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第27話
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ーー話は戻り、俺が拠点を出立してから数十分後
現在俺は、目的地を目指し湖泳いでいる。とくに急ぐ予定もないので移動速度上昇系スキルは特に使用していない。スキル『隠密』を使用し気配を消し、マップで魔獣の位置と目標地点を確認しながらただただ泳ぐ事、更に数十分。多少、ワイルドフィッシュを見かけた程度でこれといった事は無く、ただひたすらマップの指す方角へと進む。
ああー暇だなぁ。安全なのは良いが移動が結構めんどくさいな。だが、スキルを使って移動するには少々問題がある。それは、最近気が付いた事で、スキルを使いすぎると走っている時のように疲れるということだ。まあ、これはあくまで自分の主観的な判断で真偽のほどは分からないのだが……確かめるすべもないので、結局自分の考えを尊重することにした。それで、こんなことから、戦闘前から疲れているのはよくないと思って、移動ではスキルを使えないのだ。残念なことに。はぁ、暇だなぁ。
ーーそして、更に数十分後
……っと、そろそろ目的地だな。左奥にはとても壮大な川、ラグアナ川が見える。そして右手前には、小さな川。そしてその川岸には、ごつごつとした岩があり、川に沿って森の方まで続いている。
ふぅー、やっと着いた。スキルを使っていないとはいえ、一時間近くひたすら泳ぐのは結構疲れるな。ひたすら暇だったせいもあるかもしれないが……。まあ、何よりようやく目的地だ。……よし、ちょっと休んだら、早速レベル上げと行くか。
スキル『水中呼吸』を使い、水中へ潜る。そして、マップで敵の位置を把握。
スキル使用と同時にマップ上に多くの赤点が表示された。
よっしゃ、やっぱり結構いるな。一応一つ一つタップして、魔獣の種類とレベルを確認するか。
赤点をタップする要領で注目して一つ一つ確認していく。ーーよし、これで全部表示されたな。水中蜥蜴は大体七割くらいか、やっぱり結構いる。これなら、レベル上げにも十分だろう。それじゃあ、近いやつから片っ端に狩っていくか。
ーーそしてひたすら水中蜥蜴を狩ること数時間後
次の獲物を探そうとマップを見ると、自分より少し離れたところに見慣れない青色の点が表示された。
なんだこれ? 青点なんて初めて見た。しかも何か二つあるし。……まあ、取り敢えずタップしてみるか。タップする要領で注目してーーよし表示された。えーと、って、っは⁉ ヒューマンだと……⁉ ヒューマンって、人間だよな。それはつまり、人間が俺の近くにいるってことだよな。前にもあった人かな、いやでも二人いるし仲間の人でもいるのか。取り敢えず会ってみたいな。場所は……小さい川のちょっと行ったところか。それじゃあ、一度水から出て、木々と草に隠れながら近づいてみよう。
陸へ上がり、木々をかき分けマップを頼りに進むと聞きなれない言語の話し声が聞こえてきた。
ん? 何語だ? もちろん日本じゃないし英語でもない。……まあ、いいか。そっと、この草から顔をだして覗いてみよう。
近くの草むらから、川の方へ顔を出すと、そこへ青点の二人が姿を現した。黄髪と青緑髪の青年。食料確保のために魔獣討伐へ来たジグムとアルレッドだ。もちろん、この二人の事を主人公はしらない。
見た目から見て、どっちもあの男じゃない。今度の人は冒険者かな。ひょっとしたら、前に見かけた人も冒険者かもしれないが、どっちかといえば暗殺者って感じだったし。まあでも、いかにもファンタジーって感じでなんか良いな、こういうの。
そう考えていると、青緑髪の青年がこっちを向き剣を構え、黄髪の青年に向かって何かを言い出した。そうすると、急いで黄髪の青年も剣を構えこちらを睨み始めた。
いったいどうしたというのだろう。こっちに何か居るのかな? でも何か俺が睨まれているような。……あっ、今の俺は魔獣だった。しかも、確か数が少なく珍しいんだったか、アクアスネークって。……それは警戒されるよな。んー。少し名残惜しいが、ここは引くか。流石に魔獣の見た目のままじゃあ、コンタクトをとるのは無理だろうし。それになにより、今にも黄髪の青年が剣で斬りかかってきそうで怖い。ここは、スキルを使って逃げよう。さようなら人間諸君、またいつか。
スキル『疾走』。
