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第7話
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「レベッカ凄いじゃないか!」
「え……?」
「おいリアム、俺たちは素晴らしい幸運の女神を拾ってしまったらしいぞ」
「そうだな、信じられない思いだ。どうやら強運に恵まれているようだな」
レオンが大絶賛の言葉を発してくると、レベッカは驚きに打たれる。さらにレオンはレベッカのことを幸運の女神だと陽気な話しっぷりです。リアムもそれに乗っかって何だか子供みたいにあどけなく喜んで二人から賞賛の嵐が巻き起こった。
その直後、座って話を聞いていたレオンとリアムは不意に立ち上がると、レベッカの前にきて片膝をついて、胸の前で両手を握りしめて祈るような姿勢をとっている。レベッカはいきなり近づいてきた二人に、少々戸惑い気味で心が乱れていた。
「ちょっとレオンとリアム何してるのよ」
「レベッカが困ってるじゃないの」
アメリアとマリンが敬意を表すような仕草をする二人に、呆れ顔で声を掛けてきた。やれやれといった感じで顔を歪ませている。
二人はレベッカの前でしばらく、熱心にお祈りを捧げると慈むような愛情のこもった視線を送って、じっとレベッカを見つめながら元の位置へ戻っていく。何で?という思いでレベッカは照れて少し顔を赤くしていた。再び話しはじめて、皆揃って貴族だと聞かされた。
「――えぇーっ!全員貴族様なんですか?礼儀知らずですみません!」
田舎の小さな村で育った平民のレベッカは、雷に打たれたような心地で思わず声を上げる。自分が泣いてしまって貴族のご子息たちに励まされ優しく慰められていたことが、顔から火がでる思いで恥ずかしくなった。
でもレオンとリアムの動作が板についていて貴族だと納得できるような気がした。そう思いながらレベッカは居ても立ってもいられない恐ろしさを感じる。
「俺たちの立場は気にしなくていい」
いち早くレベッカの心情を察したレオンが、自分たちが貴族ということは気にしなくていいと言ってくれた。
貴族と言えば、国で最も強大な権力を与えられているので、彼らに対して失礼なことをしてしまったと唇が震えて落ち着かない気分を味わっていた。しかも平民に対して威圧的な態度で偉そうに振る舞う貴族を偶然目撃したこともある。レベッカはその光景を思い出して頭がすっかり混乱していたのだった。
「そうよ、レオンの言う通り貴族なんて別に大したものじゃないからね」
「普通に呼んでくれて構いませんよ」
「親が貴族ってだけで調子に乗って威張り散らしてる奴もいるけど俺たちは違うからな?」
「え……?」
「おいリアム、俺たちは素晴らしい幸運の女神を拾ってしまったらしいぞ」
「そうだな、信じられない思いだ。どうやら強運に恵まれているようだな」
レオンが大絶賛の言葉を発してくると、レベッカは驚きに打たれる。さらにレオンはレベッカのことを幸運の女神だと陽気な話しっぷりです。リアムもそれに乗っかって何だか子供みたいにあどけなく喜んで二人から賞賛の嵐が巻き起こった。
その直後、座って話を聞いていたレオンとリアムは不意に立ち上がると、レベッカの前にきて片膝をついて、胸の前で両手を握りしめて祈るような姿勢をとっている。レベッカはいきなり近づいてきた二人に、少々戸惑い気味で心が乱れていた。
「ちょっとレオンとリアム何してるのよ」
「レベッカが困ってるじゃないの」
アメリアとマリンが敬意を表すような仕草をする二人に、呆れ顔で声を掛けてきた。やれやれといった感じで顔を歪ませている。
二人はレベッカの前でしばらく、熱心にお祈りを捧げると慈むような愛情のこもった視線を送って、じっとレベッカを見つめながら元の位置へ戻っていく。何で?という思いでレベッカは照れて少し顔を赤くしていた。再び話しはじめて、皆揃って貴族だと聞かされた。
「――えぇーっ!全員貴族様なんですか?礼儀知らずですみません!」
田舎の小さな村で育った平民のレベッカは、雷に打たれたような心地で思わず声を上げる。自分が泣いてしまって貴族のご子息たちに励まされ優しく慰められていたことが、顔から火がでる思いで恥ずかしくなった。
でもレオンとリアムの動作が板についていて貴族だと納得できるような気がした。そう思いながらレベッカは居ても立ってもいられない恐ろしさを感じる。
「俺たちの立場は気にしなくていい」
いち早くレベッカの心情を察したレオンが、自分たちが貴族ということは気にしなくていいと言ってくれた。
貴族と言えば、国で最も強大な権力を与えられているので、彼らに対して失礼なことをしてしまったと唇が震えて落ち着かない気分を味わっていた。しかも平民に対して威圧的な態度で偉そうに振る舞う貴族を偶然目撃したこともある。レベッカはその光景を思い出して頭がすっかり混乱していたのだった。
「そうよ、レオンの言う通り貴族なんて別に大したものじゃないからね」
「普通に呼んでくれて構いませんよ」
「親が貴族ってだけで調子に乗って威張り散らしてる奴もいるけど俺たちは違うからな?」
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