婚約破棄した王子は年下の幼馴染を溺愛「彼女を本気で愛してる結婚したい」国王「許さん!一緒に国外追放する」

window

文字の大きさ
上 下
6 / 23

6話

しおりを挟む
アンジェラが部屋に戻るとロバートの年下の幼馴染のニーナが加わっていた。一見する限りでは幼さが残る可愛らしい顔だが、意思の強さを感じさせる目をしている。ニーナと目が合うと悪意を含んだ目に涙をいっぱいにじませて睨みつけてきた。アンジェラは突き刺さるような視線を向けられて戸惑いながら話し合いの席についた。最初にアンドレア国王が話を切り出した。

「お前たちは一体どうなりたいんだ?」
「私はロバートと結婚したいです。いつかはこうなると思ってました。けどロバートと一緒なら私はどんなことにでも耐えられる自信と覚悟があります」
「ニーナよく言ってくれた。僕も同じ気持ちだよ。アンジェラにも言ってやってくれないか。まだ僕に未練があるみたいなんだ」

ニーナは自分の頭を整理しながら話し始めた。ロバートと結婚したいと言って二人なら、どんな苦境に立たされても乗り越えられるとかしこまった態度で言う。

ロバートはニーナの話を聞いてにんまりと嬉しそうな顔で話し出す。自分もニーナと同じ思いだと言ってから、アンジェラを冷酷極まりない眼差しで眺めると、意地悪そうな顔で耳を疑うような言葉を発した。アンジェラがロバートに未練たらたらで諦めが悪く、最後まで抵抗して自分たちの愛の邪魔をしていると言ったのだ。

(はぁ?ロバートなに言ってるの?)

アンジェラはロバートが冗談を言っているのではないかと疑うような顔をした。ロバートを見ると見下すような冷笑をしていた。アンジェラは黙っていましたが、ひどい侮辱を受けたような感じがして腹の虫がおさまらなかった。

「ロバートの気持ちはあなたから離れてる。もっと言えばロバートは最初から私だけを愛してたから、あなたのことを好きじゃなかったの。お願いだからもうロバートをあなたの呪縛じゅばくから解放して自由にしてあげて!」
「アンジェラわかったか?君がどんなに僕のことを好きで愛してくれても僕の心はニーナのものだから諦めてくれ。僕はニーナと結婚したいんだ!」

許されない愛を貫こうとする自分たちには、大きな試練が待ち受けている。それでも愛の保証を求め合い結ばれる運命を持っているとでも思っているのか?アンジェラは二人に堕ちるところまで堕ちてほしいという気分になった。

(私もロバートの事が全然好きじゃなかったよ……私と幼馴染の態度の落差がありすぎて、今までどれだけ惨めな思いをさせられたか)

アンジェラは勝手なことを喋りまくっているロバートとニーナに腹立たしく思いました。そもそもアンジェラとロバートの婚約が国の平和と安定のために王家から頼まれた政略結婚で愛などない。最初の顔合わせで外見がちょっと格好いいなと思ったくらいで、その部分しか好きなところはなかった。

アンジェラは日記をつけていた。ある日、ロバートと付き合い当初から書いたことを見返したことがあった時ふと気が付いた。彼の性格は思いやりがなく偉そうで気難しくて気分屋でわがままを言い放題と悪口ばかりを書いていた。

それでも仲良くなろうとアンジェラは愛想よく話しかけるが、ロバートからはそっけない返事しか返ってこなく冷たい態度なのに、ニーナという年下の幼馴染には気持ち悪いほど満面の笑みを浮かべて可愛がってばかりだった。

小さい頃に家族を失ったと聞かされてニーナの不幸な境遇に同情したが、いつもニーナが隣にいてデートにまで連れてきたりして、どっちが恋人なのかわからないとロバートへの文句と不満が丁寧にびっしり書きこんであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】伯爵令嬢は婚約を終わりにしたい〜次期公爵の幸せのために婚約破棄されることを目指して悪女になったら、なぜか溺愛されてしまったようです〜