スキル使用時の速さは本気で飛ばした自転車くらい。たとえあの人が足が早くても、追いつくことはできないだろう。それに、ここは森。人間では木々があるせいで俺を追いかけるのは困難だろう。これなら十分逃げ切れる。ーーこうして俺は冒険者二人から逃げ切った。
ーー一方、ジグムとアルレッドは
「くそ! 逃げられた」
俺が湖へ逃げ切ったとき、ジグムは悔しそうに声を上げた。
「仕方ないさ。相手は蛇だし、ここは森なんだから追いかけるのは難しいんだ。それに、あいつは普通より早かったから、何かスキルを使用していたんだろう」
「そうだが、あいつはアクアスネークだぜ。あんな珍しい魔獣、持っていったら、あいつらの度肝を抜けたのによ」
はあ……。もう探し続けてから数時間たっているのに、まだ一匹も討伐できていない。これでは、度肝を抜くどころではない。下手したら、このまま討伐できず依頼失敗だ。何とかしなくては。
この状況を打開しようと、アルレッドは考える。だが、どうにかしようにも、打開案が浮かばない。かといって、このままジグムに任せていては余計に見つけることはできないだろう。そう思った。特に案はないが、取り敢えず拠点付近へ戻って探したほうが良いそう思った。ジグムが言ったように、あまり狩られていない所の方が効率がいいかもしれないが、現状で全然魔獣を見つけられていないからだ。全然見つけられていない所よりも、実際に自分たちが魔獣を戦っていた拠点付近の方が確実性がある。
「なあ、ジグム。拠点まで遠いし、暗くなってから戻るには、流石に森は危険だと思うんだ。だから、今から戻って拠点付近で魔獣を討伐しないか?」
「拠点付近じゃあ、強い魔獣は狩られてて雑魚しか残っていないだろ」
「だが魔獣を討伐できず依頼を失敗するより、雑魚を持って行って笑われる方がよっぽどましだろ?」
「それはそうだが……はぁ。わかった、そうする。だが雑魚でもできるだけ沢山狩るぞ。質でダメなら、数だ」
「わかったよ。ジグム。大量に狩って、あいつらの度肝を抜いてやろう」
「ああ! もちろんだ!」
ジグム達は、拠点付近に戻り夕方になるまで魔獣を狩り続けた。そして場所は移り、拠点内のとあるキャンプ。魔獣の討伐を終え、集合場所向かうと、そこにはすでに第1班のほかのパーティーが来ていた。
「よお、お前達。遅かったじゃねえか。それで魔獣は討伐できたのか?」
俺達が到着するや否や荒くれものの男はジグム達を挑発するように、声をかけてきた。
「ああ。とは、言ってもホワイトマウスしか取れなかった。残念だ」
ジグムは背負っているバックパックからホワイトマウスを取り出し、そう答えた。だが、残念と言っておきながら、顔は笑っていて、とても残念そうには見えない。
「ホワイトマウスって言えば、Eランクのカスじゃねえか。そんなの農民でも倒せるぜ。流石Dランク、やっぱり半人前だな。ちなみに俺達はダイアウルフを七匹も討伐してきたぜ」
そしてそう言い。荒くれのの男達は大笑いする。
「それより、さっさと納品してこようぜ」
「ああ」
そして少し歩き、兵士が立っている納品用のキャンプへと着いた。
「よお、兵隊さん。食料調達の依頼の納品に来たぜ」
「ご苦労だった。調査が終われば、報酬は上乗せされるだろう。それでは魔獣を出してくれ」
「ああ」
そういって、ジグム達以外の他の冒険者たちは次々に魔獣を渡す。
「おい、どうしたお前ら? さっさと討伐してきた魔獣を納品しろよ。それとも、雑魚しか討伐できなかったから恥ずかしいのか」
「いや、ちょっとな。今から納品するぜ」
ジグムとアルフレッドは、にやにやしながら、先程見せたホワイトマウス一匹とアルフレッドの腰に掛けているポーチからホワイトマウスを取り出した。その数三十匹。どう見たってポーチには入りきらない量である。
「な、なんだこの数! それに、そのポーチはもしかしてアイテムボックスか!」
荒くれものの男は、声を出し驚く。他の冒険者たちも同様に驚いた表情をする。それもそのはずだ。アイテムボックスとは、魔道具の一つで、生きている生物以外無限に物を収納できるというものだ。形状は様々でカバンの形をしているものもあれば、袋の形をしたものもある。冒険者に限らず誰もが欲しがる物だが、魔道具であるため、値段が高く、持っているのは一部の一級冒険者と貴族や大商人くらいだ。
「アイテムボックス持ちとは凄いですね。それにこの数。Eランクの魔獣ですが、食糧難の現状ではとても助かります」
