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「久しぶりにお父様とお母様に会えるの楽しみですね」

学園が夏休みに入り、リディアは帰省することに胸を躍らせていた。学園では寮生活していて不満はありませんが、やはり実家でゆっくり休息したい。なにより大好きな両親に会えないのが寂しかった。両親の笑顔を思い浮かべて馬車に揺られていた。

「あれ?誰もいない」

実家に到着しましたが、なんか様子がおかしい。今日家に帰って来ると手紙で伝えてあるのに誰も迎えてくれない。いつもなら家のメイド達が綺麗に整列して待っているのに。どうしてだろう?

リディアは一人で寂しく家の中に入りました。家に入るとまた違和感を感じます。なぜならリディアが気に入って大事にしていた家族との肖像画が飾ってないのです。

それからリビングルームに足を踏み入れると、テーブルの上のケーキやらチョコレートにシュークリームをむさぼり食べている一人の少女がいました。年齢はリディアよりも少し若い12歳くらいでしょうか。

「リディアお嬢様!」
「お出迎えできなくて申し訳ございません!」

しばらくその光景を不思議でならない顔でリディアは見ていました。するとメイドが二人部屋にやって来て、リディアの存在に気がつき駆け寄ってきます。

開口一番謝罪を口にする。今日がリディアが帰還する日だと伝えられていたはずなのに、おもてなし出来なかったことを恥じた。


「これはどういうこと?あの子は?」

リディアは直ぐに気になっている事を尋ねました。メイドが言うには、近所に住んでいる平民の子供らしい赤の他人の家の子。それがどうして貴族の中で高い爵位を持つ気品に満ちた公爵家で我が物顔でいられるのか?

リディアは訳が分からなくて頭の中で理解が追いつきません。

「ご両親様のご判断です」
「どうして?」

話を聞けば数ヶ月前に、この辺りに家族で引っ越してきたという少女で名前はエマ。エマに両親はいるらしいけど育児放棄でほったらかしにしているそう。

両親が街で買い物に出かけた時に寂しそうに立っていたエマに偶然に出会い、少し話を聞いたところ愛情深い両親は、エマの境遇に心から同情して涙さえ浮かべ家に来るように誘ったらしい。

「その日から地獄が始まりました」
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