よどら文鳥
恋愛
 伯爵令嬢のミリアナは、次期公爵レインハルトと婚約関係である。  二人は特に問題もなく、順調に親睦を深めていった。  だがある日。  王女のシャーリャはミリアナに対して、「二人の婚約を解消してほしい、レインハルトは本当は私を愛しているの」と促した。  ミリアナは最初こそ信じなかったが王女が帰った後、レインハルトとの会話で王女のことを愛していることが判明した。  レインハルトの幸せをなによりも優先して考えているミリアナは、自分自身が嫌われて婚約破棄を宣告してもらえばいいという決断をする。  ミリアナはレインハルトの前では悪女になりきることを決意。  もともとミリアナは破天荒で活発な性格である。  そのため、悪女になりきるとはいっても、むしろあまり変わっていないことにもミリアナは気がついていない。  だが、悪女になって様々な作戦でレインハルトから嫌われるような行動をするが、なぜか全て感謝されてしまう。  それどころか、レインハルトからの愛情がどんどんと深くなっていき……? ※前回の作品同様、投稿前日に思いついて書いてみた作品なので、先のプロットや展開は未定です。今作も、完結までは書くつもりです。 ※第一話のキャラがざまぁされそうな感じはありますが、今回はざまぁがメインの作品ではありません。もしかしたら、このキャラも更生していい子になっちゃったりする可能性もあります。(このあたり、現時点ではどうするか展開考えていないです)

「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。

木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。 因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。 そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。 彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。 晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。 それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。 幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。 二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。 カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。 こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。

十分我慢しました。もう好きに生きていいですよね。

りまり
恋愛
三人兄弟にの末っ子に生まれた私は何かと年子の姉と比べられた。 やれ、姉の方が美人で気立てもいいだとか 勉強ばかりでかわいげがないだとか、本当にうんざりです。 ここは辺境伯領に隣接する男爵家でいつ魔物に襲われるかわからないので男女ともに剣術は必需品で当たり前のように習ったのね姉は野蛮だと習わなかった。 蝶よ花よ育てられた姉と仕来りにのっとりきちんと習った私でもすべて姉が優先だ。 そんな生活もううんざりです 今回好機が訪れた兄に変わり討伐隊に参加した時に辺境伯に気に入られ、辺境伯で働くことを赦された。 これを機に私はあの家族の元を去るつもりです。

私はどうしようもない凡才なので、天才の妹に婚約者の王太子を譲ることにしました

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 フレイザー公爵家の長女フローラは、自ら婚約者のウィリアム王太子に婚約解消を申し入れた。幼馴染でもあるウィリアム王太子は自分の事を嫌い、妹のエレノアの方が婚約者に相応しいと社交界で言いふらしていたからだ。寝食を忘れ、血の滲むほどの努力を重ねても、天才の妹に何一つ敵わないフローラは絶望していたのだ。一日でも早く他国に逃げ出したかったのだ。

おさななじみの次期公爵に「あなたを愛するつもりはない」と言われるままにしたら挙動不審です

あなはにす
恋愛
伯爵令嬢セリアは、侯爵に嫁いだ姉にマウントをとられる日々。会えなくなった幼馴染とのあたたかい日々を心に過ごしていた。ある日、婚活のための夜会に参加し、得意のピアノを披露すると、幼馴染と再会し、次の日には公爵の幼馴染に求婚されることに。しかし、幼馴染には「あなたを愛するつもりはない」と言われ、相手の提示するルーティーンをただただこなす日々が始まり……?

【完結】ブスと呼ばれるひっつめ髪の眼鏡令嬢は婚約破棄を望みます。

はゆりか
恋愛
幼き頃から決まった婚約者に言われた事を素直に従い、ひっつめ髪に顔が半分隠れた瓶底丸眼鏡を常に着けたアリーネ。 周りからは「ブス」と言われ、外見を笑われ、美しい婚約者とは並んで歩くのも忌わしいと言われていた。 婚約者のバロックはそれはもう見目の美しい青年。 ただ、美しいのはその見た目だけ。 心の汚い婚約者様にこの世の厳しさを教えてあげましょう。 本来の私の姿で…… 前編、中編、後編の短編です。

契約婚なのだから契約を守るべきでしたわ、旦那様。

よもぎ
恋愛
白い結婚を三年間。その他いくつかの決まり事。アンネリーナはその条件を呑み、三年を過ごした。そうして結婚が終わるその日になって三年振りに会った戸籍上の夫に離縁を切り出されたアンネリーナは言う。追加の慰謝料を頂きます――

心から愛しているあなたから別れを告げられるのは悲しいですが、それどころではない事情がありまして。

ふまさ
恋愛
「……ごめん。ぼくは、きみではない人を愛してしまったんだ」  幼馴染みであり、婚約者でもあるミッチェルにそう告げられたエノーラは「はい」と返答した。その声色からは、悲しみとか、驚きとか、そういったものは一切感じられなかった。  ──どころか。 「ミッチェルが愛する方と結婚できるよう、おじさまとお父様に、わたしからもお願いしてみます」  決意を宿した双眸で、エノーラはそう言った。  この作品は、小説家になろう様でも掲載しています。

処理中です...