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森の賢人
「54話」
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ちょうどお昼時になった頃だろうか。
俺とタマさんは小部屋の探索を終えて外へと出て来ていた。
「結構いろいろあったねー」
ぐるっと回って宝箱を開けまくった結果、両手で抱えきれない程と言うと大袈裟ではあるが、片手では持ちきれないぐらいの量のお宝をゲットする事が出来た。
「ニャ。 5個もあるとか無茶苦茶ついてるニャ。 それにたぶんその兜はあたりニャ」
タマさんにとっても一度に5個見つかるなんてことは早々ないようだ。
俺の後ろをついて歩きその姿は機嫌良さげに見える。あとで触らせて貰おう。
「あ、やっぱし? 何かそんな感じしたんだよねー。 装備品はこれだけだったし……うへへ」
宝箱の中身は全部ばらばらで共通性とかはなさそうである。
最初に見つけた小判型の金属。液体の入った瓶に、モノクル。この辺りは当たりなのかは分からない。
ただ宝石の散りばめられた豪華な箱とこの古びた感じのする兜は当たりなんじゃないかと思ってる。兜はタマさんも当たりと言ってるしね。
タマさん的には豪華な箱はどうでも良さげではあるが、これ間違いなく高いと思う。偽物だったら泣くけど。
「良いのだったらウッドが使うニャ」
「ぬ?」
「今更だけと頭剥き出しは不味いニャ。 木で覆われてないから脆いし、そこやられたら一発ニャ」
「……おおう」
衝撃の事実である。
今更だけど、本当に今更だけど俺って頭剥き出しじゃん。
補正も何もないから下手すりゃオークの一撃でやられかねない……。
なんで今まで気付かなかったし!
こりゃお言葉に甘えて兜つけるっきゃないね。
……呪いの装備だったりしないヨネ?
まあつけるのはギルドに戻ってからだーね。呪いの装備とかだったら洒落にならないし。
とりあえず能力の検証始めますかね。ちょうどお昼時だし良いタイミングである。
「能力検証するのかニャ?」
「うん、まずは……オーガから吸って果物作ってみようかなと」
「ニャ!」
最初の検証はあれだ。
敵から吸った生命力?とか使って果物を本当に作れるか、作れる場合はどれぐらい吸う必要があるのかを確かめたい。
前者のほうは既に何度か果物作ってはいるので問題なくいけるとは思ってる。
ただいずれも吸ってから時間置いて作ってるので吸った直後……というか吸いながら作れるかを念の為確認しとく感じである。
そんな訳で早速やってみようと思う……ちょうどオーガが1体襲いかかってきたので、まずは蔦で雁字搦めにして、と。
「んじゃまずはメロン……」
体に傷をつけて根っこをぶっさし、吸い始めると同時にメロンを作り始める。
「普通に出来たね」
程なくして美味しそうなメロンが1個実る。
体が萎んでいることも無いし、オーガも力尽きている。
メロン1個作るのにオーガ1体分の生命力が必要となることが判明した。
吸いながら作ることも成功したし、検証の結果は万々歳なのであるが……。
「1体で1個かあ……てかこの能力思ってたよりかなりえぐいぞ」
オーガなんだけど……吸っていく内に徐々に弱っていって、こうテレビとかだとモザイク掛かりそうな状態になって……最終的にぱらぱらと砂のように砕けてしまったのである。
人前じゃ絶対やっちゃダメな能力だ、これ。
ま、まあ面出来たから良しとしよう!
「ほい、タマさん。食べてていいよ」
「ニャ!」
タマさんも気にして無さそうだしね。
てかタマさんの魔法のほうがえぐいか、あの魔法はかなりやばかったよね。
「それじゃ次っと……」
今日はまだ作ってない果物を作る予定だったので次にいってみようと思う。
作るのはあれだ、安くて美味しくて栄養一杯な黄色い果物。バナナである。
「バナナってこっち向きに生えるのかー……あれ? バナナって木だっけ? ……ま、いっか」
思ってたのと逆向きに生えた。てか量多いなっ!
3房あるぞこれ。
「それ何ニャ?」
「バナナって果物。 美味しいよ」
タマさんも初めてみる果物に興味津々である。
良い感じに熟して美味しそう。匂いも良い感じ。
間違いなく美味しいだろうけど、少しネットリした食感をタマさんが気に入ってくれるかどうか……。
てかもうメロン食い終わったんかい。
「ニャ。 これも良い匂いニャー……でも量がすごいニャ」
量多いよね、やっぱ。
これタマさんが苦手だったら一人で食べるの?無理ゲーじゃない?
