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第9話
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この頃はナルセスが嬉しそうで機嫌が良さそうな感じがした。愛する人の笑顔を見るとアイシャも喜ばしい気分になり、夕食の会話がいつも以上に膨らむ。
次の日が休みという事もあり、酒を飲みながら夜遅くまでたくさんの愉快な話をしていた。自分達はまだこんなにも仲の良い夫婦でいられる。夫婦ってこんなにも良いものだったのかとアイシャは心を揺さぶられる。
でもまずは義姉のルージュからナルセスを救い出し、問題を解決しなければならないと密かに誓う。
「ナルセス約束通り今日は出かけましょう」
「えっ?」
「どうしたの?昨日の話し覚えてないの?」
「ごめん……アイシャとの会話が楽しくて酒がすすんで酔って記憶にない。でも久しぶりに二人でどこか出かけるのもいいね」
「じゃあ買い物に付き合って」
「わかった」
こんな話し合いも普通の夫婦なら当たり前の会話なのだろう。昨日の夜は二人で長い間おしゃべりしていたが、アイシャは夫婦でこんなに自然に語り合いをしているのが嬉しかった。
ナルセスと一緒に行動するのはいつ以来だろう?最近までナルセスが休みの日でさえも何かと理由をつけて一人で出かけていた。
ところが今日は二人で並んで腕を組みながら歩いている。そんな姿なんて想像出来るはずもない夫婦関係だった。こんなに心地がよくて安らぎを感じるものなのかとアイシャは心の底から喜ぶ気持ちを隠しきれない。
「これなんてどう?」
「いいと思うよ」
夫婦で店に入り商品を選んで二人で買う。こんな日常的に見られる何の変哲もないイベントが今のアイシャとナルセスには新鮮でとても充実感を覚えるものだった。
そこはアイシャが頻繁に足を運ぶお洒落の店。いつもアイシャが着ているドレスと似た感じのたくさんの素敵なドレスや好んで身につけているアクセサリーが並んでいる。
「アイシャ様いつもお越しいただきありがとうございます。今日は旦那様もご一緒なんですね」
「フフッ、そうなんです」
アイシャがよくドレスや飾りつけを買う店、そんな店すらもナルセスは今日まで知らなかった。そのことがアイシャに申し訳ない気持ちになった。
「ねぇナルセス、このドレスはどう?」
「うん、よく似合うんじゃないか。試着してみたら?」
「そうするわ」
アイシャが店員に案内されて試着室に向かった。
「今日のアイシャ様はとても嬉しそうです」
ナルセスが待っていると従業員が話しかけてきた。
「そうなんですか?」
「はい、常日頃から付き添いの方はいらっしゃいますが、いつもはお一人でお選びになっていましたので……」
「夫として情けなく恥ずかしい限りです」
その瞬間にまたアイシャに対して、いたたまれない気持ちになる。今まで放ったらかして愚かな振る舞いをアイシャにしてきたのだと、ナルセスは頭をかいて後悔と反省しきりでした。
次の日が休みという事もあり、酒を飲みながら夜遅くまでたくさんの愉快な話をしていた。自分達はまだこんなにも仲の良い夫婦でいられる。夫婦ってこんなにも良いものだったのかとアイシャは心を揺さぶられる。
でもまずは義姉のルージュからナルセスを救い出し、問題を解決しなければならないと密かに誓う。
「ナルセス約束通り今日は出かけましょう」
「えっ?」
「どうしたの?昨日の話し覚えてないの?」
「ごめん……アイシャとの会話が楽しくて酒がすすんで酔って記憶にない。でも久しぶりに二人でどこか出かけるのもいいね」
「じゃあ買い物に付き合って」
「わかった」
こんな話し合いも普通の夫婦なら当たり前の会話なのだろう。昨日の夜は二人で長い間おしゃべりしていたが、アイシャは夫婦でこんなに自然に語り合いをしているのが嬉しかった。
ナルセスと一緒に行動するのはいつ以来だろう?最近までナルセスが休みの日でさえも何かと理由をつけて一人で出かけていた。
ところが今日は二人で並んで腕を組みながら歩いている。そんな姿なんて想像出来るはずもない夫婦関係だった。こんなに心地がよくて安らぎを感じるものなのかとアイシャは心の底から喜ぶ気持ちを隠しきれない。
「これなんてどう?」
「いいと思うよ」
夫婦で店に入り商品を選んで二人で買う。こんな日常的に見られる何の変哲もないイベントが今のアイシャとナルセスには新鮮でとても充実感を覚えるものだった。
そこはアイシャが頻繁に足を運ぶお洒落の店。いつもアイシャが着ているドレスと似た感じのたくさんの素敵なドレスや好んで身につけているアクセサリーが並んでいる。
「アイシャ様いつもお越しいただきありがとうございます。今日は旦那様もご一緒なんですね」
「フフッ、そうなんです」
アイシャがよくドレスや飾りつけを買う店、そんな店すらもナルセスは今日まで知らなかった。そのことがアイシャに申し訳ない気持ちになった。
「ねぇナルセス、このドレスはどう?」
「うん、よく似合うんじゃないか。試着してみたら?」
「そうするわ」
アイシャが店員に案内されて試着室に向かった。
「今日のアイシャ様はとても嬉しそうです」
ナルセスが待っていると従業員が話しかけてきた。
「そうなんですか?」
「はい、常日頃から付き添いの方はいらっしゃいますが、いつもはお一人でお選びになっていましたので……」
「夫として情けなく恥ずかしい限りです」
その瞬間にまたアイシャに対して、いたたまれない気持ちになる。今まで放ったらかして愚かな振る舞いをアイシャにしてきたのだと、ナルセスは頭をかいて後悔と反省しきりでした。
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