4 / 4
第4話
しおりを挟む
「グレース買い物に行こう」
「う、うん」
翌日は馬車で街に繰り出すことになった。丁度いいくらいの気温に空は雲一つなく冴え渡っていて抜けるような青空のもとさわがしい響きを立てて走る馬車。デート日和でハリーといると柔らかいものに包まれているような優しい気持ちになる。
「ちょっと止めてくれ」
「どうしたの?」
「グレース少し歩こうか。話したいこともあるしさ」
「え?うん、いいけど…」
ハリーが不意打ちのように大声を上げて御者に伝えると馬車は急停止した。なんとなくハリーは寂しそうな顔をしていた。
「グレースこの場所覚えてる?」
「あっ、ここって」
「小さい頃ここでよく遊んだよね。グレースまだ遊びたいから帰りたくないって泣いて大変だったよな?」
「そんなこともあったね。昔のことを引っ張り出すのはやめてよ…でもハリーもよく覚えてるね」
「グレースとの思い出はずっと記憶に残ってるよ」
「それよりも話したい事って何?」
「そろそろ帰ろうかと思ってるんだよね」
空気を変えるために何気なく言ったことだけどグレースは言わなければ良かったと悔しくてたまらないという顔つきになった。
「え?でも、シャーロットお姉様まだ帰って来てないけど…話をするんじゃないの?」
「気がついたら結構泊まってるしさ。シャーロットの浮気で婚約解消したからおじさんもおばさんも後ろめたさを感じてるのか何も言わないけど迷惑かなって?」
「そんなことないよ。まだ3日だから全然迷惑じゃないよ」
「シャーロットのことはもういい…もう親同士の間で話し合いも終わってるしさ」
グレースには何も言う権利はない。姉の浮気で婚約解消になってるけど、その彼と男女の関係をもってしまった。この状況は自分がずるいことをしたみたいで賞賛できない。でもハリーから帰ると言われるとどっと悲しさが押し寄せてくる。
「グレースそんな悲しい顔しないでくれよ。僕だってグレースと離れるのは寂しいけどいつまでも一緒にいるわけにはいかないだろう?」
「分かってるけど…昨日私と付き合うって両親に言ってくれたよね?」
「あれは冗談だよ」
「私は冗談でも嬉しかった」
「グレース…」
「んむっ!?」
グレースはすっかり沈み込んでいるとハリーが柔らかい眼差しで見つめて優しい言葉をかける。二人は見つめ合ってからどちらともなく軽いキスをした。
「ハリー大好き。もう離れたくない」
「僕もだよグレース」
この日二人は付き合って半年後に結婚して幸せに暮らしました。
「う、うん」
翌日は馬車で街に繰り出すことになった。丁度いいくらいの気温に空は雲一つなく冴え渡っていて抜けるような青空のもとさわがしい響きを立てて走る馬車。デート日和でハリーといると柔らかいものに包まれているような優しい気持ちになる。
「ちょっと止めてくれ」
「どうしたの?」
「グレース少し歩こうか。話したいこともあるしさ」
「え?うん、いいけど…」
ハリーが不意打ちのように大声を上げて御者に伝えると馬車は急停止した。なんとなくハリーは寂しそうな顔をしていた。
「グレースこの場所覚えてる?」
「あっ、ここって」
「小さい頃ここでよく遊んだよね。グレースまだ遊びたいから帰りたくないって泣いて大変だったよな?」
「そんなこともあったね。昔のことを引っ張り出すのはやめてよ…でもハリーもよく覚えてるね」
「グレースとの思い出はずっと記憶に残ってるよ」
「それよりも話したい事って何?」
「そろそろ帰ろうかと思ってるんだよね」
空気を変えるために何気なく言ったことだけどグレースは言わなければ良かったと悔しくてたまらないという顔つきになった。
「え?でも、シャーロットお姉様まだ帰って来てないけど…話をするんじゃないの?」
「気がついたら結構泊まってるしさ。シャーロットの浮気で婚約解消したからおじさんもおばさんも後ろめたさを感じてるのか何も言わないけど迷惑かなって?」
「そんなことないよ。まだ3日だから全然迷惑じゃないよ」