「いえいえ、それほどでもないですよー」
勝ち誇った顔で荒くれものの男を眺め、ジグムとアルフレッドは見事、彼らの度肝を抜くことに成功したのであった。
現在俺は、目的地を目指し湖泳いでいる。とくに急ぐ予定もないので移動速度上昇系スキルは特に使用していない。スキル『隠密』を使用し気配を消し、マップで魔獣の位置と目標地点を確認しながらただただ泳ぐ事、更に数十分。多少、ワイルドフィッシュを見かけた程度でこれといった事は無く、ただひたすらマップの指す方角へと進む。
ああー暇だなぁ。安全なのは良いが移動が結構めんどくさいな。だが、スキルを使って移動するには少々問題がある。それは、最近気が付いた事で、スキルを使いすぎると走っている時のように疲れるということだ。まあ、これはあくまで自分の主観的な判断で真偽のほどは分からないのだが……確かめるすべもないので、結局自分の考えを尊重することにした。それで、こんなことから、戦闘前から疲れているのはよくないと思って、移動ではスキルを使えないのだ。残念なことに。はぁ、暇だなぁ。
ーーそして、更に数十分後
……っと、そろそろ目的地だな。左奥にはとても壮大な川、ラグアナ川が見える。そして右手前には、小さな川。そしてその川岸には、ごつごつとした岩があり、川に沿って森の方まで続いている。
ふぅー、やっと着いた。スキルを使っていないとはいえ、一時間近くひたすら泳ぐのは結構疲れるな。ひたすら暇だったせいもあるかもしれないが……。まあ、何よりようやく目的地だ。……よし、ちょっと休んだら、早速レベル上げと行くか。
スキル『水中呼吸』を使い、水中へ潜る。そして、マップで敵の位置を把握。
スキル使用と同時にマップ上に多くの赤点が表示された。
よっしゃ、やっぱり結構いるな。一応一つ一つタップして、魔獣の種類とレベルを確認するか。
赤点をタップする要領で注目して一つ一つ確認していく。ーーよし、これで全部表示されたな。水中蜥蜴は大体七割くらいか、やっぱり結構いる。これなら、レベル上げにも十分だろう。それじゃあ、近いやつから片っ端に狩っていくか。
ーーそしてひたすら水中蜥蜴を狩ること数時間後
次の獲物を探そうとマップを見ると、自分より少し離れたところに見慣れない青色の点が表示された。
なんだこれ? 青点なんて初めて見た。しかも何か二つあるし。……まあ、取り敢えずタップしてみるか。タップする要領で注目してーーよし表示された。えーと、って、っは⁉ ヒューマンだと……⁉ ヒューマンって、人間だよな。それはつまり、人間が俺の近くにいるってことだよな。前にもあった人かな、いやでも二人いるし仲間の人でもいるのか。取り敢えず会ってみたいな。場所は……小さい川のちょっと行ったところか。それじゃあ、一度水から出て、木々と草に隠れながら近づいてみよう。
陸へ上がり、木々をかき分けマップを頼りに進むと聞きなれない言語の話し声が聞こえてきた。
ん? 何語だ? もちろん日本じゃないし英語でもない。……まあ、いいか。そっと、この草から顔をだして覗いてみよう。
近くの草むらから、川の方へ顔を出すと、そこへ青点の二人が姿を現した。黄髪と青緑髪の青年。食料確保のために魔獣討伐へ来たジグムとアルレッドだ。もちろん、この二人の事を主人公はしらない。
見た目から見て、どっちもあの男じゃない。今度の人は冒険者かな。ひょっとしたら、前に見かけた人も冒険者かもしれないが、どっちかといえば暗殺者って感じだったし。まあでも、いかにもファンタジーって感じでなんか良いな、こういうの。
そう考えていると、青緑髪の青年がこっちを向き剣を構え、黄髪の青年に向かって何かを言い出した。そうすると、急いで黄髪の青年も剣を構えこちらを睨み始めた。
いったいどうしたというのだろう。こっちに何か居るのかな? でも何か俺が睨まれているような。……あっ、今の俺は魔獣だった。しかも、確か数が少なく珍しいんだったか、アクアスネークって。……それは警戒されるよな。んー。少し名残惜しいが、ここは引くか。流石に魔獣の見た目のままじゃあ、コンタクトをとるのは無理だろうし。それになにより、今にも黄髪の青年が剣で斬りかかってきそうで怖い。ここは、スキルを使って逃げよう。さようなら人間諸君、またいつか。
スキル『疾走』。
スキル使用時の速さは本気で飛ばした自転車くらい。たとえあの人が足が早くても、追いつくことはできないだろう。それに、ここは森。人間では木々があるせいで俺を追いかけるのは困難だろう。これなら十分逃げ切れる。ーーこうして俺は冒険者二人から逃げ切った。
