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第22話

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「あなたに会えなかったら、今の私はない。本当にありがとう……」

アメリアは昔の自分を大いに反省できるほど人格が変わった。現在の夫のおかげなのは心の中で感じでいる。自分の部屋で妙にしおらしい態度です。

とても感謝してるけど、やっぱりどうしても面と向かって言うのは、いささか照れくさい思いがしたので、鏡に向かってぽつりとつぶやく。

「私の過去を全て受け止められる人は夫だけかもしれない……」
「アメリア」
「ちょっとなによ!いきなり声をかけてきたらびっくりするでしょ!」
「ご、ごめん」
「私も言い過ぎたわ」

結婚して心からのありがたさに打たれた思いをアメリアが続けて呟いていたら、突発的に夫が呼びかけてきた。アメリアは驚きで心臓が高鳴り、苛立ちに似たわけのわからない感情を夫にぶつける。

愛おしむ妻の本気で怒っている可能性の声に、夫はすぐに謝るという判断をした。ところがアメリアも素直に謝る。妊娠してから打って変わって、少し温厚な性格になったと夫は感じていた。


「アメリア」
「どうしたの?改まった顔して……」
「今日はアメリアに日ごろの感謝を告げたいと思う」
「それは良い心構えね。聞いてあげるから言ってみなさい」
「はい!」

その日の夕方でした。夫が口元を引き締めてアメリアに言う。普段は、ほのぼのとした表情で妻の胸をあたためてくれる感じなのに別人みたいです。

基本的な心構えを備わっている夫で、なかなか良いぞとアメリアは満足そうに言う。黙っていれば女神のように美しい妻に褒められて、夫は弾む気持ちになり一番幸せな顔で語り始める。

「あなたを愛しています。田舎貴族で容姿も平凡で、二回り年上なので頭の薄い俺にアメリアが嫁いでくれて感謝しかありません。だからアメリアが過去に何をしてても嫌いになったり、別れることは決してないと誓う」
「うんうん、それから?」
「今のアメリアがあるのは、自分で苦しい過去を乗り越えてきたからです。これからもアメリアと暮らせるなら俺は何もいらない。アメリアが笑顔でいられるように命をかけて全力を注ぐことを約束します。家は俺の代で終わりかと思ったら、妊娠してくれて子供を残してくれたことにも心の快楽を感じて、尽きない喜びが湧きあがってきます」
「まあまあだったよ。及第点ぎりぎりかな」

夫は正面に立って運動会の宣誓に似た発言をする。忠誠の言葉に耳を傾け妊娠中でお腹が膨れているアメリアは、ぼんやりと眠そうな表情で頬杖をつきながら、夫の愛の誓いに一定の評価をしてうなずいて同意を示しました。


*****
新作「婚約破棄したら王子が行方不明になった。幼馴染と妹に捨てられて人生に絶望したらしい。」を投稿しました。よろしくお願いします。
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