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第12話 私の不倫相手は誰?
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「先程も申し上げた通り不倫も夫への暴力も行っておりません!」
エリザベートは怒りの感情がおさえられなくて苛立ちを含んだ声で言った。義家族はこれほどはっきり言われるとは思ってなかったという顔であんぐりと口を開けていた。それでも信じていないようで不満そうな表情で不服そうに睨んでくる。
不倫もしていないし夫に暴行を加えたこともない。全て夫の嘘でこんな状況に陥ってしまった。エリザベートはこうなったら原因を作った張本人である夫をここに呼ぶしかないと思った。
「さっきまで泣いていたくせに家族が来たら何強気になってるのよ!」
「私の家族がいなければ怒鳴って叩いて話も聞いてくれなかった人たちに言われたくないですね」
「なんですか!その開き直ったような態度は!」
義妹のアイラが血相を変えて怒りをぶちまける。エリザベートのまるで開き直ったかのような態度に義母も苛立たしさを感じて大声で一喝した。開き直られては引くに引けないといった感じだ。
「それならお聞きしますが私がいつ夫に暴力を振るったのですか?私が不倫をしていると言われますが相手は誰なのですか?」
エリザベートは冷静に質問してみた。義家族から見ればエリザベートがふてぶてしく振る舞ってるように思ってしまう。だが家族が到着する前のほうがよほど異常な状況だった。そのことに義家族が疑問に思わないのも無知の証明と言っていい。
普通なら自分たちの浅はかな行動を恥じて謝罪し反省するものなのに、この人達は当たり前のことがわかってないとエリザベートは思う。それどころか家族が来たことで嫁が伸び伸びとして、自分たちに生意気に嫁が反論してきたとふざけたことを抜かす。お脳が弱い義家族には呆れてものが言えなくなる思いだ。
エリザベートは早口で勢いよくまくし立てると義家族は妙な迫力を感じて言葉を失った。返事が出てこなくて顔を見合わせると小声で相談が始まった。
「おい、エリザベートの不倫相手は誰なんだ?」
「えっと、オリバーお兄様から聞いてないので……」
「私も聞いてないわ。ジャックあなたは知らないの?」
絶え間なく何やらぶつぶつ話し合っている。義父がエリザベートの不倫相手の名を尋ねるとアイラは知らないらしく首を横に振ってみせた。義母も困った顔を左右に向けて答えられなかった。
「僕だって義姉さんの不倫相手の名前なんて聞いてないよ。もしかして……義姉さんって不倫してないってこと?」
義弟のジャックも兄から聞いていないと言う。夫は家族の前で愛している妻が不倫して人が変わってしまい、自分に理不尽な暴力を振るってきたと悲鳴を上げた。夫は派手なパフォーマンスを繰り広げたが、妻の不倫の証拠とか詳細な情報を一切提供しなかった。
ある考えが頭に閃いたとたんジャックは顔に明るさがこぼれ体が震えるほど喜びがこみ上げてくる。実際にはエリザベートは不倫をしていないんじゃないかと思ったのだ。
その瞬間、すっかり嬉しくなってしまい大声で叫びたい衝動にかられた。そしてエリザベートも本当は自分の事を好きで想ってくれているけど、兄の妻なので今まで我慢をしていたのだと勝手な妄想をふくらませていた。もちろん兄とエリザベートの離婚は心から大賛成だった。
エリザベートは怒りの感情がおさえられなくて苛立ちを含んだ声で言った。義家族はこれほどはっきり言われるとは思ってなかったという顔であんぐりと口を開けていた。それでも信じていないようで不満そうな表情で不服そうに睨んでくる。
不倫もしていないし夫に暴行を加えたこともない。全て夫の嘘でこんな状況に陥ってしまった。エリザベートはこうなったら原因を作った張本人である夫をここに呼ぶしかないと思った。
「さっきまで泣いていたくせに家族が来たら何強気になってるのよ!」
「私の家族がいなければ怒鳴って叩いて話も聞いてくれなかった人たちに言われたくないですね」
「なんですか!その開き直ったような態度は!」
義妹のアイラが血相を変えて怒りをぶちまける。エリザベートのまるで開き直ったかのような態度に義母も苛立たしさを感じて大声で一喝した。開き直られては引くに引けないといった感じだ。
「それならお聞きしますが私がいつ夫に暴力を振るったのですか?私が不倫をしていると言われますが相手は誰なのですか?」
エリザベートは冷静に質問してみた。義家族から見ればエリザベートがふてぶてしく振る舞ってるように思ってしまう。だが家族が到着する前のほうがよほど異常な状況だった。そのことに義家族が疑問に思わないのも無知の証明と言っていい。
普通なら自分たちの浅はかな行動を恥じて謝罪し反省するものなのに、この人達は当たり前のことがわかってないとエリザベートは思う。それどころか家族が来たことで嫁が伸び伸びとして、自分たちに生意気に嫁が反論してきたとふざけたことを抜かす。お脳が弱い義家族には呆れてものが言えなくなる思いだ。
エリザベートは早口で勢いよくまくし立てると義家族は妙な迫力を感じて言葉を失った。返事が出てこなくて顔を見合わせると小声で相談が始まった。
「おい、エリザベートの不倫相手は誰なんだ?」
「えっと、オリバーお兄様から聞いてないので……」
「私も聞いてないわ。ジャックあなたは知らないの?」
絶え間なく何やらぶつぶつ話し合っている。義父がエリザベートの不倫相手の名を尋ねるとアイラは知らないらしく首を横に振ってみせた。義母も困った顔を左右に向けて答えられなかった。
「僕だって義姉さんの不倫相手の名前なんて聞いてないよ。もしかして……義姉さんって不倫してないってこと?」
義弟のジャックも兄から聞いていないと言う。夫は家族の前で愛している妻が不倫して人が変わってしまい、自分に理不尽な暴力を振るってきたと悲鳴を上げた。夫は派手なパフォーマンスを繰り広げたが、妻の不倫の証拠とか詳細な情報を一切提供しなかった。
ある考えが頭に閃いたとたんジャックは顔に明るさがこぼれ体が震えるほど喜びがこみ上げてくる。実際にはエリザベートは不倫をしていないんじゃないかと思ったのだ。
その瞬間、すっかり嬉しくなってしまい大声で叫びたい衝動にかられた。そしてエリザベートも本当は自分の事を好きで想ってくれているけど、兄の妻なので今まで我慢をしていたのだと勝手な妄想をふくらませていた。もちろん兄とエリザベートの離婚は心から大賛成だった。
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