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第3話
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「お祖母様に会いに行けばお母様や妹達が苦しめられ、ぞんざいに扱われて見ていて辛いのです。それに…」
「それになんだ?言いたいことがあるなら男らしくはっきりと答えろ!」
レオは以前から祖母が母親と妹に冷たい態度で接することに心に引っ掛かりを感じていた。逆に自分に対しては優しくする祖母に頭の中は混乱する。
どうして祖母は自分や父親には思いやりがある丁寧な態度で穏やかな笑顔を向けてくれるのに、なんで母親と妹達には冷酷な顔になり厳しい態度で接するのか?いくら考えても納得することができない。長男なりに祖母の歪んだ感情に苦しめられていたのです。
途中で言葉が詰まるレオに父親のアイザックは隠さずにはっきりと話せと圧力のかかった口調で強制する。
「お祖母様はいつも僕に抱きついてくまなく体を触ってきて正直に申し上げて気持ち悪いのです」
レオは父親に押された気分を味わいながら遠慮した不安そうな表情で、祖母が自分にしつこく触れてきて本能的な不快感を感じると今まで心の中に秘めていた本当の気持ちを口に出した。
その瞬間、甲高く短い音が部屋中に響き渡る。アイザックが目の前にいたレオの顔を思いきり右腕を振って叩きレオは空中に浮かび勢いよくバタリと背中から倒れ込む。
「レオおおおお!!」
「大げさだな…軽く叩いただけじゃないか…」
「ものすごい勢いでありったけの力で叩いておいてよくそんなことが言えますね!」
その状況をじっと観察していたエマ夫人は絶望的に高らかな叫び声を上げて倒れているレオに大声を出してがむしゃらに呼びかけるが反応はない。レオは口から泡を吹き意識を失っていた。
「あなた!レオに何てことするの!大人が7歳の子供を殴るなんて正気ですか!気が触れています!」
「だってレオがお祖母様のことを…僕が誰よりも大切にしている母親のことを気持ち悪いと言ったんだぞ!叩いたのは当然の躾だ!」
「レオの言う通りよ!あなたのほうこそ私や娘が苦しんでいるのを分かっていながら、お母様に何も言わずに従って助けてくれなかった!」
「そんなことはない!僕だって母親に遠回しに注意していたよ…」
「言い訳をなさらないで!あなたがお母様と一緒に見下した顔で私を小馬鹿にして笑っているのをこの目で何度も見ています!あなたは最低な夫です!」
義母と会うのが本当に辛くて家に帰ってからは習慣のように立ち直れないほどの沈んだ気分になった。
ひどくやるせない心模様になりながらも繰り返しエマ夫人は決死の表情で夫に義母の態度を改めるようにと相談していた。でもアイザックは笑い話のように適当にやり過ごして聞き流したりあやふやに返事をしていたのです。
「それになんだ?言いたいことがあるなら男らしくはっきりと答えろ!」
レオは以前から祖母が母親と妹に冷たい態度で接することに心に引っ掛かりを感じていた。逆に自分に対しては優しくする祖母に頭の中は混乱する。
どうして祖母は自分や父親には思いやりがある丁寧な態度で穏やかな笑顔を向けてくれるのに、なんで母親と妹達には冷酷な顔になり厳しい態度で接するのか?いくら考えても納得することができない。長男なりに祖母の歪んだ感情に苦しめられていたのです。
途中で言葉が詰まるレオに父親のアイザックは隠さずにはっきりと話せと圧力のかかった口調で強制する。
「お祖母様はいつも僕に抱きついてくまなく体を触ってきて正直に申し上げて気持ち悪いのです」
レオは父親に押された気分を味わいながら遠慮した不安そうな表情で、祖母が自分にしつこく触れてきて本能的な不快感を感じると今まで心の中に秘めていた本当の気持ちを口に出した。
その瞬間、甲高く短い音が部屋中に響き渡る。アイザックが目の前にいたレオの顔を思いきり右腕を振って叩きレオは空中に浮かび勢いよくバタリと背中から倒れ込む。
「レオおおおお!!」
「大げさだな…軽く叩いただけじゃないか…」
「ものすごい勢いでありったけの力で叩いておいてよくそんなことが言えますね!」
その状況をじっと観察していたエマ夫人は絶望的に高らかな叫び声を上げて倒れているレオに大声を出してがむしゃらに呼びかけるが反応はない。レオは口から泡を吹き意識を失っていた。
「あなた!レオに何てことするの!大人が7歳の子供を殴るなんて正気ですか!気が触れています!」
「だってレオがお祖母様のことを…僕が誰よりも大切にしている母親のことを気持ち悪いと言ったんだぞ!叩いたのは当然の躾だ!」
「レオの言う通りよ!あなたのほうこそ私や娘が苦しんでいるのを分かっていながら、お母様に何も言わずに従って助けてくれなかった!」
「そんなことはない!僕だって母親に遠回しに注意していたよ…」
「言い訳をなさらないで!あなたがお母様と一緒に見下した顔で私を小馬鹿にして笑っているのをこの目で何度も見ています!あなたは最低な夫です!」
義母と会うのが本当に辛くて家に帰ってからは習慣のように立ち直れないほどの沈んだ気分になった。
ひどくやるせない心模様になりながらも繰り返しエマ夫人は決死の表情で夫に義母の態度を改めるようにと相談していた。でもアイザックは笑い話のように適当にやり過ごして聞き流したりあやふやに返事をしていたのです。
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