「シャーロットのことはもういい…もう親同士の間で話し合いも終わってるしさ」
グレースには何も言う権利はない。姉の浮気で婚約解消になってるけど、その彼と男女の関係をもってしまった。この状況は自分がずるいことをしたみたいで賞賛できない。でもハリーから帰ると言われるとどっと悲しさが押し寄せてくる。
「グレースそんな悲しい顔しないでくれよ。僕だってグレースと離れるのは寂しいけどいつまでも一緒にいるわけにはいかないだろう?」
「分かってるけど…昨日私と付き合うって両親に言ってくれたよね?」
「あれは冗談だよ」
「私は冗談でも嬉しかった」
「グレース…」
「んむっ!?」
グレースはすっかり沈み込んでいるとハリーが柔らかい眼差しで見つめて優しい言葉をかける。二人は見つめ合ってからどちらともなく軽いキスをした。
「ハリー大好き。もう離れたくない」
「僕もだよグレース」
この日二人は付き合って半年後に結婚して幸せに暮らしました。
11
お気に入りに追加
169
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
さようなら、あなたとはもうお別れです
四季
恋愛
十八の誕生日、親から告げられたアセインという青年と婚約した。
幸せになれると思っていた。
そう夢みていたのだ。
しかし、婚約から三ヶ月ほどが経った頃、異変が起こり始める。
[完結]君に好きだと伝えたい〜婚約破棄?そうですか、貴方に愛を返せない私のせいですね〜
日向はび
恋愛
表情は動かず、愛の言葉は囁けない。そんな呪いをかけられた伯爵令嬢の元に愛する人から婚約破棄の手紙がとどく。さらに彼は腹違いの妹と恋をしているという。絶望しながらも、全ては自分の責任と別れを決意した令嬢は愛するひとに別れを告げるために彼の家へ訪れる。そこで煌めくナイフの切っ先を目にした彼女は、愛する人を守るためその身をナイフの前に曝け出すのだった。
安息を求めた婚約破棄
あみにあ
恋愛
とある同窓の晴れ舞台の場で、突然に王子から婚約破棄を言い渡された。
そして新たな婚約者は私の妹。
衝撃的な事実に周りがざわめく中、二人が寄り添う姿を眺めながらに、私は一人小さくほくそ笑んだのだった。
そう全ては計画通り。
これで全てから解放される。
……けれども事はそう上手くいかなくて。
そんな令嬢のとあるお話です。
※なろうでも投稿しております。
【完結】27王女様の護衛は、私の彼だった。
華蓮
恋愛
ラビートは、アリエンスのことが好きで、結婚したら少しでも贅沢できるように出世いいしたかった。
王女の護衛になる事になり、出世できたことを喜んだ。
王女は、ラビートのことを気に入り、休みの日も呼び出すようになり、ラビートは、休みも王女の護衛になり、アリエンスといる時間が少なくなっていった。
売られて嫁いだ伯爵様には、犬と狼の時間がある
碧井夢夏
恋愛
■集英社少女・女性コミックマンガ原作賞・最終候補作品■
没落貴族の一人娘として生まれ、お金を得る手段として育てられた子爵令嬢アイリーン・クライトン。
アイリーンは公爵家の姫君、クリスティーナの身代わりとして死神伯と恐れられたユリシーズ・オルブライト伯爵に嫁ぐ役目を言い渡される。両親は皇帝にアイリーンを売ったのだった。
アイリーンはユリシーズとは別の部屋を与えられて暮らし始めたが、ある日の夜に自分を訪ねてきたユリシーズには、獣の耳と尻尾がついていて……。
男嫌いで人間不信、動物好きのアイリーンが、人狼の夫に出会ってご主人様な妻になっていく夫婦愛のお話。愛し合っているのに三角関係な二人の危機回避ファンタジーです。
※表紙画像はMidjourneyで生成しました。
※タイトルの「犬と狼の時間」はフランスの古い言葉で犬と狼の見分けがつかなくなる黄昏時を指しますが、このお話においては夫の昼と夜のことになります。
私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる