溺愛彼氏は消防士!?

すずなり。

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更に1年後・・・。

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ーーーーーーー







ーーー






ーー






雪華side・・・







署員さんたちを驚かせてから1年。






相変わらず私は忙しく喫茶店をきりもりしていた。

お客さんはいつものメンバーで、新しい人は滅多に来ない。

農作業の合間に飲みに来ては・・・休憩して帰っていく。

そんなお客さんの話相手をしながら私とミヤは働いていた。



雄大さんも1年も経てば田舎暮らしに慣れるもので・・・住人さんたちの顔と名前、それに住所まで覚えてしまってる。

畑仕事も手伝って・・・トレーニングも欠かさずして・・・忙しそうだ。




そんなある日・・・。




カフェに消防署の署員さんたちがランチを食べに来てくれた。



カランカラン・・・




雪華「いらっしゃいませー。」

署員「せっちゃん、ランチ二つ。」

雪華「ちょっと待っててくださいねー。」




さくさくとキッチンで作っていき、提供する。




雪華「お待たせしましたー。」

ミヤ「お待たせでーす。」




ランチを二つ、テーブルに置くと・・・署員さんの一人が私に言った。



署員「・・・せっちゃん、調子悪い?」

雪華「え?なんでですか?」

署員「なんか・・・顔色が悪いような気がして・・・」

雪華「うーん・・・なんともないですけど・・・・」




そんな話をしてると、もう一人の署員さんが会話に加わってきた。



署員「せっちゃんになんかあったらリーダーが気づくだろ?」

署員「あぁ、そうだな。じゃあ、せっちゃん、いただきまーす。」

雪華「召し上がれっ。」




二人はランチを食べ始めた。

ぱくぱくと食べ進められていく中で、私は一つ、お願い事があることを思い出した。




雪華「あ、今日帰りに消防署に寄るんで・・・雄大さんに伝えてもらえますか?」

署員「うん、いいよ?伝えとくー。」

雪華「お願いします。ケータイのバッテリーが切れちゃって・・・充電器も持ってないんで連絡できなかったんですよ。」

署員「それは大変だな。責任もって伝えるよ。」



私はキッチンに戻り、洗い物をしたり次のお客さんの注文を作ったりして閉店まで忙しく過ごした。




ーーーーーー




閉店後・・



ミヤ「お先ー!」

雪華「お疲れ、また明日ね。」




私は最後の片づけを済ませて、店を出た。

鍵をかけて雄大さんのいる消防署に向かう。



雪華「あ・・・しまった。今日はミヤに乗せてきてもらったから・・・車が無いんだった。」



いつも車で移動している私。

最近、眠気に襲われることが多いから・・・ミヤが運転を心配して乗せてくれたのだ。



雪華「もー・・・ケータイも充電するの忘れて寝落ちしちゃったし・・・。」




その眠気のせいで、昨日はケータイを充電するのを忘れてしまったのだ。

目が覚めた時のバッテリー残は15パーセント。

充電器も持ってくるのを忘れて・・・仕込みの最中に切れてしまった。




雪華「・・・歩くか。」




消防署までは喫茶店の前の道を真っ直ぐだ。

もう真っ暗な道は街灯が少ないけど・・・迷うことはない。

私は道の端っこを歩き始めた。







ーーーーー







雄大side・・






署で仕事をしながら1枚の書類を見つめてる俺に、署員が言った。




署員「リーダー、せっちゃん来ますー。」

雄大「え?雪華が?」




昼休憩に出て行った署員たちが戻ってきて俺に伝えに来た。





署員「はい、『仕事終わったら行く』って言ってましたよー。」

雄大「なんだろ。」




今日は雪華の喫茶店が閉まる前に俺の仕事が終わる。


『来る』って言ってるんだから迎えに行くわけにはいかない。




雄大「入れ違い・・なんてことにはならないけど・・・待つか。」




消防署と喫茶店は一般道で繋がっている。

どう間違っても入れ違いになんてなることはない。

俺は雪華が来るまで待つことにした。






ーーーーー





雄大「もうとっくに店が閉まってる時間なのに・・・まだ来ない。」



俺は仕事が終わり、雪華を待っていた。

腕時計を見ると、雪華の喫茶店が閉店の時間を迎えてもう1時間経つ。



雄大「・・・。」



俺は腕時計の時間を見て不安になってきた。

ここは平和な場所だ。

事件なんて起こらない。

出動も・・・動物関係で出ることがほとんどだ。



雄大「今日もイノシシで出動したくらいだし・・・。」



そんなことを思い出しながら俺は署のデスクルームに向かった。

ちょうどいた署員に伝言を頼む。



雄大「俺、歩いて雪華のとこ向かうからさ、もし来たら伝えてくれる?」

署員「わかりましたー。」




雪華はいつも、消防署まで車で来る。

俺が車で雪華の喫茶店に向かうと・・・どこかですれ違う可能性がある。

だから歩いて雪華の喫茶店に向かうことにしたのだ。




雄大「すれ違う車が雪華のじゃないか確認しながら進まないとな。」



仕事が終わった時には薄暗かった空も、もう暗くなってしまってる。

田舎道ということもあってか、街灯の数も少ない。


滅多に車も来ない道で、すれ違う車をチェックしながら俺は歩いた。






雪華の喫茶店と消防署のちょうど間くらいまできたとき、誰かが道路わきにしゃがみ込んでるのが見えた。

街灯に照らされて薄明るくなってる中にいるのは・・・雪華だ。




雄大「・・・雪華!?どうした!?」



俺は慌てて駆け寄り、雪華の身体を支えた。



雪華「ごめ・・・ちょっと気分が悪くなって・・・・」

雄大「歩いて来たのか!?車は!?」

雪華「今日は・・・ミヤに乗せてもらってきたの・・・。」

雄大「電話くれたら迎えに行ったのに・・・。」

雪華「バッテリー切れてて・・・うっ・・!」

雄大「・・・雪華!?」




苦しそうに話していた雪華。

突然体の力が抜けて・・・俺に体重を預けてきた。




雄大「雪華!?・・・雪華!?」

雪華「ごめん・・・も・・無理・・・」




それだけ言って、雪華は意識を失った。



雄大「雪華!?」




ただ事じゃないと思った俺は、片手で雪華を支えてケータイを取り出した。

署に電話をかける。




ピッ・・ピッ・・ピッ・・・!



消防署「はい、消防署です。」

雄大「深田です。救急車お願いします。場所はーーーーーー。」

消防署「すぐに向かわせます。」ピッ・・・




電話を切ったあと、俺はケータイのライトをつけた。

場所が分かるようにケータイを振りながら待つ。




ピーポー・・ピーポー・・・




ほどなくして来た救急車。

俺は叫びながらケータイのライトを振った。



雄大「ここだ!!」



救急車は俺に気づき、目の前で止まった。

雪華を抱きかかえて乗り込む。



署員「・・・せっちゃん!?」

雄大「受け入れ可能な病院は!?」

署員「隣町の総合病院です!」

雄大「連れてってくれ!」

署員「はい!」







救急車は走り出し、隣町の総合病院に向かった。

救命士が雪華の状態を確認してる。



救命士「外傷はなさそうですね。」

雄大「じゃあ病気とか・・!?」

救命士「それを判断するのは医師ですし・・・検査してもらいましょう。」

雄大「雪華・・・・。」





救急車の中で横たわってる雪華の手を握りながら・・・病院に着くのを待った。










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