ーー一方、ジグムとアルレッドは
「くそ! 逃げられた」
俺が湖へ逃げ切ったとき、ジグムは悔しそうに声を上げた。
「仕方ないさ。相手は蛇だし、ここは森なんだから追いかけるのは難しいんだ。それに、あいつは普通より早かったから、何かスキルを使用していたんだろう」
「そうだが、あいつはアクアスネークだぜ。あんな珍しい魔獣、持っていったら、あいつらの度肝を抜けたのによ」
はあ……。もう探し続けてから数時間たっているのに、まだ一匹も討伐できていない。これでは、度肝を抜くどころではない。下手したら、このまま討伐できず依頼失敗だ。何とかしなくては。
この状況を打開しようと、アルレッドは考える。だが、どうにかしようにも、打開案が浮かばない。かといって、このままジグムに任せていては余計に見つけることはできないだろう。そう思った。特に案はないが、取り敢えず拠点付近へ戻って探したほうが良いそう思った。ジグムが言ったように、あまり狩られていない所の方が効率がいいかもしれないが、現状で全然魔獣を見つけられていないからだ。全然見つけられていない所よりも、実際に自分たちが魔獣を戦っていた拠点付近の方が確実性がある。
「なあ、ジグム。拠点まで遠いし、暗くなってから戻るには、流石に森は危険だと思うんだ。だから、今から戻って拠点付近で魔獣を討伐しないか?」
「拠点付近じゃあ、強い魔獣は狩られてて雑魚しか残っていないだろ」
「だが魔獣を討伐できず依頼を失敗するより、雑魚を持って行って笑われる方がよっぽどましだろ?」
「それはそうだが……はぁ。わかった、そうする。だが雑魚でもできるだけ沢山狩るぞ。質でダメなら、数だ」
「わかったよ。ジグム。大量に狩って、あいつらの度肝を抜いてやろう」
「ああ! もちろんだ!」
ジグム達は、拠点付近に戻り夕方になるまで魔獣を狩り続けた。そして場所は移り、拠点内のとあるキャンプ。魔獣の討伐を終え、集合場所向かうと、そこにはすでに第1班のほかのパーティーが来ていた。
「よお、お前達。遅かったじゃねえか。それで魔獣は討伐できたのか?」
俺達が到着するや否や荒くれものの男はジグム達を挑発するように、声をかけてきた。
「ああ。とは、言ってもホワイトマウスしか取れなかった。残念だ」
ジグムは背負っているバックパックからホワイトマウスを取り出し、そう答えた。だが、残念と言っておきながら、顔は笑っていて、とても残念そうには見えない。
「ホワイトマウスって言えば、Eランクのカスじゃねえか。そんなの農民でも倒せるぜ。流石Dランク、やっぱり半人前だな。ちなみに俺達はダイアウルフを七匹も討伐してきたぜ」
そしてそう言い。荒くれのの男達は大笑いする。
「それより、さっさと納品してこようぜ」
「ああ」
そして少し歩き、兵士が立っている納品用のキャンプへと着いた。
「よお、兵隊さん。食料調達の依頼の納品に来たぜ」
「ご苦労だった。調査が終われば、報酬は上乗せされるだろう。それでは魔獣を出してくれ」
「ああ」
そういって、ジグム達以外の他の冒険者たちは次々に魔獣を渡す。
「おい、どうしたお前ら? さっさと討伐してきた魔獣を納品しろよ。それとも、雑魚しか討伐できなかったから恥ずかしいのか」
「いや、ちょっとな。今から納品するぜ」
ジグムとアルフレッドは、にやにやしながら、先程見せたホワイトマウス一匹とアルフレッドの腰に掛けているポーチからホワイトマウスを取り出した。その数三十匹。どう見たってポーチには入りきらない量である。
「な、なんだこの数! それに、そのポーチはもしかしてアイテムボックスか!」
荒くれものの男は、声を出し驚く。他の冒険者たちも同様に驚いた表情をする。それもそのはずだ。アイテムボックスとは、魔道具の一つで、生きている生物以外無限に物を収納できるというものだ。形状は様々でカバンの形をしているものもあれば、袋の形をしたものもある。冒険者に限らず誰もが欲しがる物だが、魔道具であるため、値段が高く、持っているのは一部の一級冒険者と貴族や大商人くらいだ。
「アイテムボックス持ちとは凄いですね。それにこの数。Eランクの魔獣ですが、食糧難の現状ではとても助かります」
「いえいえ、それほどでもないですよー」
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