24 / 66
第24話
しおりを挟む
「うわあああああああああああああああああああぁぁ!」
「ひいいいいいいいいいいいぃぃ!!!」
「助けてくれえええええええええええええええええええええぇぇぇー!」
「ぎゃあああああああああぁぁぁぁぁーー!!!!」
「殺されるううううううううううううううぅぅーーーっ!!」
「うわあああぁああぁあああぁああぁあああぁああぁああっ!!!」
カトリーヌの攻撃魔法が直撃した盗賊たちの断末魔の悲鳴が、爆風と混ざり合って聞こえてくる。周辺一帯の森林が跡形もなく消えるほどの威力を発揮した。
相手が悪すぎた……。自分たちは、この場から無事に逃げられるのだろうか?その攻撃をかわそうとして、必死に逃げまわる盗賊たちの思いだった。とんでもない化け物に出会ったみたいに、驚くべき速さで逃走する。だが誰一人として助かりそうにない。
盗賊を囲む火炎が龍のように見えて、次々に容赦なく燃やし尽くしていく。現実離れした恐ろしい光景を目撃したレオナルドは、言葉を失くして石のように固まって身動きできなくなっていた。
「――カトリーヌ!君はこんなに凄い女性だったんだね!!!」
「だから大丈夫って言ったでしょ?……私自然好きなのにな……」
この時のレオナルドは英雄に憧れる少年の目をしていた。全てが終わった時には、自然が消滅して更地化されて、もうすっかり見通しが良くなって遠くまで見渡せた。実は、緑の森を見つめるのが大好きなカトリーヌは、豊かな自然を燃やし尽くしてしまって悲しそうにつぶやくのでした。
カトリーヌの燃えるような赤い髪と火魔法が得意なことから《烈火の炎髪》と異名を持つ。その手のエピソードが多数あり、非常に優れた魔法師として彼女は名声を得ることとなった。
「――カトリーヌ令嬢がいくら強くても勝負にならん……アリーナ令嬢は強さの桁が違うのだ」
「お父様、失礼ながら申し上げますがアリーナがカトリーヌのように、攻撃魔法が得意とか上位精霊と契約しているとか聞いたことはありませんが……」
国王は、今までとは違う妙に真剣な顔をして語る。第一級の魔法師として数々の栄誉を受けたカトリーヌでも勝てないだろうと……。
次の瞬間、ガブリエルが急に思い出したように口を開いた。アリーナは魔法に長けていたり、精霊とも契約していないと僅かに抗議の声をもらす。一般的な価値観から魔法の効果は、精霊の強さによって決まるのです。
「……アリーナ令嬢の強さはそのような事ではないのだ。まるで別次元の能力で比較にならん。完全に人の理解を超えておるのだっ!!!!」
「負けると思っていたら最初から勝てません。それに私が諦めたらレオナルドの人生は終了ですよ?」
実際に、アリーナの能力は魔法とか精霊という類のものではない。彼女が生まれながらに持っている特別な能力と言える。
国王の雷鳴のような怒鳴り声にもカトリーヌの決意は少しも揺るぎなかった。何と言われようとアリーナに挑むと答える。カトリーヌの心の中は、勝てないかもしれないけど立ち向かわなければいけないと思っていた。
「待つのだ!カトリーヌよ、息子の命はどうでもよい!!!だが、お腹には息子の忘れ形見がおるだろう。みすみす死なせるわけにはいかぬ」
両親は息子の命はずっと前に諦めているが、カトリーヌのお腹には可愛い孫がいるのです。国王は前に立ち塞がって捨て身の覚悟で止めた。異様に鋭い目でカトリーヌを見つめていた。
「……通してくださいませ。女にはどうしても戦いを避けられない時があるのです。彼のことを死ぬほど愛していますから……彼女がどんなに強くても私は絶対に諦めないっっ!!!!!!!」
「ちょ待てよ!お父様の言うように、アリーナと戦えば君が非常に危険な事態になりそうな気がする」
「ひいいいいいいいいいいいぃぃ!!!」
「助けてくれえええええええええええええええええええええぇぇぇー!」
「ぎゃあああああああああぁぁぁぁぁーー!!!!」
「殺されるううううううううううううううぅぅーーーっ!!」
「うわあああぁああぁあああぁああぁあああぁああぁああっ!!!」
カトリーヌの攻撃魔法が直撃した盗賊たちの断末魔の悲鳴が、爆風と混ざり合って聞こえてくる。周辺一帯の森林が跡形もなく消えるほどの威力を発揮した。
相手が悪すぎた……。自分たちは、この場から無事に逃げられるのだろうか?その攻撃をかわそうとして、必死に逃げまわる盗賊たちの思いだった。とんでもない化け物に出会ったみたいに、驚くべき速さで逃走する。だが誰一人として助かりそうにない。
盗賊を囲む火炎が龍のように見えて、次々に容赦なく燃やし尽くしていく。現実離れした恐ろしい光景を目撃したレオナルドは、言葉を失くして石のように固まって身動きできなくなっていた。
「――カトリーヌ!君はこんなに凄い女性だったんだね!!!」
