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第18話

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「何で今日に限って来るんだよ」
「届いた手紙には、国王様のサインがありましたから断れるわけないでしょう?」
「そうだ……オリビアに来てもらえるように僕がお父様にお願いしたんだ」

いくら父でも国王にそんなことを頼むことは間違っている。彼女はまったく呆れた理屈もあったものだと言う思いです。

今日に限って来なくてもいいだろう……この発言が決定打となり、これ以上アルフィと話し合ったところで、どう考えても納得できないと感じた。

「あなたからも何かございますか?」

オリビアは、その場にしゃがみ込んで両手で顔を覆っている令嬢に視線を向けて問いかける。アルフィと話していて精神的に疲れていたからだろうか、令嬢に対してもう怒る気力も湧いてこない。

「オリビア様、大変申し訳ございません……お許しください」
「殿下とは別れていますから、そんなに私の顔色をうかがう事はありませんよ」
「えっ?そ、そうでしたか……」

令嬢は頭をうなだれてかしこまって後悔と反省しきりであった。そんな控えめな姿を目にしたオリビアは気の毒そうな顔で王子とは別れていると告げる。

すると令嬢は面食らってぽかんとする。どうやらアルフィとオリビアが婚約を破棄していることを知らなかったらしい。

「会話をしていたら殿下に迫られまして……でも私が悪いので……」

それでも身の縮む思いで説明してきます。喋っていたら王子が距離を縮めてきて、無言で見つめているだけだったが、突然強く抱き寄せられ二人は惹かれ合うようにキスを交わす。

令嬢は終始うつむきがちで不安そうに言葉を選んで話す。そして何故か?王子を擁護する姿勢を見せた。断る事の出来ない流されやすい性格で、またたく間に彼のペースに乗ってしまったんだろう。

「私はあなた達と同じ空気を吸いたくありません。それではごきげんよう」

近寄りたがる彼を弾き飛ばすように言って、オリビアは別れの言葉を残し病室を出ていく。

アルフィは見捨てられたのではないか、との不安を覚えているような顔だった。この状況で心が痛まない人間は人の心を持っていない。二度と会えはしないだろうと諦めている様子。

彼女は帰りの馬車の中でつらく目からとめどもなく涙をながしていた。なめられたと思って、怒りで胸をいっぱいにする。

王子との関係は夢だった。これからは新しい恋を求める。だが、始められるのかわからなくて悩む。失恋の傷があったりすると、なかなか踏み出せないけど気を取り直して気ままな旅に向かう。

二人はそれからしばらく会わなかった。


*****
新作「婚約したのに好きな人ができたと告白された「君の妹で僕の子を妊娠してる」彼に衝撃の罰が下される。」を投稿しました。よろしくお願いします。
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