婚約したのに好きな人ができたと告白された「君の妹で僕の子を妊娠してる」彼に衝撃の罰が下される。

第31話

「おかしなこと言わないで！とても自由にさせてもらってるわ」
「即座に怒って反論するところが怪しいな……もしかしてレオナルドを庇ってるんじゃないの？」

フローラは普段の温厚な態度からは想像できないほど感情的になり、顔を険しくして声を荒げる。だがテリーの印象では怒るところがどうも怪しく思えた。

「そんなことあるわけないでしょ！テリーのほうこそアリスのことを同居している友人くらいの感覚なんじゃないの？本当は愛してないんでしょ？」
「それはないよ。アリスのことはこの世で一番愛してる。僕はアリスのためなら何でもできる」

そのように浮気を容易に許すなら妻じゃなくて、一緒に住んでいる友人のような感じで実のところ、全然愛してないなのかとフローラは言い返した。

しかしテリーはアリスに対して強い愛情を秘めており、アリスを守るためならいかなる苦難をも乗り越える覚悟があると言う。

「テリーはもっと自分を大事にしたほうがいい。アリスと別れてテリーの一途な想いに、同じ様に答えてくれる人と結婚したほうがいいと思う」

「そうは言っても、僕が愛してるのはアリスだけなんだ。アリスがどういう人間だろうと関係ない」

フローラは気の毒な表情で、お互いに愛し合えるような関係を築いたほうが幸せになれると言い、アリスとは断固として別れるべきだと説得するのです。

ところがテリーは別れるつもりは更々ないらしい。アリスの過去の罪を許して子供達を自分の子として育てていく。それにひどい目に遭わされたとは思っていないと語った。

「男として情けない！」
「何を言われようとかわいいアリスは僕にはもったいないくらいの妻で別れたくない。今僕がアリスにしてあげられることを考えたんだけど、もっと自由な時間を作ってあげることだと思うんだよね」

仕舞いにはフローラから根性なし呼ばわりされてしまうのである。それでもテリーは妻のアリスが自分の人生の永遠の伴侶にふさわしいという姿勢を貫き通した。その顔からは、すがすがしさに美しさすら覚えます。

「あえて浮気相手と会う時間を作ってあげるの？」
「その通りだ。アリスが他の男とちょっと気晴らしに遊んだくらいで何を怒ることがある？ずっと家庭に縛り付けてしまってるのを僕は反省して、もう少し羽を伸ばせる環境を作ってあげたいんだ」

しかしその後、アリスはテリーの元から去って男と駆け落ちしてしまい、テリーは絶望的な気持ちと闘うことになる。

アリスの顔を思い浮かべながら、いつも泣いているか独り言を口にしているような状態が続き、精神の不安定さが日々増していくのであった。