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第17話

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竜は空中に浮いてゆらゆら揺れている。その声は大地を揺さぶるようなひびきがあって重く低くて迫力満点であった。アランは心臓が凍りつく感覚でしたが、初対面の挨拶あいさつをしておくべきだと思った。

「これがドラゴン様の声?頭の中に響いてくる……まずは、こちらの話に耳をかたむけていただいてありがとうございます。では僭越せんえつながら、私はアランと言います。この栄えあるヴァレンティノ王国の伯爵家の長男です!」

身体がかすかに震えながらもいさましい口ぶりで言った。アランは竜を見上げながら、自分をたたえたい気持ちでありました。ところが……。

「お前のようなミジンコのような男はどうでもよい」
「は、はい。申し訳ございません……」

竜からは厳しい言葉が返ってきた。人間の男が勝手に自己紹介を始めたけど、自分から見れば吹けば飛ぶような男である。

反射的に顔が引きつってしまったアランですが、竜の機嫌を損ねるともっと危険な事態になりかねないと思い自分の気持ちをいさめた。普通なら怒っているところだった。貴族の自分がご丁寧ていねいに頭を下げて挨拶しているのです。とは言え、相手が悪いので大人しくなるしかないのだった。

「一つ気になったことがあったので来たのだ」

一瞬の油断さえ許されない緊張感あふれる雰囲気で、つつましく顔を伏せたまま立っていると竜が声をかけてきた。少しこちらに近づいてこられて怖くて逃げ出したかったけど、アランはじっと我慢がまんしてらさないように懸命に耐えていた。

そして何か引っかかるものを感じて、この場に姿を見せたと竜はいうのです。アランはビクビクしながら顔を上げて竜と視線を合わせた。

「そうでしたか。私に答えられることがあれば、何なりとお申しつけください!」

聞きたいことがあるのなら何でも答えますと、一段と声を張り上げて言った。これはかえって好都合だったかも知れない。少しでも恩を売っておいて損はないと、アランの心はそのような感情を抱いていた。

「それでは聞くが、セリーヌ様という女性は知らぬか?」
「セリーヌ……?し、知ってます。セリーヌが何か?」

竜からはセリーヌに関する質問がされたため、アランは無意識に声を出した。セリーヌとは幼馴染おさななじみであり、昔からとても仲良くしていました。一緒に遊びに行ったり、すっかり家族のような付き合いをしている。

「安っぽい小さな男が彼女に向かってをつけぬとは何事だ!態度を改めよ!!」
「す、すみません。そ、それではなんとお呼びすれば……?」
「セリーヌと呼べ。最初だから見逃してやるが次は首が無くなると思え!」
「はいぃぃーっ!!」
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