「うん……あ、美味しい」
あ、でも美味しいからいけるかも知れない。
バナナって元から美味しいとは思ってたけど、俺産のだとさらに美味しい。
「うまいニャ」
タマさんも気に入ったらしくもりもり食べてくれてる。
これタマさん。皮放り投げちゃいけません。
まったくもう。
しかし、バナナか。
バナナ食べていると思い出すんだよなあ。
「……ゴリさん元気かなあ」
ゴリさん今頃どうしているだろうか。
元気にやっていると良いけど……こんなこと考えてるの本人にばれたらぶん殴られそう。
俺とタマさんは小部屋の探索を終えて外へと出て来ていた。
「結構いろいろあったねー」
ぐるっと回って宝箱を開けまくった結果、両手で抱えきれない程と言うと大袈裟ではあるが、片手では持ちきれないぐらいの量のお宝をゲットする事が出来た。
「ニャ。 5個もあるとか無茶苦茶ついてるニャ。 それにたぶんその兜はあたりニャ」
タマさんにとっても一度に5個見つかるなんてことは早々ないようだ。
俺の後ろをついて歩きその姿は機嫌良さげに見える。あとで触らせて貰おう。
「あ、やっぱし? 何かそんな感じしたんだよねー。 装備品はこれだけだったし……うへへ」
宝箱の中身は全部ばらばらで共通性とかはなさそうである。
最初に見つけた小判型の金属。液体の入った瓶に、モノクル。この辺りは当たりなのかは分からない。
ただ宝石の散りばめられた豪華な箱とこの古びた感じのする兜は当たりなんじゃないかと思ってる。兜はタマさんも当たりと言ってるしね。
タマさん的には豪華な箱はどうでも良さげではあるが、これ間違いなく高いと思う。偽物だったら泣くけど。
「良いのだったらウッドが使うニャ」
「ぬ?」
「今更だけと頭剥き出しは不味いニャ。 木で覆われてないから脆いし、そこやられたら一発ニャ」
「……おおう」
衝撃の事実である。
今更だけど、本当に今更だけど俺って頭剥き出しじゃん。
補正も何もないから下手すりゃオークの一撃でやられかねない……。
なんで今まで気付かなかったし!
こりゃお言葉に甘えて兜つけるっきゃないね。
……呪いの装備だったりしないヨネ?
まあつけるのはギルドに戻ってからだーね。呪いの装備とかだったら洒落にならないし。
とりあえず能力の検証始めますかね。ちょうどお昼時だし良いタイミングである。
「能力検証するのかニャ?」
「うん、まずは……オーガから吸って果物作ってみようかなと」
「ニャ!」
最初の検証はあれだ。
敵から吸った生命力?とか使って果物を本当に作れるか、作れる場合はどれぐらい吸う必要があるのかを確かめたい。
前者のほうは既に何度か果物作ってはいるので問題なくいけるとは思ってる。
ただいずれも吸ってから時間置いて作ってるので吸った直後……というか吸いながら作れるかを念の為確認しとく感じである。
そんな訳で早速やってみようと思う……ちょうどオーガが1体襲いかかってきたので、まずは蔦で雁字搦めにして、と。
「んじゃまずはメロン……」
体に傷をつけて根っこをぶっさし、吸い始めると同時にメロンを作り始める。
「普通に出来たね」
程なくして美味しそうなメロンが1個実る。
体が萎んでいることも無いし、オーガも力尽きている。
メロン1個作るのにオーガ1体分の生命力が必要となることが判明した。
吸いながら作ることも成功したし、検証の結果は万々歳なのであるが……。
「1体で1個かあ……てかこの能力思ってたよりかなりえぐいぞ」
オーガなんだけど……吸っていく内に徐々に弱っていって、こうテレビとかだとモザイク掛かりそうな状態になって……最終的にぱらぱらと砂のように砕けてしまったのである。
人前じゃ絶対やっちゃダメな能力だ、これ。
ま、まあ面出来たから良しとしよう!
「ほい、タマさん。食べてていいよ」
「ニャ!」
タマさんも気にして無さそうだしね。
てかタマさんの魔法のほうがえぐいか、あの魔法はかなりやばかったよね。
「それじゃ次っと……」
今日はまだ作ってない果物を作る予定だったので次にいってみようと思う。
作るのはあれだ、安くて美味しくて栄養一杯な黄色い果物。バナナである。
「バナナってこっち向きに生えるのかー……あれ? バナナって木だっけ? ……ま、いっか」
思ってたのと逆向きに生えた。てか量多いなっ!
3房あるぞこれ。
「それ何ニャ?」
「バナナって果物。 美味しいよ」
タマさんも初めてみる果物に興味津々である。
良い感じに熟して美味しそう。匂いも良い感じ。
間違いなく美味しいだろうけど、少しネットリした食感をタマさんが気に入ってくれるかどうか……。
てかもうメロン食い終わったんかい。
「ニャ。 これも良い匂いニャー……でも量がすごいニャ」
量多いよね、やっぱ。
これタマさんが苦手だったら一人で食べるの?無理ゲーじゃない?
「うん……あ、美味しい」
あ、でも美味しいからいけるかも知れない。
バナナって元から美味しいとは思ってたけど、俺産のだとさらに美味しい。
「うまいニャ」
タマさんも気に入ったらしくもりもり食べてくれてる。
これタマさん。皮放り投げちゃいけません。
まったくもう。
しかし、バナナか。
バナナ食べていると思い出すんだよなあ。
「……ゴリさん元気かなあ」
ゴリさん今頃どうしているだろうか。
元気にやっていると良いけど……こんなこと考えてるの本人にばれたらぶん殴られそう。
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