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第21話

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「ウェンディは演劇を観に行っても感動して号泣するよね?」
「そうかなぁ……?」
「それと優柔不断で直ぐに決められないよね?」
「そんなことないよ」

結婚してからアルスは気づいた。結構よく泣く涙もろいウェンディ。外で食事した時にもメニューを選ぶのにも悩みまくって時間をかける。

他には、いつまでも気持ちのいい顔で夢の中にいて朝起きるのが遅い。言った事をよく忘れるし初対面の人と会うと冷や汗が出る。そんな妻が可愛くもあるけど何となく不安に思う。


「ゴホッ、ゴホッ」

ある日、アルスが風邪をひいて熱もあるのか頭が割れるように痛み、おまけに咳がなかなか止まらなくて夜も眠れない。当然ながら仕事を休む。その時ずっとウェンディが傍にいてくれた。

「病気がうつるから部屋を出てていいよ」
「いいの!私はアルスが心配だから看ていたい」

寂しいでしょう?と穏やかな声で言ってくれて自分が一緒にいたいからと見守ってくれた。後でウェンディに教えてもらったら、寝ている時に獣みたいに苦しそうな声をたてて相当うなされていたらしい。

数日後にアルスの病気が回復した頃、ウェンディはアルスにうつされて倒れてしまう。次はお返しとばかりにアルスが付きっきりで看病した。

「アルス感染するから向こう行ってて」
「ウェンディのことを放っておけるわけないだろう」
「せっかく治ったのにまた病気になるよ?」
「その時はその時だよ。二人で横になればいい」

ウェンディのいう事は無視して手を握るアルス。病気にかかった妻を支える夫。病気になるのも夫婦で共に……お互いに同じ思いでした。


「奥様のお世話は私がいたしますから……」
「僕がウェンディの面倒をみて尽くしたいんだ」
「……そうですか……わかりました」

体調を崩した妻の身体を清潔に保つために準備を頼んだ。するとメイドが自分が夫人の身の回りの手助けをすると言います。

ところがアルスは、大切な妻を僕が介護したいと熱意のある声で発言する。主人に懸命な瞳で主張されてはメイドも納得するしかありません。

「ウェンディいつも愛しているよ。どうだい綺麗サッパリしただろう?」
「ええ、とても気持ちが良かったわ。身体が爽快な気分よ。アルスありがとう」

自分の一番の宝物を扱うように妻の指の間や脇の下、続けて太ももから足の指の間まで蒸しタオルで拭いてあげる。

晴れやかな顔をして微笑む妻。夫も常に満面の笑顔で病気になんかに負けるなと、慰めたり勇気付けていました。


*****
新作「実家に帰ったら平民の子供に家を乗っ取られていた!両親も言いなりで欲しい物を何でも買い与える。」を投稿しました。よろしくお願いします。
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