?

とりあえず何か色々なるのです。



あたりに張り巡らせた根っこからちゅーちゅー吸いつつ、柑橘系をどっさりと実らせる。
色々なれと思ったからか、様々な種類が実っており、中には何なのか良く分からないものも存在していたりする。

たぶん食えるとは思いマス。

「はいタマさん半分こね」

なんか結構なったけど1種類につき1個だったぽい。
まあとりあえず半分もあれば十分だろうと半分こにする。

「ニャ。 焼いたのにかければ良いのかニャ?」

その通りです。
間違ってもそのまま食べないようにね。

ふりじゃナイヨ?


とりあえずお手本を見せつつ一口っと……。

「そそ、こんな感じでお好みの量をかけてっと…………うはっ!」

しょっぱなレモンだったけど無茶苦茶香りが良い。
あ、でもお魚の風味を邪魔しないの香りで決して口の中がレモンでいっぱい!なんて状況にはならないので安心してほしい。 酸味もほどよいしばっちりですね。

「すっごいさっぱり……やべえやべえよこれ。いくらでも食えるんじゃない……?」

レモンをかけて初めて気が付いたけど、このお魚けっこう脂乗っててこってりというか……まあさっぱりでは無いのね。

でもレモンかけるとそれがちょうど良くなるの。すばらしい。

もういくらでも食えそうです……。




「もう食えない……」

お腹ちょう張ってる。

「ちょっと横になるニャ」

タマさんてばすっかり丸くなってしまって……。
俺もひとの事言えないけどね!

いつぞやのスイカ並みに食ったんじゃなかろうか。
お腹に刺激与えたら何か出てきそうである。

「見張りは頼んだニャー」

「あいあい」

あ、見張りね。
見張りぐらいなら出来るよ! 俺に任せて好きなだけ横になると良いのです。
じっくり観察させて頂こうじゃないの。




ってな訳でタマさんが横になっているそばで見張りを始めたんだけどー……じっとしているだけなのにまたお腹空いてきた。
あんだけ食ったのにどうなってんの、俺のお腹。

「焼けたかなー」

お魚の切り身はおっそろしいぐらい余っているので少しだけ拝借して串に刺してあぶってみる。

……ちょっと焼きすぎたかな。 かたいや。

やっぱタマさん焼くの上手かったんだなあ……と思い、ふとタマさんの方を見てみると丁度もぞもぞと身を起こすところであった。

数時間は寝てたし、お腹も落ち着いたんかねー。

「ん……んん??」

タマさん、しばらくぼーっとしてたと思ったら、ゆっくりとこっちに歩いてきましたよ?

「タ、タマさん……寝ぼけてる?」

俺、地面に敷物ひいて胡坐かいてたんだけど、タマさんが足をかけたかと思うと確かめるようにゆっくりと登ってきたのである。 そしてそのまま寝転がると動かなくなる。

これ、絶対寝ぼけてる……焚火の前で猫を膝に乗せて……天国かな?

こうして俺は暫くの間この至福の時を過ごすのであった。






そしてまた数時間が経過したころ……俺はちょっと困った事態になっていた。

「どうしよう……」

ものすっごい足が痺れてる。
一番下になってるのは痺れて感覚がない……で、もう片方はちょっと触っただけでビリビリくるやつだ。

……まあ痺れに関してはタマさんまったく動かないし、ちょっと血液通ってなくて不安になるけどこのまま耐えることは出来なくもない。

問題はですね。

「……トイレいきたい」

いい加減トイレが我慢の限界なのですよ!
大は耐えれるかもだけど小は無理! 俺の膀胱はもう決壊寸前よ!!

こうなったらタマさんにどいて貰うしかないのだけども……。

「あの、タマさんトイレにですね……あ、何でもないですぅ」

あかん。
ちょっとぐいぐい押してみたら思いっきり唸られた……。
やばい、膀胱やばい。 まじやばいこのままじゃ社会的に死んでまう。


……そして、じつはもう一つ不味そうなことが起きていたりする。

「やっぱこっち近付いてるよなあ……」

柑橘類作るために周囲に張り巡らせた根っこに何やら大きな振動……おそらく人間サイズの何かが歩く振動を感知したのだ。
それは徐々にではあるがこちらへと向かっているようである、しかも数が複数なので1体だけではない。

おそらくモンスターだろう……そんなわけでタマさん起こさないと不味そうなんだけど……どうすんべ。


なんて考えていた時であった。
ふいに近づいてくる連中の速度が上がったのである。

間違いなく走ってこちらに向かっている……こ、これは起こすしかナイヨネ??
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