「だから大丈夫って言ったでしょ?……私自然好きなのにな……」
この時のレオナルドは英雄に憧れる少年の目をしていた。全てが終わった時には、自然が消滅して更地化されて、もうすっかり見通しが良くなって遠くまで見渡せた。実は、緑の森を見つめるのが大好きなカトリーヌは、豊かな自然を燃やし尽くしてしまって悲しそうにつぶやくのでした。
カトリーヌの燃えるような赤い髪と火魔法が得意なことから《烈火の炎髪》と異名を持つ。その手のエピソードが多数あり、非常に優れた魔法師として彼女は名声を得ることとなった。
「――カトリーヌ令嬢がいくら強くても勝負にならん……アリーナ令嬢は強さの桁が違うのだ」
「お父様、失礼ながら申し上げますがアリーナがカトリーヌのように、攻撃魔法が得意とか上位精霊と契約しているとか聞いたことはありませんが……」
国王は、今までとは違う妙に真剣な顔をして語る。第一級の魔法師として数々の栄誉を受けたカトリーヌでも勝てないだろうと……。
次の瞬間、ガブリエルが急に思い出したように口を開いた。アリーナは魔法に長けていたり、精霊とも契約していないと僅かに抗議の声をもらす。一般的な価値観から魔法の効果は、精霊の強さによって決まるのです。
「……アリーナ令嬢の強さはそのような事ではないのだ。まるで別次元の能力で比較にならん。完全に人の理解を超えておるのだっ!!!!」
「負けると思っていたら最初から勝てません。それに私が諦めたらレオナルドの人生は終了ですよ?」
実際に、アリーナの能力は魔法とか精霊という類のものではない。彼女が生まれながらに持っている特別な能力と言える。
国王の雷鳴のような怒鳴り声にもカトリーヌの決意は少しも揺るぎなかった。何と言われようとアリーナに挑むと答える。カトリーヌの心の中は、勝てないかもしれないけど立ち向かわなければいけないと思っていた。
「待つのだ!カトリーヌよ、息子の命はどうでもよい!!!だが、お腹には息子の忘れ形見がおるだろう。みすみす死なせるわけにはいかぬ」
両親は息子の命はずっと前に諦めているが、カトリーヌのお腹には可愛い孫がいるのです。国王は前に立ち塞がって捨て身の覚悟で止めた。異様に鋭い目でカトリーヌを見つめていた。
「……通してくださいませ。女にはどうしても戦いを避けられない時があるのです。彼のことを死ぬほど愛していますから……彼女がどんなに強くても私は絶対に諦めないっっ!!!!!!!」
「ちょ待てよ!お父様の言うように、アリーナと戦えば君が非常に危険な事態になりそうな気がする」
2
お気に入りに追加
3,088
あなたにおすすめの小説
生まれたときから今日まで無かったことにしてください。
はゆりか
恋愛
産まれた時からこの国の王太子の婚約者でした。
物心がついた頃から毎日自宅での王妃教育。
週に一回王城にいき社交を学び人脈作り。
当たり前のように生活してしていき気づいた時には私は1人だった。
家族からも婚約者である王太子からも愛されていないわけではない。
でも、わたしがいなくてもなんら変わりのない。
家族の中心は姉だから。
決して虐げられているわけではないけどパーティーに着て行くドレスがなくても誰も気づかれないそんな境遇のわたしが本当の愛を知り溺愛されて行くストーリー。
…………
処女作品の為、色々問題があるかとおもいますが、温かく見守っていただけたらとおもいます。
本編完結。
番外編数話続きます。
続編(2章)
『婚約破棄されましたが、婚約解消された隣国王太子に恋しました』連載スタートしました。
そちらもよろしくお願いします。
婚約者のいる側近と婚約させられた私は悪の聖女と呼ばれています。
鈴木べにこ
恋愛
幼い頃から一緒に育ってきた婚約者の王子ギルフォードから婚約破棄を言い渡された聖女マリーベル。
突然の出来事に困惑するマリーベルをよそに、王子は自身の代わりに側近である宰相の息子ロイドとマリーベルを王命で強制的に婚約させたと言い出したのであった。
ロイドに愛する婚約者がいるの事を知っていたマリーベルはギルフォードに王命を取り下げるように訴えるが聞いてもらえず・・・。
カクヨム、小説家になろうでも連載中。
※最初の数話はイジメ表現のようなキツイ描写が出てくるので注意。
初投稿です。
勢いで書いてるので誤字脱字や変な表現が多いし、余裕で気付かないの時があるのでお気軽に教えてくださるとありがたいです٩( 'ω' )و
気分転換もかねて、他の作品と同時連載をしています。
【書庫の幽霊王妃は、貴方を愛することができない。】
という作品も同時に書いているので、この作品が気に入りましたら是非読んでみてください。
敗戦して嫁ぎましたが、存在を忘れ去られてしまったので自給自足で頑張ります!
