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第8話

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そうこうしている内にエマは気づいたら馬車に乗って移動していた。

馬車の中にいるのはエマにリアムにメイド服を着たエマの雑用をする女性が一人。

馬車の外には数人の護衛が馬車を守り囲むようにして馬に乗り並んで走っている。それだけでなく馬車から少し距離をとって追いかけている護衛も数人いる。

公爵令嬢とは優先順位の高い重要な人物なのだから不測の事態に備えるためにこのくらいは当然の警備である。

30分近く走った後、不意に馬車が停止した。

「エマお嬢様少し確認して来ます」リアムが言う。

少しするとリアムが戻ってきた。

「この先に二人が乗っている馬車が止まっているみたいですね」

リアムが指で示す先には二人の乗った馬車がいると聞かされてエマは感情がこみ上げる。

「ここから歩くの?」
「今は様子を見ているところです。聞いたところによると、どうやら二人は買い物をしているようです」
「買い物? 呆れました。二人はデートしてるのね…」
「ご指摘の通りかと……」

この後、地獄が待っているのにいい気なものだと思っていました。

エマは婚約者のレオンへの気持ちが吹っ切れているので、それなら最後のデートを心ゆくまで楽しんでくださいねという余裕のある心情でした。

二人のデートが終わるまで馬車の中で待機することになり、再び馬車が出発したのは2時間後でした。

レオンとイリスがデートをしている近くには尾行している者がいるので二人を見失うことはありません。

二人は馬車に乗り込み動きだしたと伝達がありいつもの密会する宿に向かったという。
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