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第22話

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「エレナは運命的に僕を救ってくれた人生での最大の恩人だよ」

ハリーがそう強く主張した。エレナとの出会いはまだ幼い頃で、運命の巡り合わせであるとハリーは大げさな物言いを含めたが別にそんなことはない。

現在は明るくて親しみやすい好青年という印象を受けるハリーですが、昔は内気で人見知りの性格で両親も心配していた。

交流促進を目的とした立食パーティーなどに王子として出席する機会は多かったが、みんなと一緒に楽しい会話を交わそうと思っても、苦手意識があり拒絶反応を起こしてしまう。

「今日も駄目だったな……」

パーティー会場の隅っこに引っ込んで、自分のやる事は上手くいかないのだと小さくつぶやいていた。

「君なにしてるの?」

その時、軽やかに響く可愛らしい声がハリーの耳に入ってきた。気を抜いていたので、いきなり声をかけられて驚く様子で少しひるみ不安そうに顔を上げた。

自分と同じくらいの年頃の少女が目の前に立っていた。なんだこの子は?ハリーはそんな目でじっと見つめる。


「何か言いなさいよ!」

しばらく黙り込んで顔を見合わせていたら、やや興奮した口調で少女のほうから喋り出した。

「ハ、ハリーです」

何か言わないといけないと思ったハリーは、慌てた様子でどもりながら名前を名乗る。

「緊張してるの?」
「別にそんなんじゃない。突然だったから少し驚いただけだよ」
「そう?私はエレナ」

少女は無邪気な感じで問いかけてきた。急に話しかけられたら誰でもびっくりするだろう?ハリーはそう返すと気楽そうな顔で少女はエレナと名を明かした。

「エレナは何か用?」

心の動きが次第に落ち着きを取り戻してきたハリーは、腰をすえてエレナに対して質問をする。

「一人で寂しそうだったから気になったの」

自然と答えたが、そういうエレナも実はあまり人付き合いが得意ではない性格だった。親に連れられて参加したが、パーティーの雰囲気になじめず避難できる場所を探していたのです。

「ハリーは王子様なんだね」
「うん」

声の主は隣に座っているエレナ。子供同士で仲良くなるのは早いもので、二人の間に壁は消えてすっかり打ち解けた感じになっていた。

親しみやすく話しかけてくれるエレナは、愛嬌のある顔立ちで笑顔を向けてくる。ハリーはとても気持ちが安らいで心地良くて、特に意識せずに明るい笑い声を立てていたのである。

これがきっかけとなり、物静かで控えめな態度のハリーをエレナは外に連れ出してくれたりサポートしてくれて、お互いの家に招いて一緒に遊ぶようになった。
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