桗梛葉 (たなは)
恋愛
タイトルを変更しました。
※※※※※※※※※※※※※
魔族 vs 人間。
冷戦を経ながらくすぶり続けた長い戦いは、人間側の敗戦に近い状況で、ついに終止符が打たれた。
名ばかりの王族リュシェラは、和平の証として、魔王イヴァシグスに第7王妃として嫁ぐ事になる。だけど、嫁いだ夫には魔人の妻との間に、すでに皇子も皇女も何人も居るのだ。
人間のリュシェラが、ここで王妃として求められる事は何もない。和平とは名ばかりの、敗戦国の隷妃として、リュシェラはただ静かに命が潰えていくのを待つばかり……なんて、殊勝な性格でもなく、与えられた宮でのんびり自給自足の生活を楽しんでいく。
そんなリュシェラには、実は誰にも言えない秘密があった。
※※※※※※※※※※※※※
短編は難しいな…と痛感したので、慣れた文字数、文体で書いてみました。
お付き合い頂けたら嬉しいです!
女官になるはずだった妃
夜空 筒
恋愛
女官になる。
そう聞いていたはずなのに。
あれよあれよという間に、着飾られた私は自国の皇帝の妃の一人になっていた。
しかし、皇帝のお迎えもなく
「忙しいから、もう後宮に入っていいよ」
そんなノリの言葉を彼の側近から賜って後宮入りした私。
秘書省監のならびに本の虫である父を持つ、そんな私も無類の読書好き。
朝議が始まる早朝に、私は父が働く文徳楼に通っている。
そこで好きな著者の本を借りては、殿舎に籠る毎日。
皇帝のお渡りもないし、既に皇后に一番近い妃もいる。
縁付くには程遠い私が、ある日を境に平穏だった日常を壊される羽目になる。
誰とも褥を共にしない皇帝と、女官になるつもりで入ってきた本の虫妃の話。
更新はまばらですが、完結させたいとは思っています。
多分…
全てを諦めた令嬢の幸福
セン
恋愛
公爵令嬢シルヴィア・クロヴァンスはその奇異な外見のせいで、家族からも幼い頃からの婚約者からも嫌われていた。そして学園卒業間近、彼女は突然婚約破棄を言い渡された。
諦めてばかりいたシルヴィアが周りに支えられ成長していく物語。
※途中シリアスな話もあります。
夫に離縁が切り出せません
えんどう
恋愛
初めて会った時から無口で無愛想な上に、夫婦となってからもまともな会話は無く身体を重ねてもそれは変わらない。挙げ句の果てに外に女までいるらしい。
妊娠した日にお腹の子供が産まれたら離縁して好きなことをしようと思っていたのだが──。
冷遇された王妃は自由を望む
空橋彩
恋愛
父を亡くした幼き王子クランに頼まれて王妃として召し上げられたオーラリア。
流行病と戦い、王に、国民に尽くしてきた。
異世界から現れた聖女のおかげで流行病は終息に向かい、王宮に戻ってきてみれば、納得していない者たちから軽んじられ、冷遇された。
夫であるクランは表情があまり変わらず、女性に対してもあまり興味を示さなかった。厳しい所もあり、臣下からは『氷の貴公子』と呼ばれているほどに冷たいところがあった。
そんな彼が聖女を大切にしているようで、オーラリアの待遇がどんどん悪くなっていった。
自分の人生よりも、クランを優先していたオーラリアはある日気づいてしまった。
[もう、彼に私は必要ないんだ]と
数人の信頼できる仲間たちと協力しあい、『離婚』して、自分の人生を取り戻そうとするお話。
貴族設定、病気の治療設定など出てきますが全てフィクションです。私の世界ではこうなのだな、という方向でお楽しみいただけたらと思います。
処刑直前ですが得意の転移魔法で離脱します~私に罪を被せた公爵令嬢は絶対許しませんので~
インバーターエアコン
恋愛
王宮で働く少女ナナ。王様の誕生日パーティーに普段通りに給仕をしていた彼女だったが、突然第一王子の暗殺未遂事件が起きる。
ナナは最初、それを他人事のように見ていたが……。
「この女よ! 王子を殺そうと毒を盛ったのは!」
「はい?」
叫んだのは第二王子の婚約者であるビリアだった。
王位を巡る争いに巻き込まれ、王子暗殺未遂の罪を着せられるナナだったが、相手が貴族でも、彼女はやられたままで終わる女ではなかった。
(私をドロドロした内争に巻き込んだ罪は贖ってもらいますので……)
得意の転移魔法でその場を離脱し反撃を始める。
相手が悪かったことに、ビリアは間もなく気付くこととなる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる