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第24話
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翌朝目覚めてみると、窓から射し込んでいる陽の光に爽やかな風を感じる。だがそんな気分は僅かな間で、ハリーの心にあるのは不安であった。
昨日イリスと大声で口論した時のことが脳裏にくっきりと浮かんで、自分は疲れてぐっすり寝てしまったらしいことは何となく分かる。
「なんだろう?」
ベッドから起き上がったハリーは、背伸びをして強張った筋肉をほぐす。再びイリスと話し合うために移動しようとした。その時ふと見るとテーブルの上に手紙が置いてある。
「イリス!」
手に取って考え事をするような顔で見つめてから、いきなり全力で叫んだ。
「ハリー?」
部屋中に響く耳をつんざく絶叫が聞こえたエレナがかけつけた時には、ハリーはショックで自分を見失ってしまい苦しそうに身を縮めていた。
不思議そうな顔をしてエレナは声をかけますが、ハリーからは何の反応もなかった。エレナは突っ立ったまま、ハリーの姿をぼんやり眺めているうちに、イリスがいないことに気がついて怖くなってくる。
「イリス様は……?」
悲しげな困惑しきった面持ちで話しかけても、みっともなく床に座り込んだハリーからは質問にたいする返答はない。
「ハリー!イリス様はどこにいるの!」
エレナは思いきりハリーの体を揺さぶってやりたい衝動を抑えられなかった。だが身動きひとつしないで、まるで置物みたいでもある。
眉間に深いしわを寄せたエレナの表情は苦悩が浮かび上がる。ハリーは哀しみを押し隠した切ない顔のまま固まっていたのだ。
「起きなさい!」
エレナはテーブルに置かれた丸形でガラス製の大きな花瓶を両手で掴むと、逆さまにしてハリーの頭上に水を浴びせた。
「……冷たい……な、なんだ?」
肌に冷たいものが流れてきたと感じたハリーは、取り乱した様子で意識がはっきりする。自分の顔や体が濡れていることに気がつくと、眠りから覚めたのは恐らくそのせいだろうと思う。
顔を上げると目の前にはエレナの不機嫌全開の顔面があった。愛らしい顔立ちのエレナが、冷ややかな視線を送ってきている。
「ハリー!なに間抜けな顔をしてるの!」
「エレナ?どうして怒って……?」
恐ろしい目を光らせて立っているエレナが、きつい口調で切り出してくる。怖くてたまらないのでハリーは遠慮気味に問いかけてみた。
「イリス様はどうしたの!」
「あっ!」
エレナの怒鳴り声に弾かれるようにしてハリーは思わずハッとなる。そうだ自分はイリスからの置き手紙を読んで、驚きと悲しみのあまり闇の底に沈んでしまったのだ。
瞬時に考えをめぐらせ、頭の中の記憶を探り当ててエレナに語り始めるのだった。
昨日イリスと大声で口論した時のことが脳裏にくっきりと浮かんで、自分は疲れてぐっすり寝てしまったらしいことは何となく分かる。
「なんだろう?」
ベッドから起き上がったハリーは、背伸びをして強張った筋肉をほぐす。再びイリスと話し合うために移動しようとした。その時ふと見るとテーブルの上に手紙が置いてある。
「イリス!」
手に取って考え事をするような顔で見つめてから、いきなり全力で叫んだ。
「ハリー?」
部屋中に響く耳をつんざく絶叫が聞こえたエレナがかけつけた時には、ハリーはショックで自分を見失ってしまい苦しそうに身を縮めていた。
不思議そうな顔をしてエレナは声をかけますが、ハリーからは何の反応もなかった。エレナは突っ立ったまま、ハリーの姿をぼんやり眺めているうちに、イリスがいないことに気がついて怖くなってくる。
「イリス様は……?」
悲しげな困惑しきった面持ちで話しかけても、みっともなく床に座り込んだハリーからは質問にたいする返答はない。
「ハリー!イリス様はどこにいるの!」
エレナは思いきりハリーの体を揺さぶってやりたい衝動を抑えられなかった。だが身動きひとつしないで、まるで置物みたいでもある。
眉間に深いしわを寄せたエレナの表情は苦悩が浮かび上がる。ハリーは哀しみを押し隠した切ない顔のまま固まっていたのだ。
「起きなさい!」
エレナはテーブルに置かれた丸形でガラス製の大きな花瓶を両手で掴むと、逆さまにしてハリーの頭上に水を浴びせた。
「……冷たい……な、なんだ?」
肌に冷たいものが流れてきたと感じたハリーは、取り乱した様子で意識がはっきりする。自分の顔や体が濡れていることに気がつくと、眠りから覚めたのは恐らくそのせいだろうと思う。
顔を上げると目の前にはエレナの不機嫌全開の顔面があった。愛らしい顔立ちのエレナが、冷ややかな視線を送ってきている。
「ハリー!なに間抜けな顔をしてるの!」
「エレナ?どうして怒って……?」
恐ろしい目を光らせて立っているエレナが、きつい口調で切り出してくる。怖くてたまらないのでハリーは遠慮気味に問いかけてみた。
「イリス様はどうしたの!」
「あっ!」
エレナの怒鳴り声に弾かれるようにしてハリーは思わずハッとなる。そうだ自分はイリスからの置き手紙を読んで、驚きと悲しみのあまり闇の底に沈んでしまったのだ。
瞬時に考えをめぐらせ、頭の中の記憶を探り当ててエレナに語り始めるのだった。
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