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第25話
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「……フレッド?」
「アラン!無事なようだな。良かった……」
突然この場に現れたフレッドにアランは不思議そうな顔をしていた。フレッドは手を伸ばして肩を叩き声をかけて親友の安全を喜んでいる。
「どうしてフレッドが?」
「そんなのアランが心配だったからに決まっているだろう?」
相棒おかしなことを聞くなよ?フレッドはそのような表情をして微笑みかけるとアランも微笑みを返した。
「うぅ、うう……フレッド凄く嬉しいよ」
「泣くことないだろ?」
「だって……」
「アランに怪我がなくて安心した」
「フレッド愛してくれて……ありがとう」
次の瞬間アランは胸が熱くなり涙が目に溢れてくる。そんな親友にフレッドは肩を抱いて引き寄せました。そして互いに慰めのような言葉かけ合うのです。
「――お主は誰だ?」
そのまましばらく二人は、イチャイチャしているようにしか見えない感じだった。竜が気まずい沈黙を破るために話し始める。
「大変失礼いたしました。私はヴァレンティノ王国の王子フレッドと申します!」
アランと抱擁していたフレッドが、思わずはっと我に返ると竜に顔を向けて簡単な自己紹介を行った。
「この国の王子が何用だ?」
「私の大切な親友であるアランが戻ってくるのが遅いので、心のゆとりがなくなって参上いたしました」
「……そうか……」
王子がこの場に何をしにきたのだ?竜の問いかけにフレッドは親友のアランが、いつまで経っても戻ってこないので心配で胸を痛めていたと語る。竜は短い返事に軽蔑がこもっているようであった。
「アランそれで交渉はどうなったんだ?」
ふと何より気がかりなことを思い出したらしくフレッドはアランに尋ねました。今は魔物の軍勢が国に迫っている絶望的な状況である。そして城の上空に突然姿を見せた竜に、魔物を倒すのに協力してもらえないか?とアランは考えて竜に話しかけた。フレッドはその役目を任せて憂わしげな表情で送り出したのだ。
「ああ、それなら大丈夫だ。ドラゴン様が魔物の軍勢を倒すことに引き受けていただき、私たちを守ってくださると言われた」
「本当か!アランよくやってくれた。ドラゴン様ありがとうございます。この国の王子として御助力をいただけたことに深く感謝いたします!!」
竜が魔物を蹴散らせてくれることが決まった。アランは感無量な面持ちで伝えると、フレッドは急に嬉しそうに顔をほころばせる。いかにもありがたそうな口調で竜に感謝の言葉を言うフレッドは、どんなに感謝しても感謝し足りないと思った。
「そんなに畏まることはないぞ。ここはセリーヌ様の故郷だから守るのは当然であるからな」
「セリーヌ様……?いったい何が……?」
「アラン!無事なようだな。良かった……」
突然この場に現れたフレッドにアランは不思議そうな顔をしていた。フレッドは手を伸ばして肩を叩き声をかけて親友の安全を喜んでいる。
「どうしてフレッドが?」
「そんなのアランが心配だったからに決まっているだろう?」
相棒おかしなことを聞くなよ?フレッドはそのような表情をして微笑みかけるとアランも微笑みを返した。
「うぅ、うう……フレッド凄く嬉しいよ」
「泣くことないだろ?」
「だって……」
「アランに怪我がなくて安心した」
「フレッド愛してくれて……ありがとう」
次の瞬間アランは胸が熱くなり涙が目に溢れてくる。そんな親友にフレッドは肩を抱いて引き寄せました。そして互いに慰めのような言葉かけ合うのです。
「――お主は誰だ?」
そのまましばらく二人は、イチャイチャしているようにしか見えない感じだった。竜が気まずい沈黙を破るために話し始める。
「大変失礼いたしました。私はヴァレンティノ王国の王子フレッドと申します!」
アランと抱擁していたフレッドが、思わずはっと我に返ると竜に顔を向けて簡単な自己紹介を行った。
「この国の王子が何用だ?」
「私の大切な親友であるアランが戻ってくるのが遅いので、心のゆとりがなくなって参上いたしました」
「……そうか……」
王子がこの場に何をしにきたのだ?竜の問いかけにフレッドは親友のアランが、いつまで経っても戻ってこないので心配で胸を痛めていたと語る。竜は短い返事に軽蔑がこもっているようであった。
「アランそれで交渉はどうなったんだ?」
ふと何より気がかりなことを思い出したらしくフレッドはアランに尋ねました。今は魔物の軍勢が国に迫っている絶望的な状況である。そして城の上空に突然姿を見せた竜に、魔物を倒すのに協力してもらえないか?とアランは考えて竜に話しかけた。フレッドはその役目を任せて憂わしげな表情で送り出したのだ。
「ああ、それなら大丈夫だ。ドラゴン様が魔物の軍勢を倒すことに引き受けていただき、私たちを守ってくださると言われた」
「本当か!アランよくやってくれた。ドラゴン様ありがとうございます。この国の王子として御助力をいただけたことに深く感謝いたします!!」
竜が魔物を蹴散らせてくれることが決まった。アランは感無量な面持ちで伝えると、フレッドは急に嬉しそうに顔をほころばせる。いかにもありがたそうな口調で竜に感謝の言葉を言うフレッドは、どんなに感謝しても感謝し足りないと思った。
「そんなに畏まることはないぞ。ここはセリーヌ様の故郷だから守るのは当然であるからな」
「セリーヌ様……?いったい何が……?」
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