上 下
65 / 156
森の賢人

「64話」

しおりを挟む
ギルドの扉を潜ると何時もの様にいくつもの視線がこちらへと向けられる。
ただ、普段と違うのはすぐ切られるであろう視線がそのまま俺へと向いたままということだろうか。

「……なんか見られてるなあ」

何時も一緒のタマさんおらんからだろなあ。

見ろよあいつ今日はぼっちだぜ!
本当だぜ、こいつは傑作だ!ぎゃははは!

みたいな。


いや、おらんけどね? こんな笑い方するの……いたら見てみたいわ。

「はよ終わらそ」

まあ、何にせよジロジロ見られるのはあまり好きじゃない。
なのでぱぱっと済ませてしまおう。



長いぞリタさんの列!

相変わらず人がいっぱいでしたわ。
お隣は空いてたけどね。

とりあえずリタさんに挨拶すませてっと。

「次の方どうぞ……今日はタマさんと一緒ではないのですね」

「ええ、お腹壊しちゃったみたいで今日は俺一人です」

スイカあんなに食べるから……まあ俺も何ですケドネ。

とりあえず今日はぼっちなのです。
一人じゃ寂しいので臨時パーティーを所望するのですよ。

一人でもゴブリンなら余裕だろうけど。油断よくない。
何あるか分からないし、俺もなんだかんだ言ってまだペーペーだからね?超新人なのよ。

「そうでしたか。 では本日は臨時でパーティを?」

「ええ……組めそうなところってありますか? 盾の慣らしで表層に行きたいんですけど」

さすがリタさん話が早いぞう。
出来れば例の罠?があるところに行きたいけど難しいだろうなあ。 あれ新人がやったら普通は死ぬって話だし。

「そうですね、ウッドさんはもうタマさんとパーティ組んでいますし勧誘云々についても問題ないでしょう……それでいきますと月下の荘園のメンバーが欠員が出たとかで募集がありますよ」

「おお……どこかで聞いた名前」

なんだろう、すごく全身がムズムズする。
前にもあったよなこの感覚……。

「以前、パーティを募集していた際に声を上げたところですね……」

あー、思い出した。
結構大所帯のところだったかな?

「レベル上げを目的として表層でゴブリンを大量に狩る予定みたいです。 人数は4人で内1人は高レベルの方ですね」

「おー……引率かな? パーティ内でやってる低レベルの底上げかなーと思うんだけど、俺入っていいのかな……?」

引率いるってことはあれだよね、例のゴブリンいっぱい出てくる罠っぽいの使うってことよね。
すごーく行きたいけど、そんな身内パーティに入っちゃっていいんかしらね。

「問題ありませんよ。そうじゃなければ募集はしませんので」

うん……言われてみれば確かにその通りだ。
なんだろうね、その辺は割と緩いのかしらねー。

緩い分にはこちらは助かるからありがたい話だけども。

「そりゃそうですね。 それじゃお願いしても良いですか?」

「ええ、少しお待ちください」

とりあえずお願いしちゃおう。
いやー、どんな人がくるかもうドッキドキですわ。

やっぱ筋肉むっきむきな人がくるんだろうか?
あ、でも低レベルの人は普通かも知れない。

もしかすると女性が居たりなんかするかもしれないぞ!やったぜ!


「リタさん募集してたやつ、人が来たんだって?」

「ええ、こちらウッドさんです」

おあー、ムキムキだ。
高レベルの人ってやっぱムキムキなのか。

……でもゴリさんほどじゃないかな。


リタさんに呼ばれてきた人は、背の高い筋肉質な男性で髪も全体的に短くてなんかこう……スポーツマン?みたいな感じである。
装備はわりと軽装だけど、何か高級そうな感じの装備である。

やっぱそのへんは高レベルってことなんだろねー。

「ああ……あんたか、今日はタマさんと一緒じゃないんだな?」

「お腹壊したみたいでして……」

あ、俺のことはやっぱ知ってるのね。
そりゃパーティの募集してた時に声かけてくれたところだ……し……。

……断ってタマさんと組んだの怒ってないヨネ?

「なるほどな。 俺はスオウ。今日はこいつらの面倒見役でな、戦闘にはあまり参加しないがよろしく頼む」

そう言ってにこっと……と言うには迫力あるけど、笑みを浮かべて俺に手を差し出すスオウさん。
あ、怒ってないぽい? よかったよかった。

んじゃま、握手っと。

「ウッドです。今日一日ですがよろしくお願いします」

俺が挨拶するとスオウさんの後方にいた数名がこちらへと近寄ってくる。
あれが残りの3人かなー? みんな若いねー。

「ペールです……」

ちょっと暗い雰囲気のある男子です。
盾と剣もってるけど前衛なのかなー。

「マ、マールです!」

ちょっと背の低い元気な女子です。
あ、こちらも盾と剣もってますね、前衛かー。

「……キュカです」

なんか警戒心いっぱいな女子です。
……うん、みんな盾と剣もってマスネ。

てか女子率高いぞ。ひゃっほい。

「確か盾の慣らしだったかな? まあ、あいつらの様子見て程々に倒してくれ、全部とったりはしないでくれよ?」

「ええ、そのへんは調整していきますんで大丈夫っす」

その辺は弁えておりますとも。
ちょいちょいつまみ食いできれば取り合えず良いのです
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~

こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。 それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。 かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。 果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!? ※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。

チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!

芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️ ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。  嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる! 転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。 新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか?? 更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!

平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。

モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。 日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。 今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。 そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。 特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

処理中です...