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第15話
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ガブリエル殿下はどうしていいかわからず頭が壊れそうなほど半狂乱になる。
心が激しく揺さぶられひどく落ち着かない様子でキスマークを手でおさえたり体をひねらせていますが、それで全てを隠せるわけもないので慌てて体を丸め始めます。
ガブリエル殿下は涙まみれの顔で切なくなるくらい一生懸命でした。
何とも落ちぶれた姿の恋人にアイラ令嬢は並外れて悲しくなり、やるせない気持ちが心に重苦しくのしかかってくる。
「ガブリエル……その体は?あなたに何があったの……?」
アイラ令嬢は心をぐちゃぐちゃにされるほどの精神的ショックを受けていましたが自らに努力ともいうべき勇気を振い起した。
しゃがみ込んでいるガブリエル殿下の背中に軽く手で触れる。
「やめてくれー!汚れてしまった僕の体を無邪気で素直な澄み切っている心のアイラに触ってほしくないんだ!」
ガブリエル殿下は怯えたような哀れな悲鳴と同時に立ち上がり、体も口元も震えが走っていて希望がない顔をしていました。
部屋の外に逃げ出そうをガブリエル殿下はアイラ令嬢を突き飛ばす。
アイラ令嬢は足腰に力が入らずによろめいていましたが、ここで逃がしたら二度とガブリエル殿下に会えないような気がして後ろから抱きつく。
しかしガブリエル殿下は振り払おうとお気の毒なくらい生真面目に体を動かします。
手で押さえつけられた小さな虫のように美少年は情けない暴れ方を繰り返して恋人を困らせる。
底知れぬ絶望と悲しみのアイラ令嬢の顔は、涙が溢れて視界が霞む。涙は湧き水みたいに止まることなく心が次第に暗く沈んでいくのを感じた。
それでも道に迷って戸惑う恋人を決してどこにも行かせたくないアイラ令嬢は強い思いで捕まえて離さない。
まだ愛情も残っていて自分より遥かに超えて不安定に崩れている彼の心を、優しく撫でるようにあたたかく慰めてあげたい気持ちもあります。
「アイラ離してくれ!そしてわかってほしい…君の透き通った瞳で僕の泥まみれな体と心を覗き込まれるのは辛い……」
その時のガブリエル殿下の言葉はアイラ令嬢の心の深層の部分に鮮明に響く。でも二人の感情はひどくほつれて容易に解ける雰囲気はありませんでした。
心が激しく揺さぶられひどく落ち着かない様子でキスマークを手でおさえたり体をひねらせていますが、それで全てを隠せるわけもないので慌てて体を丸め始めます。
ガブリエル殿下は涙まみれの顔で切なくなるくらい一生懸命でした。
何とも落ちぶれた姿の恋人にアイラ令嬢は並外れて悲しくなり、やるせない気持ちが心に重苦しくのしかかってくる。
「ガブリエル……その体は?あなたに何があったの……?」
アイラ令嬢は心をぐちゃぐちゃにされるほどの精神的ショックを受けていましたが自らに努力ともいうべき勇気を振い起した。
しゃがみ込んでいるガブリエル殿下の背中に軽く手で触れる。
「やめてくれー!汚れてしまった僕の体を無邪気で素直な澄み切っている心のアイラに触ってほしくないんだ!」
ガブリエル殿下は怯えたような哀れな悲鳴と同時に立ち上がり、体も口元も震えが走っていて希望がない顔をしていました。
部屋の外に逃げ出そうをガブリエル殿下はアイラ令嬢を突き飛ばす。
アイラ令嬢は足腰に力が入らずによろめいていましたが、ここで逃がしたら二度とガブリエル殿下に会えないような気がして後ろから抱きつく。
しかしガブリエル殿下は振り払おうとお気の毒なくらい生真面目に体を動かします。
手で押さえつけられた小さな虫のように美少年は情けない暴れ方を繰り返して恋人を困らせる。
底知れぬ絶望と悲しみのアイラ令嬢の顔は、涙が溢れて視界が霞む。涙は湧き水みたいに止まることなく心が次第に暗く沈んでいくのを感じた。
それでも道に迷って戸惑う恋人を決してどこにも行かせたくないアイラ令嬢は強い思いで捕まえて離さない。
まだ愛情も残っていて自分より遥かに超えて不安定に崩れている彼の心を、優しく撫でるようにあたたかく慰めてあげたい気持ちもあります。
「アイラ離してくれ!そしてわかってほしい…君の透き通った瞳で僕の泥まみれな体と心を覗き込まれるのは辛い……」
その時のガブリエル殿下の言葉はアイラ令嬢の心の深層の部分に鮮明に響く。でも二人の感情はひどくほつれて容易に解ける雰囲気はありませんでした。
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