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第46話

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「――ここは?」

フレッドは目を覚ますと光が目に入ってきた。上体を起こしながらちらりと周囲を確認すると見慣れた光景が目に飛び込んできた。

「フレッド大丈夫か」

簡素な作りのベッドに進み寄って声をかけたのはアランだった。崩れかけた建物の廃墟のような場所がヴァレンティノ王国のフレッド・ユーステルム王太子殿下の現在の住処となっている。

後悔先に立たずという思いで、あの日セリーヌに一方的に婚約破棄を強行し、セリーヌと決別してからフレッドの人生は急降下の勢いを維持し続けて最終的に国が崩壊した。言い渡されたセリーヌは悲しみなげき国を去った。だが彼女は他の国に定住地をいくつも持っていたので何不自由ない暮らしを送っていた。

「セリーヌ!?アラン、セリーヌはどうしたんだ!」

はっと気がついて慌てて声を上げた。フレッドはセリーヌと出会って抱きしめたくなり駆け寄ったら何かに弾き飛ばされて、そこから記憶がうすれて意識を失ってしまった。

やっとセリーヌに会えたのにどうして自分はこんな状態になっているのか?と不思議な気さえする。

「フレッド落ち着け!セリーヌなら今は別の部屋で怪我人の面倒をみている」
「それなら私もすぐにセリーヌのところに連れてってくれ」

ベッドから下りて二歩、三歩と進むとフレッドはうずくまって胸に手を当てた。アランは強い口調でフレッドに言い聞かせる。セリーヌは病人たちの体の傷を癒やし世話をしていると話した。

フレッドはセリーヌがいると分かっているのに、じっと辛抱して待っていることはできなかった。セリーヌに一刻も早く会いたいという気持ちが抑えられなくなり、アランに肩を貸してほしいと頼んだ。話したいこと謝りたいことは山ほどある。

「そんなに焦って行動したら先ほどみたいになるぞ?」
「それが聞きたかった。アランさっき何が起こってどうして私がこんな目に?」

アランはやれやれという表情でフレッドをあわれむように見て言う。するとフレッドはふと気付いて疑問を投げ掛けた。

「セリーヌは魔法でから見を守っているらしい。俺もセリーヌに会って嬉しくて抱きつこうとしたら同じ目に遭った。フレッドと比べて倒れて気絶することはなかったけどな」
「どういう事だ?セリーヌに私達が変質者と思われたということか?」

セリーヌは色々な危害に備えて防御魔法を展開していた。最初にセリーヌと会って自分も同じ事になったとアランは笑い顔を見せて話した。ところがフレッドのほうはセリーヌに異常者と判断されたことに納得ができなかったらしく不満を口にした。

*****
新作「結婚したけど夫の不倫が発覚して兄に相談した。相手は親友で2児の母に慰謝料を請求した。」を投稿しました。ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
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