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第42話

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「――ドラゴンさんに聞いた?」

そういえばドラゴンさんに何も伝えてなかったですね。集中しないとテレパシー能力でつながれないので忘れていました……

「ああ、セリーヌのことは竜に教えてもらった」

セリーヌとアランは会話を続けていた。セリーヌは小さい頃に竜と出会い互いに認め合う親友関係になっていたことをアランは竜に聞かされた。竜からしたら人間の身体はガラス細工のようにもろく崩れやすいと心配するあまり、大切なセリーヌを守るために自分の持つ色々な能力に魔法を与えて彼女を強くした。

その結果セリーヌは、この世界で覇者としての地位を確立している竜とを手に入れる。元から優しく温厚な人柄のセリーヌは、竜に授けられた力で生まれ育った国を守ろうと思い、聖女のステファニーの結界の不備があるところを見つけて修復してより強力にしていた。

まさにセリーヌが縁の下の力持ち的な存在で、ヴァレンティノ王国を人知れず守っていた最大の守護神であった。

「ドラゴンさんは魔物から守ってくれなかったのですか?」
「最初はそのつもりだったけど……セリーヌを追放したと分かったら暴れ始めて炎を吐き城を壊してどうする事もできなかった」

セリーヌは竜が思いやりがある性格だと知っているので、何かあれば国を守ると約束してくれた。魔物の集団が近づいていると察知した竜は、セリーヌとの約束を果たすために城の上空に姿を現した。

お前たちは我の大事なセリーヌになんて事したのだ。許さぬぞ!セリーヌを追放したと知ってしまい怒りに任せて、魔物が襲来する前に長い伝統を誇っていた街並みを徹底的に破壊してセリーヌを捜しに飛び去ってしまった。

「建物をあらかた破壊し尽くした竜はどこか行って、その後は魔物の群れが押し寄せてきてこの有様さ」
「そうですか。あの、気になっていたのですが」
「なんだ?」
「最初に会った時に後ろを振り向いたアランは、とてもしたような感じでしたけどなぜですか?」
「それはな……」

セリーヌと再会した時アランは背後から気配を感じてかなり警戒した様子を見せた。大都市を襲った竜と魔物の軍勢の影響で国は戦争があったような街並みに変わった。生き残った人々は混乱しているので、これに乗じて盗みを働く火事場泥棒みたいな真似をする者が後を絶たなくなる。

助長させたのは、時事情報を伝えた新聞の影響が大きかっただろう。ヴァレンティノ王国の崩壊が写真付きで大々的に報じられた。古来より存在する聖女の力で守られ、長期間にわたって経済的に大いに繁栄を続けた国の転覆は世界中の人は衝撃だった。

庶民でも豊かで生活に困らない最も裕福な都市と言われていた。その国が崩れ落ちたら近くの国に住む人は、絶好の機会だと金品を強奪し盗賊まがいのことをしだした。
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