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第10話 魔法の才能は子供に継承

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「パパも腹ペコでリアムと一緒にご飯を食べたいんだけど、今は忙しいからごめんよ」

リアムが朝食をみんなで食べようと呼びかけましたが、ジャックはわざとらしく口を曲げて泣きそうな顔をして頭を項垂うなだれた。お腹が減っているけど、今は忙しいらしく残念そうに言い食事を断った。

朝食が取れないほど朝からなのか?父親の言葉にリアムは詳しく聞きたいと思ったが、せわしなく足早に歩いて行ってしまった。これまでは数年間の習慣で家族一緒に食事をしていたのに、苦しい言い訳をするものだと、去って行く父親の背中を見ながらやるせない表情になる。

「ママと食べましょうね」
「うん、兄さんは?」

父親がいなくなると、先ほどまで固い表情をして黙っていた母が話しかけてきた。ママがいたら寂しくないでしょ?という感じで母性愛を発揮してきます。どうして父に話しかけなかったのか?と言いそうになりましたが、聞いたら母を悲しい気持ちにさせてしまうだろうと思い、賢いリアムは胸にとどめる。

顔を向けたまま小さく頷き、兄のことを聞いた。トーマスはのほほんとした性格で趣味は寝ること。それによりずっと前から食事は、好きな時に部屋でとることを許される特権を有していた。

もちろん一緒に食事をする事もあるが、ゆるりとしたマイペースのトーマスの都合に限られる。だから兄弟の仲は比較的良く怒って論争することなど全くない。

「トーマスはまだ寝てるかしら?」
「お寝坊さんだ」
「うふふふ、そうね」

そう言うとなんだか頼りなさそうな兄トーマスであるが、卓越した能力を秘めていた。父ジャックは魔法が苦手で初心者クラスの魔法しか使えませんが、母ソフィアの家系は魔法に長けているので、その才能は子供に受け継がれていた。

それぞれ5歳の時に魔法の適性診断テストを行ったら、兄弟どちらも素晴らしい結果で成績優秀者と認定されたのです。これにはソフィアも心の底から嬉しくて、歓喜に満たされた顔で子供をほめた。その頃は夫婦関係が良好で手を取り合って喜びを共有した。

「――リアムは僕の子供じゃないのは分かっているぞ!」
「そんな大声で威嚇いかくするのはやめて。子供に聞こえるでしょ」
「大丈夫だよ。それより過去に道を踏み外して夫を裏切ったことを認めたらどうなんだ?」

その翌日、リアムは両親が喧嘩している決定的な瞬間を目撃する。家の中で遊んでいた時、公爵邸の広い屋敷を探検していたら遊び疲れてそのまま眠ってしまう。数時間後、突然すさまじい勢いで爆発する声が聞こえて目が覚める。

息が詰まるほど驚いて何だろう?と思い聞き耳を立てると、父が母に向かって大声でわめき散らしている。リアムの位置からは両親の姿は見えるけど逆では気がつかない。小さな子供しか入れない場所でわずかな隙間から覗いて見ていたのだ。

勝手に劣等感を夫に妻は怒りが宿った視線を向けた。ジャックはソフィアの落ち度を認めさせたくて、今日は何がなんでも言いくるめるつもりでいた。有無を言わさない粗暴な口調で血も涙もない言葉で責め続けた。

「あなたはどうかしてるわ」
「赤の他人の子を育てさせる托卵された僕の身にもなってみろ」
「私はそんな事はしておりません」

自分はパパの子供じゃないの?リアムは父親の話し声を思いがけなく耳にしてしまい、ショックのあまり身動きもせずに呆然としていた。わけもなく涙がにじんできて、父の理不尽な思い込みの意見に純粋な心はを受けて苦しむことになった。
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